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103. お揃いアクセは認めない。

すみません。

前回の更新時、102話と103話を間違えて更新してしまいました。

現在は元に戻しています、急に話が飛んでしまって申し訳ないです。

#颯斗side ────



大和とゲームを始めてどれくらい経ったのか。

いわゆるパーティゲームだから楽しいのは楽しいが、良い加減一人でゆっくりしたい。


だけど大和は相変わらず酒を飲みながらゲームに夢中だ。

…しかも結構出来上がってる。


(……暇な奴だな、ったく…人の酒ガバガバ飲みやがって)


それにそろそろ腹も減った。

さすがに菓子だけじゃ腹にたまらん。


「…おい大和、腹は?ピザでも取るか?」


ピザー◯とピ◯ハットのメニューを見ながら聞くと、大和は楽しそうにメニューをひったくる。


「食べる!!えー、何が良いかな…、……やっぱ全部?」


「食えるわけねーだろ、叩き出すぞ」


そう言った直後、玄関のチャイムが来客を知らせた。

時計を見るともう夜と言って良い時間だ、こんな時間に部屋に来る奴といえば…。


「愛莉帰って来たみたいだな」


玄関の方を見ながら言うと、大和がピザのメニューを放り投げて立ち上がる。


「おかえり愛莉ちゃん…!!」


そう言って玄関へと走り出した。

…まぁ良いか、愛莉の事だから入って来たら鍵は閉めるだろうし、任せよう。


だが大和が放ったピザのメニューを見ながら適当にネット注文をしていると、玄関から愛莉の悲鳴が聞こえて来た。


(………はぁ………)


クソ…酔っ払いめ…。

仕方なく玄関へ向かうと、大和が愛莉に抱き付いている。

…いくら酔っ払ってても、そりゃねーだろ。

愛莉は状況に付いて行けずに、大和に抱き締められたまま固まっている。


「おい、離れろ大和…。…ほら…」


「大和さんが来てるなんて聞いてないわよ!!」


「…俺もお前が来るなんて聞いてないけどな」


大和を愛莉から離しながらリビングに戻ると、大和はトイレに行き、愛莉はリビングの様子を見て深く息を吐いた。


「すっごい状況…、きったなー…」


「汚したのは主に大和だ、俺じゃねぇ」


床に散らばる菓子のゴミや酒の空き缶を集めながら、愛莉はまた溜め息を吐く。


「……?これは…」


床のゴミを綺麗にしてからテーブルを片付けようとした愛莉は、大和が持って来た誕生日プレゼントを見て指をさす。


「ゴミ…?」


「んなワケねーだろ」


「そうよね…、もしかして…」


「ご明察、そりゃ大和からお前にだ」


そう言うと、愛莉は「えっ!!」と言って紙袋をマジマジ眺める。

まぁ驚くのも無理ないわな、愛莉には不釣り合いなハイブランドの紙袋だ。


愛莉もテーブルの上の紙袋に触れて良いのか迷ってるみたいに、両手を後ろ手に組んだ。


「こんな…間違いじゃないの?私にこんな…」


愛莉がそう呟くと、トイレから戻って来た大和が「間違いじゃないよー」と軽い声を掛けてきた。


そのままテーブルから紙袋を摘み上げると、愛莉に近寄って紙袋を差し出す。


「誕生日おめでとうー、これ俺の好きなブランドのブレスレット。絶対似合うと思って、狙ってたんだー」


そう言う大和の腕にもブレスレットが光っている。

…もしかしてあれも同じブランドのやつか?


(お揃い…?)


愛莉への誕生日プレゼントと聞いた時は気にならなかったのに、まさか大和とお揃いなのか?と気付いた瞬間、なんかモヤっとする。


(付き合ってん訳でもねーのに、揃いでアクセとかどうなんだよ?)


だがまさかの高級なプレゼントに顔を高揚させている愛莉には言えない。

緊張した手で箱を開けた愛莉は、中に入っていた細いブレスレットを取り出すと「綺麗…」と見入っている。


確認してみると、やはり大和が付けているブレスと同じデザインだ。

愛莉は気付いてんのか?


(どうすんだ、受けとんのか…、大和と揃いのブレス付けるのか?…あぁ、クソ…)


何だ…、何で…何がこんなに嫌なんだ…。


分かってるだろ、大和は信頼できる男だ。

口では何と言いながらも、俺だって本音ではコイツを信用してる。

大切な妹みてぇな幼馴染を任せるには、数少ない信頼できる友人ってのは最適じゃねぇかよ。


「…本当にこんな高い物受け取って良いんですか?…その…彼女とかなら分かりますけど…、私は大和さんにとって、ただの親友の幼馴染ってだけでしょう…?」


…バカ愛莉。

何さりげなく親友に格上げしてやがる。


「親友だって!そう見えるんだ、なぁ颯斗!」


「…お前な、簡単に俺の事を親友っつーが、俺はお前の事を親友だなんぞ思ってねーぞ」


「酷い!颯斗!冷たい!何でだよ!」


「俺に親友はいない、…いた事ねぇ」


そうバッサリと切り捨てると、愛莉が「ん?」と首を傾げた。


「そんな事ないでしょう?」


「……は?」


振り返ると、愛莉は何かを思い出すように宙を見ている。


「そう言えば…昔はモテるだけじゃなく、男友達も多かったのに、途中から誰とも付き合わなくなったわね」


愛莉がそう言うと、大和が興味津々に食いついて来やがった。


「初耳ー!何だよー、颯斗ってずっとボッチなのかと思ってたぜ」


失礼な事をサラッと言う奴だ。

勝手にボッチ認定すんな。…あながち間違っちゃいないが。


「それで?親友が俺以外にいたんだって?」


「だからいねーって…」


「…え?いたじゃない、高校時代ずっと一緒にいた人が」


……は?

何言ってんだ?

確かに適当に遊んでる奴や、つるんでる奴はいたが…。

親友と呼ぶほどいつも一緒にいたやつなんていねーぞ。


そう思いながら愛莉を見ると、愛莉は「んー…」と言いながら考え込んでいる。


「名前なんだったかしら?高校の時、いつも一緒にいた人…確か…よ…よし…、…そうだ…佳弥よしや君!!…違った?」


…佳…弥?

何だ……、誰だそれ。そんなヤツいたか?


「卒業してからも頻繁に会ってたのに、途中からあまり一緒にいる所を見なくなったわよね。…喧嘩でもしたの?高校時代の友達は一生の友達って言うし…大切にした方が良いわよ?」


「………」


何の話だ…、俺は颯斗の記憶なら全部持ってる。

それなのに、俺の知らない友人…?しかも、いつも一緒にいた?


「……ッ?」


思い出そうとすると、吐き気のような痛みのような、嫌な感じがする。

これは…俺が…颯斗が思い出すのを拒否してる感じだ。


(何だ…?何だよ…)


佳弥…?

誰だ?


言われてみれば、高校の時そんな名前の奴が近くにいたような…。

だけど顔も声も何もかも、モヤがかかったみたいに思い出せない。


(……それに…もう一人…いた、ような…)


そう思い出した瞬間、俺に向かって微笑む知らない女の顔が頭に浮かんだ。

そしてその笑顔はすごく楽しそうなのに、何故か俺の感情を逆撫でするかのようだった。

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