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47. 幽霊は信じる?

酷い目にあった。

キッチンの惨状を見た愛莉が、すぐに胃薬を用意してくれたおかげで助かったぜ。


(…全部吐いたが、まだ胃の中が気持ち悪ぃ…クソ)


みゆりは取り敢えず置いておくとしても、大和…奴は後でキッチリ落とし前つけさせて貰うぞ。


あの二人のせいで、一日中、腹痛と吐き気で寝て過ごすところだった。


改めて顔を洗って歯を磨いて、心機一転させてリビングに行くと、三人が待っていた。


(…まだ臭いがする気が…、気のせいか?)


あの後、あの生ゴミは愛莉が全部処分して、綺麗に片付けたはずだ。

キッチン内を見回しても、()()はない。

安心して三人のいる所へ行くと、みゆりが退屈そうに俺を見た。


「真城クン遅ぉーい」


(…誰のせいだと思ってやがる)


胃の中の物を全部吐き出すのに時間が掛かって、バイトの時間ギリギリだ。

一応、責任を感じたらしい大和がサムに連絡して、少し遅れる事を許して貰った。


その時に、だったら急がなくて良いから、皆んなで一緒に来ると良い。と言われて、お言葉に甘えて、3人で俺を待っていた状態だ。


全員揃った所で海の家へ向かうと、既にガチ混みだった。

サムや他のスタッフは俺らの姿を見るなり、必死の形相で手招きする。


「遅くなってごめんよ、兄さん。颯斗がなかなかトイレから出て来ないからさ」


「気にすんな。それより急いで準備してくれ、今日は皆んなホールで頼む。厨房は俺が入るからな」


流れ的に、遅刻の原因は俺みたいになってるが、分かってんのか?お前とみゆりが、そもそもの原因だからな?


だがそこはグッと堪えて、着て来たサマーパーカーを脱ぐ。

下はもちろんTシャツとハーパンだ。


女共は水着だが(これはサービスらしい)、野郎共は涼しげで動きやすい服装なら何でも良いらしく、水着はやめた。


(今日は俺もホールか…、接客は苦手なんだが、言える状況じゃなさそうだしな)


仕方なくホールに出ると、店内は満席だった。

外を見ると、外に設置されたテーブルも埋まっている。

レジには順番待ちの長蛇の列が外まで続いていた。


…今日もハードな一日になりそうだな。



♢♢♢♢♢♢



それから昼までの2時間はあっという間に過ぎた。

当然、店はまだまだ混んでいる。

そんな時、一人の陽キャ男が店内に紙袋を持って入って来た。


「すんませーん!ちょっと良いですかー?」


(……?)


振り返ると、みゆりが対応している。

男は何か、ポスターのような物とチラシをみゆりに手渡すと、手を振りながらにこやかに去って行く。


「みゆり、何だ?さっきの男…」


「え?ヤキモチ?ナンパじゃないから安心してよ、ほらコレ」


そう言ってみゆりが出したのは、さっき男から受け取っていたチラシだ。


「…納涼…肝試し?」


日付は今夜だ。


「そ、ポスターもおんなじー。今夜近くにある森の中で肝試しやるんだって」


チラシを見てみると、何十年も放置されている近所の廃屋でやるらしい。


決められた部屋を全て回って、要所要所に設置してあるカードを、全て持って帰って来られればクリア。


(…へぇ、クリアするとAma◯onギフト券か。しかも結構な金額…)


別に、特別何かをする訳でもない。

ただ決められたルートを通ってくればクリアで、それでギフト券が貰えるなら、なかなか大盤振る舞いだ。


「店にポスター貼って欲しいって、あとチラシをアチコチにに置いてってさ」


「ふーん、…じゃあポスターは出入り口に貼って来るから、チラシは各テーブルに置いとけば?」


「そうねー」


そうして、ポスターを出入り口に貼り出すと、ちょうど一服しようとしてたらしいサムがやって来た。


「ん?肝試しのポスターか」


「あ…、貼ったらマズかったっすか?」


「いや、全然構わないよ。何なら皆んなで行って来ると良い」


「いや、興味ないっす」


「君は幽霊は信じないタイプか?」


「…いや、見た事あるんで…多分」


ついこの間、田舎に帰った時の事を思い出しながら答えると、サムは薄く笑って頷いた。


「へぇ…そうか」


「この廃屋って…アレすか?出るヤツですか?」


「……うーん…」


そう言って腕を組むサムは、何かを迷っているみたいに見える。


「え、まさかっすよね?」


本当に出るのか?と思いながら聞くと、ちょうど厨房から顔を出したスタッフに呼ばれて、サムは煙草を携帯灰皿に押し込んだ。


「気になるならヤマトに聞いてみると良い、俺は地元の人間なんでね、あまり評判が悪くなるような事は言いたくないからな」


…出るって言ってるようなモンじゃねぇか。

良かったぜ、愛莉がココにいなくて。


(でもそうか…、出るのか)


怖い話は大好きだ。

後で大和に聞いてみようと、俺もサムを追って仕事に戻った。

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