表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/160

102. 誕生日は賑やかに。

意外と新見晴子と話し込んでいたらしい。

何度かスマホが鳴っている事にも気付かなかった。


(大和か…)


メッセージを確認すると、今俺のマンションの前に来ているらしい。


(アイツも遊び歩いてるイメージが強いが、単位大丈夫なのか?)


仕方なくマンションへ戻って連絡すると、近所で俺が帰ってくるのを待ってた大和が早速やって来る。


「愛莉ちゃんまだ帰らないのか?」


「…遅くなるって言ったろ」


ちらりと大和の手元を見ながら言うと、スーパーの袋と小さな紙袋を手にしている。…紙袋は某有名な海外ブランドの袋だ。


(…愛莉へのプレゼントか?)


見た感じアクセが何かっぽいが…。

愛莉へのプレゼントにアクセ…、しかもブランド物とは考えもしなかったな。


俺が紙袋を見ている事に気付いたのか、大和は「あ、コレ?」と言って小さな紙袋を掲げて見せる。


「俺の好きなブランドなんだけど、女の子用のブレスレットで愛莉ちゃんに似合いそうって、前から狙ってたんだ。…理由のないプレゼントじゃ、ぜってー受け取って貰えねーと思って買わなかったけど、誕生日って聞いたから早速買っちった」


「よくそんな金あったな」


「俺だって働いてますから」


そんな会話をしながら部屋に入る。

基本的には部屋に他人は入れたくねーんだが、コイツがこの部屋にいるのも見慣れて来た気がするな。


「茶は出さねーぞ、勝手に冷蔵庫あさって飲め」


大和に客扱いはしない。

そもそも最初に来た時の時点で招いてねぇんだから、客じゃねぇ。


「お前は愛莉ちゃんに何買ったの?」


冷蔵庫の中にあるビールを出しながら聞いてくる大和に、俺は何となく「買ってねえ」と答える。


「…買ってねぇの?」


「うるせーな、関係ねーだろ」


本当はプレゼントは用意して、既に愛莉の部屋に置いてあるんだが、何故かそれが恥ずかしくて、俺は犬猫を追い払うように手を振った。


「お前もプレゼント置いて、とっとと帰れよ?愛莉はいつ帰って来るか分からないんだ、…まさか帰ってくるまで居座る気じゃねーだろ?」


ソファに座りながら言うと、大和はキョトン。とした顔で首を傾げた。


「……?そのつもりだけど?」


…マジか。

いつ帰るか分からない愛莉を、ココでずっと一緒に待ってる気か?


「そのつもりで、ほら…ツマミも沢山買って来たぞ。酒は冷蔵庫に山ほど入ってるの知ってたからな」


「…人ん家の酒を当てにしてんじゃねぇ、金取るぞ」


「えー?金持ちのくせにケチんぼ!!ツマミは俺が用意したんだから良いだろ?」


「酒の方が高ぇ」


「細かい事は気にしないッ!…ほらほら!!好きなの食って良いぞ?こんな時間から酒なんて、悪い事してるみたいたよなー!」


そう言うと、大和は買って来たツマミや菓子類をバサっとテーブルに広げる。


その後、酒を飲みながらテレビゲームを始めて、すっかり酔っ払ってゲームに夢中になる頃には、日もどっぷり暮れていた。



#愛莉side ────



さすがに地方から来てくれた友人は、遅くなる前に帰って行った。


わざわざ私の誕生日の為に、こっちでお店の予約をしてくれたらしい。しかもサプライズでケーキまで用意してくれた。


お店の人が豪華なケーキを持って来た時は驚いた、いきなりお店が暗くなって、ハッピーバースデーの曲が流れ始めたからだ。

素敵なサプライズと誕生日プレゼントに心がポカポカする。


(プレゼントにくれたバスジュエル…、すごく素敵だったな。今夜さっそく使って長湯しよっと)


ワクワクしながら玄関前までくると、チラッと隣の颯斗の部屋を確認する。


(…いるかな…、颯斗も私の誕生日を祝ってくれたら嬉しいのに…)


そう思うけど、考えるだけ無駄だ。

溜め息混じりに鍵を開けて中に入ると、電気をつけてテーブルの上に荷物を置く。


「……ん、何これ」


テーブルの上には、見覚えのない箱が置いてある。大人の頭くらいの大きさの箱だ。

真っ白くて何も書いていないその箱の上に、小さなカードが添えてあった。


カードを手に取ると、乱暴な手書きでハッピーバースデーと書いてある。

そして差出人のところには…。


「…颯斗…!」


慌てて飾り気のない白い箱を開けると、中には綺麗なガラスケースが入っていた。


「……花……」


取り出してみると、ガラスケースの中には向日葵を中心にした可愛らしい花々のプリザーブドフラワー。そして造花が入っていて、生け花みたいになっている。


「…綺麗」


夏生まれのせいか、私は向日葵が大好きだ。

すっかり忘れているものだと思ってたけど、どうやら覚えていてくれたらしい。


子供の頃、颯斗の家族と一緒に遊びに行った遊園地。

ちょうど時期もあって、向日葵の迷路イベントをやっていた。

アレが好きで何度も挑戦して、両親も苦笑いしてたっけ。


「ふふ…、花束とは違うとはいえ…颯斗が花をプレゼントしてくれるなんてね…」


よく見ると、箱の中には説明書も入っていて[魔法で時を止めて閉じ込めたマジックフラワー]という商品名と説明書きがある。


(…他にも入ってる)


箱の中にはプリザーブドフラワーとは別に、小さな紙袋が入っていた。

中を見てみると、自分ではわざわざ買わないような、少しお高めハイブランドのハンドクリームが2種。


(バラと…ラベンダーの香りのハンドクリームだわ)


早速ラベンダーのハンドクリームをつけてみると、指先からフワリと良い香りが漂ってくる。


私はプリザーブドフラワーをリビングの目立つ場所へ飾ると、颯斗の部屋へ足を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ