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幼馴染を起点とする異世界ハーレム   作者: 深夜二時
第二章 王女と公爵令嬢とエルフからの救援要請

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62.勾玉

お待たせしました。


2021/5/3 加筆訂正を行いました。




「なあ、そろそろまともな話がしたいんだが……」



 カオスな状況がざっと十分ほど続いた後、流石に痺れを切らしアリスに声をかけた。後一日か二日でエルフの里に着かないといけないからここに長居することは出来ない。

 

 帰りだったらどれだけ居てもいいんだけどね。



「あら、そうだった。あまり長居できないことを忘れてたわ」



「しっかりしてくれ……」



 こんなに抜けてる奴が王女で大丈夫なのかこの国……。



「もう行くの?お姉様?」



「ええ。プリムも今、世界樹が大変なことになっているのは知ってるでしょ?それを私達が収めに行くのよ」



「えっ、世界樹に行くのってお姉様達だったんですか!?」



「ええ、そうよ?」



 何故か焦り出すプリム。何か問題でもあるのかね?



 ……まず危険な場所に王女とかが行くことがおかしかったか。



「……まさかお姉様達が……でもそれならそれであれを渡さないと……お姉様、ちょっと待ってて!」



「え、ええ」



 それとかあれが多くてこんがらがりそうになったが、何か渡すものがあるらしく大急ぎで部屋を出ていった。



「なんだろうな、渡すものって」



「お守り、とか?」



「お守り……ねえ」



「なんとも……違う気が……」



 愛花のはなかなかいい予想だと思ったが、アリスとルーシャの反応を見る限り違うらしい。



「そんなにあの子がお守りを持ってくることがおかしいのか?」



「おかしいと言うより、似合わないって感じかな?」



「そうですね。あの子は神頼みするのは最後の手段と考えていますから。確実性を求めるので、賭け事やそれに近い行いはやらないことにしているそうです」



「ふむ……」



 ここらへんは流石に貴族の娘と言ったところか。六十パーセントの大きい利益を取らずに九十パーセントの小さい利益を取る、確かに重要なことだ。


 それしかやらないって言うのもまた違うと思うけどね。

 

 ま、それは今は早いか。まだ十二なんだしここから学んでいくだろう。



 ……偉そうなこと言ってるけど、俺もまだまだ未熟だった。偉そうにしてすみません。



「お待たせしました」



 戻ってきたプリムは、先程までのフレンドリーな感じではなくしっかりとした言葉遣いに戻っていた。そんなに重要な物なのか……。


 ほんの少し緊張しながらプリムの持ってきたものを見ると、赤と青の勾玉がそれぞれ一つずつある。

 

 ……勾玉か。



「お帰り。プリムちゃん、それは?」



「我が家に代々伝わる宝具です」



「「宝具!?」」



 俺と愛花の声が被った。でも仕方ないだろう、宝具なんて大事な物を持ち出されて驚かずにはいられない。



「プリムちゃん。なんでそれを私達に?」



「これは、正直なところ私達にもどんな代物なのか分かっていません。ですが、最近になって時々光るようになったんです。その時期が丁度、世界樹の暴走が始まった時です。なので、渡しておいた方がいいかと判断しました」



「そっか……」



 詳細の分からない、たまに光る勾玉か……。


 でも、それを家宝にするということは何か意味があるはず。その時も勾玉が光ったりしていたのかは分からないけど。

 

 これを家宝にしたプリムのご先祖様に話を聞きたいところだけど、流石にもういないだろう。



「プリム、この勾玉を家宝にしたご先祖様は誰か分かるか?」



「いえ……。ヴィルバート家の初代様だとは聞いておりますが、詳しくは……」



 ほう。このヴィルバート家の初代さんか。ならやっぱり意味があるんだろう。   

 そしてやっぱりプリムの言い方からして既に初代さんは他界されている。


 ……でも、詳しくは分からないってどういうことだ?貴族ってものは、自分の家を起こした人のことくらい子供に勉強させると思ってたんだけど。



「調べたりは?」



「何度か調べようとしたのですが、何故か初代様に関する本や、ページだけがないのです。まるで、その存在を無かったことにしたいかのように……」



 ……すっごい厄介事の臭いがするなぁ。


 や、だってそうじゃん?伯爵家の、それもわりと歴史ある家の初代さんに関する情報だよ?それが消されてるとか、闇でしかないじゃん……。



「……プリムちゃん。その話し、帰りに寄った時にまた詳しく聞かせてもらえるかしら?」



「はい。構いませんよ」



「お願いね」



 どうやらアリスも今の話しに思うところがあったようだ。何時になるか分からないが、帰りにまた改めて聞くらしい。その時は是非俺も一緒に聞きたい。


 ……厄介事とかいっておいてなんだが、俺はこういう面白そうな面倒事には進んで首を突っ込むタイプなのだ。



「まだ話したいこともあるけど、それは後回しね。あ、その勾玉はありがたく受け取るわ」



「どうぞ」



「ええ。さあ、そろそろ行きましょう。本当に間に合わなくなっちゃうわ」



「そうだな」

「そうね」



・~・~・~・



 客間を出てさらにそのまま領主の屋敷の外へ出る。



「短い間ですが、お世話になりましたわ」



「いえいえ、お気になさらず。またいつでもいらしてください」



「ええ、またお伺いしますわね」



 今は公の場なので二人ともそれに合わせた口調になっている。

 

 結局、領主であるクレイさんは来なかったので最後までプリムが対応することになっていた。



「クレイ卿に宜しくお伝えくださいまし」



「承りました」



「プリムさん、次回会う時もお元気で」



「もちろんです、ルーシャ様」



 社交辞令を交わし、ここでお別れである。

 

 もっとも、俺達は後ろで見ているだけでメインはアリスとルーシャ、プリムの三人だ。



 アリスとルーシャが先頭で歩き出したので、形だけでも二人を守るようにして俺達も動き出す。



「………………もういいか?」



「ええ、大丈夫よ」



「ふう、疲れた」



「ふふ、早く慣れた方がいいわよ?」



「ええ……」



 屋敷が見えなくなった辺りで俺達は息を吐く。やっぱりああいう雰囲気は疲れるのだ。



「にしても、本当に何なのかしらね。この勾玉」



「力を封印している、とかでしょうか?」



「でもサー姉、何の力を?」



「それは……ううん」



「リルは何か心当たりあるか?」



「…………たぶん、ない…………」



 たぶんって何だ、たぶんって……。



「まあ、何をするにもまずは里へ行きましょう」



「そうね、あと少しだもの」



「「「「はーい」」」」

「…………了解…………」



 アリスとルーシャに促され、俺達は考えるより足を動かすことを優先した。



 エルフの里はもうすぐだ。



 





勾玉っていいですよね。

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