表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/160

106. 俺が2人いる。

結局みゆりの「フリとは言え千代音とは2人で出掛けたのに、私とは出掛けてくれないの?!」という怒涛の()()に屈して、俺は次の休日にみゆりとテーマパークへ行く約束をした。


しかもみゆりは千代音と連絡先の交換をしている事もしっかり聞いていて、それをネタに連絡先の交換をさせられている。


…まぁこれに関しては別に良い。

千代音の奴はどうも、自分が特別だと思ってる嫌いがあるからな。

みゆりとも連絡先を交換したんだと知れば、自分を特別だと勘違いしなくなるだろ。


(それにしても…)


ハッキリ言って少し前の俺なら、何言われようと絶対に約束なんぞしなかったし、連絡先だって絶対に教えなかっただろう。


海の家で大和が言っていたが、確かに少し変わったのかも知れない。…しかも自分でもその変化に気が付くほどに、だ。


(好きとか嫌いとか…恋愛感情は分からんが、正直愛莉だけじゃない…大和やみゆりと一緒にいるのも嫌じゃない…んだろうな)


帰りの電車の中、通り過ぎて行く窓の外を見ながら、ぼんやりと考える。


颯斗《俺》にも聡太にも、親しい男友達や女友達がいた記憶なんぞ無いんだが…、何故かこんな風に、周りにいつも決まった顔ぶれの男女(ヤツら)がいたような気がする。


思い出せないだけで。本当は愛莉の言う通り、高校の時に親しくしてた奴らがいたのかも知らない。

何とかその2人を思い出そうとしてみるが、何も思い出せないのがもどかしい。


(愛莉が言ってた俺の知らない颯斗の親友…。それは、あの夢の中に出て来たあの男か…?)


『俺たち…親友だろ?』

…夢の中で確かにそう言ってた。


(親友……か、マジで親友だとしたら、俺は何でその親友の事を覚えてねーんだ?それに…もう1人の女も…)


どうにもスッキリしない。

そもそもその2人が愛莉の言ってた俺の親友なのか、それとも聡太の時の記憶なのかもハッキリしない。


(思い出したタイミング的には、聡太じゃなくて俺の関係者っぽいんだけどな)


そもそもいくら転生(いや、生まれ変わりか?)したって、前世の事(新見晴子に関する事だけしか覚えてないが)を覚えていて、こんなに今の自分の事を忘れるもんなのか?


「はぁー…、やれやれ…」


最近は悩み事だらけだ。

新見晴子の事、何故か思い出せない親友と女友達(?)、それに大和と愛莉の事、ストーカーじみてきた千代音の事。


(問題がないのは…みゆりだけ?)


…いや、そんな事もねぇか。

みゆりと一緒にいた時に聞こえてきた、例の男の声も悩みの種だよな。


(…いや、気付かないフリしてたって仕方ねぇよな…。アレは…あの声は…)


電車の窓にうっすらと映る自分の顔を見る。

毎日鏡で見るはずの顔なのに、何故か俺じゃない誰かを見ているような錯覚に陥る。


そしてその顔は、俺の意思とは真逆に(やっと気付いたのか?)と言う表情で俺を見ているようだ。


(分かってるよ…、気付いてる。あの時……"女一人抱けねぇ腰抜け野郎"と俺を罵った声…、アレは…俺の声だ)


どう考えてもおかしい。

俺の中にもう1人、俺じゃない誰かがいるみてぇだ。


いや…違う。

間違いなく、あの声は颯斗の声だった。

それなら…、()()()()()()()()()は一体誰なんだ?


(俺は真城颯斗だ…、そうだよな?なら……ならなんで…、俺の知らない俺が、俺に話しかけて来るんだ?)


答えが見つからないまま窓を見る。

そこに映っているのは、間違いなく真城颯斗の姿だったが、何故か俺には見知らぬ他人に見えた。



#晴子side ────



それは本当にたまたまだった。

友人と飲みに行った帰り、駅前の賑やかな通りから間違って、道一本外れた場所にある商店街へと、私は足を踏み入れていた。


時間的に商店街は全て閉まっていて、シャッター街みたいになってるけど、その一角に小さなテーブルと椅子でちょっとしたお店を開いている人がいた。


(……露天商が多い場所ではあるけど…、まさかこんな時間に?)


つい腕時計で時間を確認する。

…もう10時を過ぎている。


商店街が空いてる時間なら分かるけど、夜中のこの時間。

人っ子1人通らない時間にお店なんか開いて、儲けがあるのかしら。


店を広げている怪しげな人物はフードを深く被っていて顔は見えないけど、身体の感じからして女性みたい。


少し戻ればいつもの賑やかな駅前に戻れるけど、私は興味本位で薄暗い商店街をそのまま進む事にした。


店を広げてる女性の前を通りがかった時、思わず横目で見ると、バッチリと女性と目が合ってしまう。

すると女性は「こんばんは、良い月夜ですね」と声を掛けてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ