表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/160

19. 友達なんかじゃない。

「…は?」


今さらりと凄い事を言ったよな、コイツ。

目が点になる。


落とせって…、え?

どこから?どこに落とすの?

え?違う??


「新見晴子を落とせ…って、…え?…つまり俺に、晴ちゃんと付き合えって事?」


「理解が早くて助かるぜ」


「いやいや、なんで?!そりゃあんな可愛い子と付き合えたら最高だけど、俺…多分脈なしだよ?」


「大丈夫だ。お前、顔だけは良いから」


「…褒めるフリしてdis(ディス)らないでくれる?」


「本音だよ」


「え?何?どう反応したら良いの俺?…それに理由は?俺が晴ちゃんと付き合うと、何かあるのか?」


「……あ、いや…」


…ん?颯斗が語尾を濁すなんて珍しいな?

色々と珍し過ぎて、なんか特別な理由がある事は、さすがの俺にも分かる。


だけど、さすがに大学でも人気者の晴ちゃんを落とせって…、無理ゲー過ぎるでしょ。


「ちょっと俺にはハードル高すぎかなぁー。理由は?聞いても良いの?」


少しの間、電話の向こうの颯斗が黙り込む。

辛抱強く返事を待つと、颯斗は思いがけない事を言って来た。



#颯斗side ────



さすがに何の説明もなく、知り合ったばかりの女を落とせなんて、無理だったか。

だけど俺は親しくなりたくないし、知り合いたくもない。


そうなると、親しい(とは、あまり思ってないが)友人に親しくなって貰って、どんな女なのか聞くしかない。

噂なんか集めたって、らちがあかないんだ。


晴子だって、そんな親しくもない相手に、本当の顔は見せないだろう。

大和が晴子と付き合えれば、大和に素顔を見せるかも知れない。


大和はツラだけは良いし、女と仲良くなるミッションには最適なんだが…。


(どうする…?重要な部分や、聡太の記憶はバラさねぇように、必要最低限の事だけを話すか…)


本当の事は言わないが、嘘も言わない。

これが他人を信じ込ませる最適な方法だ。


(だがどうやって…。大和は社交的で人気者の俺しか知らない。晴子の事を知りたいけど、自分は親しくなりたくないから、代わりに頼むと言って、それを信じるか?)


答えは否だ。

自分で仲良くなれば良いじゃん?と言われるのがオチだし、その方が簡単だよ?と言われたらアウトだ。

それ以上は頼みにくくなる。


それにこの男は意外と感が鋭い。

下手な事を言って、変に勘ぐられるくらいなら…。


(…土台無理な話だったか。なら、ある程度正直に…)


アプローチ法を変えよう。

別に付き合って貰う必要はねぇんだ。


「実はあの新見晴子って女、昔の俺の知り合いに似てるんだ」


「…へぇ?」


だから何?って顔してるな、そりゃそうだ。


「俺の知ってる女なのか、それとも似てるだけの別人なのか…。本人にバレねぇように情報が欲しい」


…嘘は言ってない。

大和の顔を窺うと、予想外…と言う顔をしている。


「え…、何で本人に聞かねぇの?」


「だからぁ、本人にバレたくねぇんだよ」


「その…知ってる女だったら何か問題があるのか?」


そこまで言った大和は、何か思いついたように目を見開いた。


「…まさか…、過去に子供を堕させた女…」


きゃあ!とでも言いそうに、両手を口元にあてる仕草にイラッとする。

コイツのノリは、たまに本気で殺意を覚える。


「いっぺん死ぬか?いや、一度と言わず、何度か死んどくか?」


「そんな怒るなよー、冗談だろー。お詫びに協力するからさ」


俺が本気でイラついたのが分かったんだろう。

大和は慌てて俺の肩を叩いてくる。


「…本当だな?」


やっぱり持つべきものは友達だったな!


「あぁ、もちろん。面白そうだし。でもそのうち、ちゃんと理由を教えてくれよな」


「あ…あぁ、…そうだな。そのうち…」


…いつか本当の事を。


「すまんな、…恩に着る」


素直にそう言うと、大和は驚いたように目を見開いた。


「え?颯斗が礼を言うなんて…、天変地異の前触れか?!…スマホスマホ…、もう一回!もう一回言って!録音するから!!」


「前言撤回だ。てめぇに感謝の気持ちなんぞ、微塵もねぇ」


アホみたいにスマホを向けてくる大和に、俺は白い目を向けた。



♢♢♢♢♢♢



少しは前進したかな、という安心感で、再びノートパソコンの電源を入れる。

画面には前回から全く進んでいないレポートが映っている。


(せっかく図書館に来たんだ、ほんの少しでも進めてから帰るか)


だが腹の虫がなり始めて、ちらっと腕時計を見るとちょうどお昼の時間になろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ