表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神  作者: 裃白沙
14/14

蛇足

 私はこの話を聞き終えて慄然とした。もしあの時祖母が契約を結んでいたら……。ひょっとして、あの日の葬列は彼の手によるものだったのでは……。様々な想像が私の頭の中を駆け巡った。私は落ち着こうとしてコーヒーを飲み干した。

「ときに先生、グリム童話に『死神の名付け親』という話があるのをご存知ですか? そこに出てくる男は自分の利益のために『死神』を利用して、人の寿命を弄び、最後には『死神』に命を取られてしまうんです。『死神』の手を取り、己の地位を築こうとした大河原も獄中で自ら果ててしまったと聞きます。『死神』にとり殺されてしまった、と。こう書けば、まだ詩情はあるかもしれませんけどね」

 紗綾は子供のようにそこまで一息に語ると、フッと息をつき、私のいれたコーヒーに口をつけた。それを舌の上で転がしきると、ちょっぴり寂しそうに俯いて、こう結んだ。

「しかし、この場合『死神』とは何だったんでしょうね。彼を追いやった環境か、人々か。目に見えない期待か、圧力か。そう考えると、案外私たちのすぐそばにも『死神』がひそんでいるのかもしれませんね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ