53.伝説
お待たせしました。
今回は短いです。
「ワルーノの奴が迷惑をかけたようだな。貴族を束ねる者として謝罪する。すまなかった」
「国王が謝る必要はないだろ。というか謝る相手も俺じゃないし。あいつに相応の罰を与えてくれれば俺はそれでいい」
場所はこの前と同じ部屋。集まっているのもこの前と同じ人物。そこで俺達はルーシャから先程の出来事について説明を受けた国王から謝罪されていた。
前回と違う点はアリスとルーシャがいないことと、サーシャとミーシャが愛花に引っ付いて離れないことか。いくら落ち着いたと言えどトラウマを刺激されたためにまだ気持ちが安定していないようだ。
少し話しても動こうとしなかったので今回はこのままということになった。
因みにアリスとルーシャはエルフの里に行くことを考えて今は休んでいるとのこと。
「そうか。だがこちらとしても立場があるでな、形だけでも受け入れてくれ。彼女達に対してはまた、話しても平気なようになったら改めて謝罪をしよう」
「……わかった」
こちらとしては適当に罰を与えてもらって、サーシャとミーシャに接近されなければそれでいいのだが。正直なところサーシャとミーシャには謝る以前に近付かないでもらいたいのが本音だ。明らかに王族と貴族、というか男性に対して怯えちゃってるし。一応俺は近付いても平気みたいだが、それでも少し無理してそうなので今は近付かないことにする。
話が逸れたが、王族や貴族には俺達が知らないルールがあるのだろう。もうこればっかりはそういうものだと割りきった方が速いかもしれない。二人が話せそうになったら、ということだし今はそれでいいかな。
ともあれ、今回の件で二人のトラウマの原因があいつだと分かった。あいつには二人のためにもどこか辺境で大人しくしていてほしいもんだ。そこまでの罰は下らないかもしれないが。
これが元々辺境の地にいるとかだったら笑えるんだけどなぁ。
「それで、今回の件について耳に入れておいて欲しいことがある」
「ん?なんだ?」
まだなんか厄介なことでもあるのか?
一般市民の俺からしたらもう腹一杯なんだけど。
「この前、財産没収をした貴族がいると話したのは覚えているか?」
当たり前だ。なにせそいつのおかげで俺達がエルフ奴隷を手に入れられるんだから。
忘れるはずがない。
「ああ、覚えてるぞ」
「なら話が速い。実はな、その貴族と今回君らが遭遇した貴族は互いに仲が良くてな。もしかしたらその二家で手を組むかもしれん」
うげぇぇぇ……。面倒くせぇぇぇぇ……。
「マジかよ…………なあ、まさかと思うけどそいつら同じ派閥とかだったりするの?」
「察しがよいな……その通りだ。そやつらはとある侯爵家の一派だ。この派閥には普段から頭を抱えさせられるわい。金を横領していたり、違法な奴隷を扱ったりと問題しかない」
ははは、終わってる~。もはや笑うしかねぇ~。
「って、あれ?そんなにとんでもないことしてるのになんで未だにその派閥が存在しているんだ?」
普通なら処刑なり爵位剥奪なりと何かしら手を打つものだと思うが。
「ああ言い忘れておった。先程の事柄は全て推察なのだよ。どこからどう見てもあ奴らがやったのに証拠が何も無いせいで追及ができんのだ。本当に腹が立つ奴らだ」
「証拠か……」
確かにそれが無いんじゃ何も出来ない。仮に追及したとしてものらりくらりと躱され、挙げ句冤罪だと言われてしまえばこちらが圧倒的に不利となる。
「まあ、それについてはこちらで何とかする。とりあえず今は本来の目的を果たそうではないか」
「おう、わかった」
そうだな。俺が考えたところで何か出来るわけでもないんだしあちら側に任せるとしよう。
「さて、世界樹についての詳しい話だが……知っての通り、儂らも文献から知識を得ているだけで実際に体験したわけではない。それ故、現実とは異なる点も多いと思うがそこは理解してくれ」
「もちろん」
逆に実体験あったらすげぇよ。年齢いくつだよ。
「うむ。ではまず一つ、そもそもの世界樹の位置だな。エルフの里が北西にあるのは話しただろう?」
「ああ」
具体的な距離は言われてないけど。
「その里の中央に世界樹はある」
「でかいのか?」
「無論、果てしなくでかいぞ」
「里につけばすぐ分かるほど?」
「里に着く前から分かるくらいには大きいと思うぞ」
それだけ大きければ見つけるのに問題はなさそうだな。
「でもそうなると被害の範囲も大きくならないか?」
周囲にある魔力を含むものをひたすら食べるんだろ?被害がとんでもないことになるのでは……。
「だからこそ早めに行って欲しいのだ」
「今でも結構まずい状態だったりするのか?」
「そうだな……まだ本格的な暴走には入っていないが、後三週間もすれば完全に暴走するだろう」
三週間ね……。
「因みにここからエルフの里にはどれくらいかかる?」
「おおよそ二週間だ」
「本当に時間ないな……」
三週間後に到着するのでは遅い。その頃にはもう本格的な暴走に入っている。これを考えるとこの王都に留まっていられるのは長くて五、いや4日だな。向こうの地理を把握する時間を考えるとこれがギリギリだろう。
「突然で申し訳ないとは思っている。だがこれも残された伝説によるともう頼れるのはお主らしかいないのだ」
ん?伝説?
この前はそんなこと言ってなかったけどな?
「なんだその伝説ってのは。この前は何も言ってなかったよな?」
「ああ。あの後、この城にある図書を漁ったのだ。すると世界樹に関する本が出てきてな。そこには世界樹に関する様々な情報がのっていて、その中に今言った伝説というのも書いてあったのだ」
ふーん。そんな本があったのか。
「その伝説はなんて書いてあったんだ?」
「うむ。『"頂の乙女達と波動の合う者"が"未知の意識と邂逅した時"、解は出る』とな」
ーーええぇぇ……訳わかんねぇ……。
これがなんで俺達になるんだよ……。
中二病文が思い浮かばなかった……残念……。
もしいいのが考え付いたら後で書き換える、かも?




