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12. 素直になれない。

「こんなもんか…」


しばらく一緒に暮らすとなったら、さすがにある程度の準備は必要だ。


「何それ?メモ?」


シャワーを終えて出てきた愛莉が、俺の手元を覗き込む。


「あぁ、おじさんは早めにお前の住む場所を探してくれるって言ってたけどな。それまではここにいるんだ、必要な物もあるだろ?」


まずは布団。

ベットでもいいが、引っ越すときの事を考えると布団の方が良い。


それから、持って来ているであろう、服や生活用品をしまう為のタンスなどなど。


「買ってやるから、明日買い物行くぞ」


「ウソ、買ってくれるの!?やったぁ!欲しいベッドあるんだー」


「ふざけろ、買うのは布団。あとは簡単なプラスチックの棚ケースだけだ」


「えー」


「俺の部屋は、あくまでも仮住まいだぞ、荷物増やすんじゃねぇ」


「私別にずっと一緒に暮らしても…」


「お前の意見なんぞ知るか、俺が嫌なんだよ」


全く、相変わらず図々しいやつだ。


「部屋はどうするの?このマンションって、広い割にはバスルームとキッチンを抜かしたら、リビングと寝室しかないでしょ?」


「部屋?」


「そう、私の部屋」


「はぁ?そんなもんあるかよ、リビングに布団敷いて寝ろよ」


「ウソでしょ?女の子をリビングで寝かせるの!?普通、颯斗がリビングで私が寝室でしょ?」


…こいつ、居座る気じゃねぇだろうな。冗談じゃねぇぞ。

居心地のいい部屋にしてたまるか。


あくまでもルームシェアではなく、()()()()()()なんだって、知らしめてやる必要がありそうだ。



#愛莉side ────



シャワーを終えてリビングに戻ると、颯斗が何かをメモに書き込んでいる。


メモを覗き込むと、プラスチックケースと布団、それから歯ブラシなどと書き込んであった。


「何それ?メモ?」


「あぁ、おじさんは早めにお前の住む場所を探してくれるって言ってたけどな。それまではここにいるんだ、必要な物もあるだろ?買ってやるから、明日買い物行くぞ」


「ウソ、買ってくれるの!?やったぁ!欲しいベッドあるんだー」


颯斗が使っている有名メーカーのベッドは、私の憧れだ。


「ふざけろ、買うのは布団。あとは簡単なプラスチックの棚ケースだけだ」


はぁ?

せっかく実家を出て、これからオシャレで自由気儘な、一人暮らし(颯斗はいるけど)が出来ると思ってたのに…。


「部屋はどうするの?このマンションって、広い割にはバスルームとキッチンを抜かしたら、リビングと寝室しかないでしょ?」


まさか私のアパートが見つかるまで、ずっと同じ部屋で過ごす気じゃないでしょうね。


悪いけど、このマンションは自由に使わせてもらうんだから。

狭くてボロいアパート暮らしなんてごめんだわ。


このまま颯斗に寄生して、優雅なマンション生活を送ってやる、


だけど…、颯斗はさらりと「そんなもんあるか」と白い目で見てきた。


「ウソでしょ?女の子をリビングで寝かせるの!?普通、颯斗がリビングで私が寝室でしょ?」


いや、マジで当てが外れた。

本気でこんな可愛い私を、リビングで寝かせる気!?


猛烈に抗議するけど、颯斗は気にもせずにスマホに夢中になっている。


「…むー…」


ムカつく。

一緒に暮らせる事を喜ぶならまだしも、こんなに嫌がられると逆に反抗心で居座ってやりたくなる。


それに…。

颯斗を見ると、私の存在なんて全く気にもしてない様子。


(…久しぶりに会えたのにな)


小さい頃から大好きだった、隣に住んでる幼馴染。

頭も良くてルックスも良い颯斗は女の子に人気で、そんな颯斗と幼馴染だって事が自慢だった。


でもイケメンだからこそ、颯斗の周りに女の子がいない時がなくて、いつも沢山の女の子に囲まれてた。


(そんな様子を見るのが嫌で、中学になる頃には、あまり関わらないようにしたっけ…)


でも目がついつい颯斗を探して追い掛ける。

それが恥ずかしくて、目が合うと全力で逸らしてたっけ…。


(今も颯斗の周りは女の子だらけなんだろうな…)


つい溜め息が出る。

すると颯斗が不思議そうにスマホから顔を上げた。


「…どうした?」


「別に、それより明日の買い物忘れないでよね」


私はそう言うと、颯斗の隣に座り込んだ。



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