37. みゆりvs愛莉、再び。
#みゆりside ────
まさか、愛莉さんとお風呂に入る事になるとは思わなかった。
私がお風呂に行くのは見れば分かるんだから、気ィ使えっつーの。
いや…そもそも、この女が今回のバイトに一緒に来てるのが予想外なんだけど。
大和から真城クンと泊まりでバイトに行くって聞いて、一も二もなく参加したけど、まさかねぇ…。
溜息を吐きながら服を脱いでいると、横から物凄い視線を感じる。
「…?」
バレないように確認すると、愛莉さんが私の身体を凝視していた。
(…ふふん、私のスタイルの良さに驚いてるみたいねぇ)
当たり前よ、どれだけお金と時間と労力をかけているか…。
毎晩のオイルマッサージを欠かした事ないし?
ヨガ教室だって通ってるし?
食事だって気をつけてるし?
(アンタみたいな田舎女じゃ、私とは勝負にならな…)
そう思いながら愛莉さんを見た私は、つい声が出そうになった。
(…って…!何その細さ…!)
…え?え?
どうなってるの?
え?内臓入ってる?
あのウエストの細さ、人間としてアリなの??
(モデル体型…ってやつ?昼間はスタイルを強調するような水着じゃなかったから、気づかなかった)
ちょっと小柄なくせに、すらりと長い手足と健康的に焼けた肌は、夏のテレビCMが似合いそう。
しかも細い、とにかく細い。
それに日に焼けてるから、肌には無頓着かと思えば、つるりとなめらかな肌をしてる。
って言うか、手足長…ッ!
胸だって大きくはないけど、形の良い胸は正直羨ましい。
私なんか巨乳ゆえに、垂れないように、広がらないようにと、手入れが大変なのに…。
(守ってあげたくなるタイプ…?性格は強気なくせに、このギャップが真城クンをメロメロにしてるわけ?…でも…)
私は愛莉さんを見ながらクスッと笑った。
「愛莉さんの下着、子供っぽーい」
「…!?」
飾り気のない、シンプルなデザインの上下に、女らしさはない。
「もう少し色気のある下着を買った方が良いんじゃない?今時、高校生や中学生だって、もっと可愛らしい下着つけてるよ?」
「…おあいにく様だけど、私はどっかの誰かみたいに、わざわざ着飾らなくても、十分なのよ」
…はぁ?
私はわざわざ着飾らないと、魅力がないって言いたいワケ?
「…そうよねー、愛莉さんは着飾る必要ないもん。…そんなんじゃ…ね、意味ないもんねぇ」
そう言い返すと、愛莉さんはムカッとした顔で、私に胸をはった。
「みゆりさんは大変そうね、その牛みたいな下品な巨乳、肩が凝るんじゃない?」
「…誰が牛ですって!!この貧乳!!」
「貧乳じゃないわ!平均よ!アンタがデカすぎるのよ!あったま悪そうな胸して!!」
このままヒートアップしそうになった時、ガラっと脱衣所の戸が開いて、大和の叔母さんが顔を出した。
「…あのー、替えのタオルを持って来たんだけれど…、入っても良いかしら?」
「…!!」
思わず同時に振り返り、慌ててよそ行きの笑顔を作る。
「…ケンカ…してた?」
さすがに外まで聞こえてたかしら。
私とした事が、こんなガキみたいな女のレベルに合わせて喧嘩腰になっちゃった。
「いいえ?恋バナがヒートアップしちゃってぇー、ね?愛莉さん」
「…えぇ、ちょっと熱くなっちゃったわね。騒がしくしてすみません」
二人で笑顔を向けると、大和の叔母さんは安心したように微笑んだ。
「良かったわー、ゆっくり入ってね」
そう言うと、叔母さんは脱衣所を出ていき、ドアを閉める前に私達を振り返る。
「…仲良くね?」
念を押すように言ってから優しく微笑むと、叔母さんは戸を閉めた。
#愛莉side ────
少し大人気なかったか。
冷静になると、バカみたいな言い合いをしたな、と思う。
お互い離れた所に座って髪や身体を洗い、無言のまま湯船に浸かる。
「…ふーっ…」
やっぱりお風呂は気持ちが良い。
目を閉じて、ちょうど良い湯加減のお風呂に肩まで浸かってると、みゆりさんが口を開いた。
「ねぇ愛莉さん」
「…?え?」
目を開けて隣を見ると、みゆりさんが色っぽい顔で私を見つめている。
湯船には、熱さでピンク色に染まった大きな胸が、少しだけ浮かんでいて、私はつい目を逸らした。
「…何?」
「愛莉さんってぇー、やっぱり真城クンが好きなの?」
「…ッ!!?」
この人、急に何を言い出すの?
また、からかってるのか?と思わず振り返ると、みゆりさんは真面目な顔で私を見ていた。




