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105. 独占欲じゃありません。

それから20分くらいしてから届いたピザを3人で食べて、その夜はお開きになった。


帰り際、隣の部屋に帰ろうとする愛莉に気付いて、今は一緒の部屋に住んでない事を知った大和は、さりげなく愛莉と一緒に隣の部屋に行こうとして引っ叩かれてた。……当たり前だ。


「……はぁ…」


やっと静かになった。

愛莉は自分の家に戻ったし、大和はソファでグースカ寝ている。

今なら起こせば終電に間に合うだろうが、こんな泥酔状態じゃ一人じゃ無理だろ。


送って行くのも面倒だし、とりあえずこのまま放っておく事にする。


愛莉が帰る前に少し片付けをしていってくれたおかげで、俺もこのまま寝れそうだ。

寝ている大和を見ると、しばらく起きそうにねぇし、俺もそろそろシャワー浴びて寝るか。






酔い覚ましも兼ねて、少し熱めのシャワーを頭から浴びていると、少しボーッとしてた頭が冴えて来る。

さっき見た白昼夢っぽい幻の事も考えたいが、今はそれより……。


(愛莉のヤツ…、なんか大和との距離が縮まってないか?)


俺の知らない所で何かあったのか?

理由は分からんが、ものすごく気になるぞ。

いや、はっきり言って気に入らねぇ。


(愛莉に恋愛感情なんてないはず…。…いや、ない)


ガキの頃から一緒にいたんだ。女嫌い云々の前に、そんな目で見れるわけがない。

何なら(とある事故で)一緒にクソまみれになって、一緒に両親に怒られて、一緒に風呂に入った仲だ。


(じゃあ…大和か?大和とくっ付くのが嫌なのか?)


……何だかしっくり来るような気がする。


(じゃあ大和以外なら…どうだ?)


……想像してみるが、どうやらそこまで嫌悪感はないようだ。

つまり俺は、大和と愛莉がくっ付くのが嫌…って事か?


まさか俺に()()()のケが…?と思うが、当然だがそれも違う。

大和が誰と付き合ったって、全くもって興味がねぇ。

それでなくてもアイツは女がころころ変わる。


少し複雑だが、結果として俺が嫌なのは"大和と愛莉が付き合う事"が嫌なんだと言う事が分かる。


(……意味分からん)


俺は考えるのを止めると、熱い湯で顔を洗った。



♢♢♢♢♢♢




「独占欲…ってやつじゃないのぉー?」


そう言ったのは、みゆりだ。

翌日、大和を追い出した後大学へ行った俺は運悪くみゆりに会ってしまい、強引に(と言うか強制的に)大学構内の散策に付き合わされていた。


「………独占欲って…、俺が?」


たまたま大和の話になり、どうやら愛莉に惚れてるらしいと話した所から、話が予想外の方へ飛んで行った。


「うん、だって…二人が付き合うの嫌なんでしょ?」


「…そこまで言ってねぇよ」


「でも嫌なんでしょ?」


「………」


俺が(何故か)嫌なのは、あの2人がくっ付く事で、別に奴らに特定の彼氏彼女が出来るのが嫌なわけじゃないんだが…。

…いや、同じ事か?


(何でこんなに嫌な気分になるんだろうな、何か原因がありそうな気がするんだが…どうも分からん)


…と言うかそれよりも、なんでみゆりとこんな話になったのか。

それは少し話が遡る。



♢♢♢♢♢♢



大学でみゆりに会った俺は、大和の様子を聞かれた。


少し怒ってるみたいだったから詳しく聞いてみると、バイト先の女に合コンのセッティングを頼まれて、顔の広い大和に頼んだが、待てど暮らせど連絡が来ない。という事らしい。


「メッセは既読スルーだし、電話しても忙しいって切られちゃうし?こっちはバイト仲間に急かされてるっていうのにさぁー。ねぇ、真城クンー何か聞いてないー?」


…大和は愛莉に惚れてるみてぇだし、思い当たる節がないわけじゃねーな。


けどアイツが一人の女に執着するのも珍しい。

すぐに惚れて付き合うが、その分フラれるのも早いし、脈なしだと分かったら、あっけらかんと諦めて次に行くタイプだ。


(…そこまで愛莉に本気なのか?)


「……真城クンー?」


「あー…、……大和の奴なら最近は愛莉に惚れてるらしくて、よく連絡取ってるぞ」


「え!そうなの!?意外ー!!」


「アイツが合コン開くのは、自分が新しい女欲しい時だけだし…、めんどくさいんじゃねーの?」


単純に合コンと言っても、人数集めやら店の予約やら。

自分にその気がないなら、まぁ面倒なだけだろうな。


「うわ…、信じらんないわね、合コンなら任せてー。…なんて豪語してたくせに…、まったく使えないんだから…。仕方ないから他に聞いてみないと…。あ、真城クンも参加する?」


「んな気はさらさらねーよ」


「そうよねぇー、私がいるもの」


「お前がいるから何だっつーんだよ」


「…相変わらず冷たいわね、私別に真城クンの事諦めた訳じゃないんだからね?あ……!そうかぁー、あの2人がくっ付くなら、ライバルがいなくなって、むしろ好都合?いっそくっつけちゃうのも良いわね」


「……」


「……はい無視ー、真城クンって都合が悪かったりすると、すぐ無視するのよねー」


…相変わらずムカつくな。

それに何でコイツは愛莉をライバル認定してやがるんだ。


(俺も愛莉も兄弟姉妹同然だ、ライバルも何もねぇだろ)


…それにしても独占欲…か。


(なんか違う気がするな)


理由は分からない。

分からない…が、何故か仲が良い(認めたくないが)男友達と、自分の近くにいる女が付き合うってのが、どうにも落ち着かない。


(そういや…大和が惚れたのが愛莉じゃなくて、みゆりだったとしても嫌かも知れんな…)


理由は何だ?

愛莉と違ってみゆりには何の感情もない。これは確かだ。

それでも嫌って事は……。


(原因は大和か?俺……ソッチの気はないよな!?)


まさかの展開に頭が痛い。

冷静になれ、ンな訳ねぇだろ。


「…ねぇ、ところでさぁ真城クン…」


「…ぁ?何だよ?」


「千代音と付き合ってるフリしてるんだって?」


「………え」


振り返ると、決して笑っていない笑顔のみゆりが、真っ直ぐに俺を見ていた。

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