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第11話 私のチート能力と探しもの

 私たちはお出かけ(デート)から宿に戻ってきた。楽しい日だったけど、最後の時間がとても幸せだった。そんな幸せな時間を日常とするためにルーカスとこれからの事を話さなければならない。夕食後、ルーカスの部屋でじっくり相談することなった。


「うちの親は大喜びするかもしれないけれども、私達のことをリンガール王国の国王陛下は許してくれるとは思えないの。たかが他国の男爵令嬢よ?ルーカスは何か考えがあるの?」


「実はもう計画は立ててあって確認するだけだよ。僕は勝ち目のない勝負はしない派なんで」

ルーカスは自信満々な表情をしている。


「僕たちのことは父上さえ納得させられれば上手くいくと思わない?僕たちは転生者、チート能力があり歓迎される立場の者たちなんだ。君のチート能力、それを見つければ必ず歓迎されるはずだよ。あと、もう1つ。もともとの目的である探しものを見つけること。探しものを見つけられず自分たちの要求だけ通すと言う訳にはいかないからね」


「でも、チート能力なんて私にはそんな能力ないよ」

私はがっくりと肩を落とした。


ルーカスがスッと両手を差し出した。


「ローラ、僕の能力(鑑定)を覚えてるでしょ?それに本当にローラにチート能力がなければ、こんな身分捨ててでもローラと一緒になりたいと思ってる。でも僕の考えが正しければ一気に問題が解決すると思うんだ」

ルーカスは真剣な表情で話したあとに頷いた。


そうだった。ルーカスの鑑定能力で見てもらえればハッキリするんだった。これでルーカスとの将来が決まるかもしれない。私のせいで王子という身分を捨てさせるわけにはいかない。私は緊張しながらルーカスの手に震える手を乗せた。


前には気が付かなかったけれど、鑑定しているときのルーカスの手は温かい。集中しているのかルーカスは目を瞑っている。


1分くらい経っただろうか?ルーカスは目を開くと私の手をギュッと握りしめて笑顔で

「ローラ、鑑定は終わったよ。それと、もう1つ。ちょっと貸してね!」

そう言って私の顔から呪いのメガネをスッと外した。


ルーカスは今度はメガネの鑑定を始めた。私は状況についていけなくてポカンと口を開けていた。私の鑑定はどうなったの?私たちの未来は?ついでに呪いのメガネを鑑定して呪いの解除をしてくれるのだろうか?


ルーカスは私のメガネを再び私にかけて言った。

「ローラ、これから僕の言うことを復唱して。〈ローラ、おしまい〉そして、手をパンとして?はい!」


「え?え?」


「〈ローラ、おしまい〉だよ」


「〈ローラ、おしまい〉?」

きっと私の頭の上には?マークがたくさん飛んでいるはずだが、手をパンと叩いた。

ルーカスが私の顔からメガネを外してノア様に渡した。ノア様はそれを大事そうに美しい布に包み装飾のついた立派な箱にしまっていた。


「ルーカス?今の何?それにメガネは布に包んでも箱から飛び出して戻ってくるよ?」


「まあまあ、今にわかるよ。メガネのことは少し忘れて、鑑定結果について話をするから聞いてくれるかな」


「鑑定結果ね!聞きたい!チート能力あったの?大丈夫だったの?」

私は前のめりで矢継ぎ早に質問した。


「ローラ、落ち着いて。ちゃんと全部話すからね。ノア、僕たちに紅茶を入れてくれる?」



ノア様がゆったりと上品な動作で入れてくれた紅茶を半分くらい飲み、ひと呼吸おいてからルーカスが話し始めた。


「まずはローラの鑑定結果なんたけど、僕の思った通りチート能力はやっぱりあったよ。ただこの国では気がつく可能性は低かったと思う。ローラは自覚ないようだけど、チート能力を使()()()()()からね」


「チート能力を()()()()()()?どういうこと?」


「ローラ、そろそろメガネ外してから15分はとうに過ぎたけど、何も起こらないね」


時計を見るとメガネをはずしてから20分ほどが過ぎていた。

「本当!自室ではないのにメガネが飛んでこない。呪いが解けたの?私のチート能力はまさか呪い!?」


「違うよ。君の能力は〈魔道具に魔力を注ぐことができる〉こと!このメガネは魔道具だったんだよ」


「えーーー!!!」

私は思わず立ち上がって叫んでしまった。


「ローラ、落ち着いて」

ルーカスは私を座らせた。


「ごめんなさい。じゃあ、私はメガネという〈魔道具〉に〈魔力を注いで〉使っていたということ?」


「そうなるね。魔女っ子に変身してたでしょ?あれは呪いなんかじゃなく、魔道具の効果だったんだよ」


「じゃあ、私はメガネ(魔道具)を使って知らないうちに魔女っ子に変身してたことじゃない」


「その通り!君のチート能力で魔女っ子に変身してたということ。そして、ここも大事だよ。メガネ(魔道具)こそが僕の探しものだったんだ。これで両方一気に解決したね!やっぱり僕たちは運命じゃない?」


嬉しい反面自分で自分で自分の首を絞めていたってことじゃない。魔女っ子に変身する魔道具って何よ。


「さっきの〈ローラ、おしまい〉というのは何?」


「それはメガネの効果を終了させる呪文だよ。ちなみにメガネをかけて〈○○(名前)、はじめ〉と言うと効果が開始になるみたいだよ?」


「そんなことってありなの!?魔女っ子になる魔道具なんて何の意味があるの?」

私はメガネをかけて効果が開始になる呪文なんて言ったかな?………あ!


「ルーカス!確かに言ったかもしれない。メガネを自分のものにしていいと言われたあの日、私は同じ名前のローラちゃんに会ったの」

〈ローラはじめまして。私もローラって言うのよ。よろしくね!〉そんなことを言ったかもしれない。私はガックリと項垂れた。


「ローラ?元気出して。過ぎたことはしょうがないよ。これでメガネの呪いから開放されたじゃないか」

ルーカスは私の頭をヨシヨシと撫でてくれたのだった。



――――――――


ルーカスの説明をまとめると

○○(名前)、始め。〉でメガネの効果が発動

○○(名前)、おしまい。〉+手をパンと叩くで効果が終了。

ルーカスがさらに鑑定をしてくれて、なぜそんな魔道具があるのかもわかった。

昔、リンガール王国が魔法大国だった時代に作られたこの魔道具は一人の転生者が作ったものだった。その転生者は魔道具を作れるチート能力を持っていたけど、たいへん面倒くさがりの女性だったらしい。当時、魔法を司る部門で働くものは黒いワンピースか黒いマントを羽織るというルールがあったという。

つまり、このメガネ(魔道具)はたいへん面倒くさがりの彼女が仕事に行くのにすぐに支度ができるよう作られたものということ。


ルーカスが言いにくそうに説明してくれたけど、くだらなすぎて笑うしかなかった。魔女っ子アメリのを姿になるところをみるときっと令和の時代から魔法大国だった時代に転生したんだろう。まあ、そのおかげでルーカスに出会えたんだからよしとしよう。


ようやく私はメガネから開放され好きなワンピースを着ている……と言いたいところだけど、ルーカスが選んだワンピースばかり着ている。ルーカスは自分好みのものを恋人に着せるのが好きらしい。最近はルーカスの髪色や目の色に似た黄色や青系ばかり着せられてるけれど。もちろん、入浴時以外にはルーカスからもらったネックレスも身に付けている。


私は家に戻ると父には号泣されてしまった。メガネから開放されたこと、ルーカスに求婚されたこと父はとても喜んでくれた。




次話で完結します。

本日中に投稿予定です。

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