表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/160

53. 愛莉の勇気。

#愛莉side ────



ずっと引っ掛かったままの、みゆりさんの言葉。

…分かってる。

「ただの幼馴染み」だなんて、もう言い飽きてる。

普通に考えればバレバレなのも分かってる。


それでも颯斗が私の気持ちに気付かないのは、()()()()()()()()()()()()()と思ってるからだ。


(颯斗は、私の事を家族としか思ってない…。うぅん、家族だと信じて疑ってない)


それは確かに嬉しいし、私も同じ気持ちだけど、私には家族以上の感情が確かにあって、それは今さら消せるはずもない。


一度自分の恋心に気づいてしまったら、もうごまかせない。

私はスマホを取り出して、お父さんからのメッセージを見返した。

私の住む部屋を見つけて、もう契約も済ませたって内容だ。


…はぁ…。

お父さん…、もう少しのんびりしてくれても良かったのに。

いつも天然でトロくさいのに、こんな時だけ素早いんだから。


(口では信用してるって言いつつ、やっぱり私が颯斗と二人で暮らしてるっていうのは、さすがに不安だったのかしらねー)


お父さんもお母さんも、私が颯斗を好きな事は知っている。

いや、話した訳じゃないけど、察してる。

もしかして?と思ったのかも知れない。


(…いや、こっちはそれを望んでるってのに…)


きっとそのうち、颯斗にも私の新しい部屋が決まったって連絡が行くはず。


(…そしたら…もう颯斗とは暮らせない)


今までみたいに一緒にいられなくなるなら、今回の泊まりで告白してしまおう…。

そう思って颯斗を呼び出したまでは良い。


(でも…今回の旅行でも思い知ったけど、颯斗は私を意識してない)


…迷う。

告白しても良いのか。

この気持ちを伝えて、後悔しないか。


颯斗は絶対に断る、これは確実だ。

お前は妹みたいなもんだ。と、冗談で済まされるならまだ良い。


(それよりも怖いのは…、私が意識しているんだと分かった颯斗が、私から離れていく事…)


もしかしたら、こっちの方が確率が高い。

昔は違ったけど、今の颯斗は…何故か分からないけど、女の子を嫌ってるように思える。


私の事を妹や家族ではなく、自分に好意を寄せるただの女だと認識してしまったら、颯斗はどう変わるだろう?


今までみたいに、気軽に傍にいられなくなる?

それとも気を使って、今まで通りに接してくれる?

…いや、気を使われるのも嫌だわ。


(颯斗の事は、誰より一番理解してるつもりだったけど…)


…分からない。

私が気持ちを伝えた後の颯斗の態度や考えが、全く分からない。


「…はぁ…」


みゆりさんが羨ましい。

あんな風に気持ちを隠す事なく、真っ直ぐにぶつかって行けるのは、立場もあるだろうけど、性格なんだろうな。


でも私だって颯斗を思う気持ちは変わらないし、妹でいるのも嫌。

妹より彼女になりたいし、颯斗には幼馴染より彼氏になって欲しい。


どちらにしても、この気持ちはずっと隠しておけない。

いつかは颯斗にもバレる。


告白する前に気付かれて、そのまま距離をおかれて避けられるより、結果は同じでも、自分から伝えた方が絶対に良い。

その方が自分もスッキリするはずだ。


何でも言い合える仲なんでしょ?と言う、みゆりさんの言葉が頭の中をリフレインしている。


(勇気を出すのよ…、今まで一緒に過ごして来た颯斗を信じるの。気持ちを伝えたって、きっと避けたりしない…。だって私達は家族同然の、幼馴染だもの…)


深く深呼吸を繰り返すと、バクバクと早鐘を打っていた胸が少しだけ落ち着く。


するとポケットの中のスマホがピコンッと鳴った。

取り出すと、メッセージが入っている。


(颯斗から…)


これから向かうという、一言だけの短いメッセージが颯斗らしい。


(…もう後戻りはできないわ)


スマホをポケットにしまって夜空を見上げる。

さっき落ち着いたはずの心臓が、またバクバクと早くなっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ