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幼馴染を起点とする異世界ハーレム   作者: 深夜二時
第二章 王女と公爵令嬢とエルフからの救援要請

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43/80

43.事のあらましと獣耳と

お待たせしました。


それではどうぞ。


2021/4/1 加筆訂正を行いました。




 シューバへの帰り道、商人の護衛をしていたら王女と公爵令嬢の乗った馬車に遭遇した。

 しかも王女は矢で腹を貫かれていた。


 幸いにも俺が治療したので一命を取り留めたが今は痛みやショックからか気絶している。



「本当に助けて頂きありがとうございました」



 そういって頭を下げるセールス公爵令嬢ことルーシャ。


 これには周りの騎士達がざわめいた。

 そりゃそうだろう。こんな何処で生まれて何処で育ったかも分からんただの冒険者に国のトップに近いレベルである存在が頭を下げたのだ。付け加えるなら自分のことというわけでもない。

 俺も顔や態度には出さないが驚いてるし。



「頭を上げてくださいルーシャさん。助けられそうな人がいたから助けた、それだけのことです」



 そういうと頭を上げたルーシャ。



「それでも助かりました。話したいことがありますのでこの後残ってもらっても良いですか?」



 まあ何もなく終わりになるわけないよな。

 こういうのには何かしらの褒美が出るはず。さて、何がもらえるのやら。期待してますよ?フフフ……。


 ただその前に確認しないといけないこともある。



「勿論構いませんが、自分は今商人の護衛として雇われていますので確認を取らない限りはなんとも」



「分かりました。ではここでお待ちしていますね」



「あと、自分の他に仲間が三人いるんですがその人たちも連れてきて良いですか?」



「はい。むしろ連れてきてください。重要なことですので」



 あら?仲間を揃えないといけない程そんな重要な話しなの?



・~・~・~・



「商人さん。やっぱり王族と貴族が乗った馬車でした。それでこの後に話をしたいと言われたんですが、行ってきても良いですか?」



「ええ、いいですよ。というか王族や貴族の方達の話を無視なんてしたら大変なことになりますよ……」



 あれ、なんか商人さん遠い目してる?

 なんでだろう?



 まあいっか!

 許可も出たことだし愛花達を連れてルーシャの元へ向かうとしよう。



・~・~・~・



「ルーシャさん。戻りまし……た?」



 ルーシャの所へ向かうと金髪の少女と目があった。



「あなたは?」



 いきなり質問ですかい。

 名乗らせる時にはまず自分から、という言葉を贈呈しよう。

 王女だと分かっているから結局名乗るんだけどな。



「俺は鈴き「この方はあなたを助けてくれた方とそのパーティーメンバーの方達ですよ」海斗……です。はい」



 自己紹介しようと思ったらルーシャに遮られてしまった。

 別にいいんだけどさ。



「そうだったのですね!危ないところを助けて頂き感謝してますわ。なんとお礼をすれば良いのでしょうか……」



「アリス。お礼の前に説明が先決なのでは?」



 うんうん。お礼も嬉しいけど是非とも事情を教えてくれると非常に助かるかな。



「あら、そうでしたわ。(わたくし)としたことが……。失礼いたしました」



 このお姫様、ちょっと抜けてる?

 起きたばっかりだからなのか?


 まあいいや。愛花達の挨拶を早々に済ませ話を聞く体制に入る。



「それではこちらも自己紹介させていただきますわ。(わたくし)はアリス・フォン・ルーズ・ローエイと申します。この国の第一王女ですわ。今年で15歳となります」



 第一王女か。結構重要な人なんだな。王女の時点で今更か。

 年齢は俺や愛花と同い年……ああいや、今年でってことは今は年下か。



(わたくし)達は東の方にある街へ視察に行っていて、今はその帰りですわ。本来ならルーシャのお父様が一緒に来てくださる予定だったのですが、王都で問題が起きたらしく急遽私とルーシャ、それから騎士の皆さんだけで向かうことになったのです」



 問題?何があったんだ?

 内容によっては今回の暗殺の件と絡めて考える必要が出てきそうだが。



「問題って何があったの?」



 やっぱり愛花もそこは気になるよね。



「聞くところによれば王城を初めとする主要な建物に侵入者がいたとか。それもあって危険なところにいるより外に出た方が良いということで直ぐに準備を整えしゅっぱつしたのです」



 いやそれどう考えても今回の件と繋がってない?

 二人が外へ出たところを狙って暗殺しにきたとしか考えられないんだが。



「それ、今回の暗殺者と繋がってるんじゃない?」



「私もそう考えたのですがそれにしてはタイミングが遅いかなと」



「普通狙うのなら(わたくし)達が王都を出た直ぐだと思いますの。隣の街へ向かう程度なら帰ってくる時というのも考えられますが今回はかなり遠い街への視察。帰ってくる時なんて予想がつきませんし、あまり現実的ではないと思いますわ」



 なるほど。時間差の問題か。

 確かに帰ってくるのを狙うのは不自然だ。


 これが地球なら話は別だった。地球は鉄道や飛行機などが通っており、それらは例外を除き時間通りの運行だ。これだったら帰りを狙うということも可能である。

 だがここは異世界。移動手段なんて徒歩か馬車しかない。それを考えるとあまりにも帰りを狙うというのは非現実的だ。



「そもそもの話、命を狙われるような覚えはあるのか?」



(わたくし)自身としては敵を作った覚えはありませんが、相手からしたら恨みの対象になっているということはあり得ますわね。そうでなくとも王女なんて使い道が沢山ありますから、私怨関係なく狙われてもおかしくはないかと」



 つまり敵を絞る手がかりにはならない、と。



「このまま考えていても話は進まないでしょう。なのでこの後のことを話しませんか?」



 四人で唸っているとルーシャが提案してくる。

 因みにサーシャとミーシャはさっきから固まっている。

 王女と公爵令嬢相手は分が悪いかな?



「そうね。この後私達はどうなるのかしら?」



「簡単に説明致しますと、まず回復魔法を使える人を一人こちらの馬車へ乗せて欲しいです。何かあっても対応できれば問題ないですからね。次にあなた方四人には王城へ来てもらいます。今回の事の説明と、褒美に関しての話があると思います。その後については申し訳ありませんが私達の口からはなんとも」



「馬車に乗せるといっても俺達は今雇われているんだぞ?」



 流石にあの商人をほっぽりだしてこちらの護衛につくということは出来ない。



「それについては、私が交渉してきます。ご心配なく」



 交渉というか、圧力では……?



「交渉です。分かりましたね?」



「アッハイ。分かりました」



 怖い怖い怖い!逆らっちゃいけないオーラ出てたよ今!

 余計なことは考えないようにしよう……。



「回復魔法は私と海斗が使えるわね」



「なら愛花が乗れよ。男が乗るのはまずいだろ。サーシャ達のこともあるし」



 流石にサーシャとミーシャ二人だけにすることは出来ないしなにより俺が馬車に乗ったらいらぬ誤解をされそうだ。



「少しよろしいですか?」



「ああ、なんだ?」



「こちらのお二人の身分の程は?」



「奴隷だが?」



 そう答えると僅かに二人の目が厳しくなる。



「どちらの、ですか?」



「どちらのというか、俺と愛花の共有奴隷だな」



 厳しい目から一転、驚いた顔をするアリスとルーシャ。

 ……今思ったけどルーシャとサーシャとミーシャって全員最後が「ーシャ」になってるんだな。


 うん、どうでもいいな。



「共有奴隷、初めて見ましたわ」



「私も見たことは無かったですね」



「やっぱり珍しいのか?」



「ええ、それはもう。奴隷というのは今まで散々見てきましたが、共有奴隷は初めてです」



 王女や公爵令嬢という立場上、奴隷などを見たりする機会も多いのだろう。恐らくは違法の奴隷とか。

 あるのかは分からないが俺は違法奴隷がいると思っている。奴隷制がある以上、そういう問題も付き物だろう。



「あの、耳とか触らせて頂いても?」



「それは俺じゃなくて本人に聞いてくれ」



 なんで俺なんだ。主人だからか?

 というかもしかして二人とも獣耳好きだったりするのか?

 なら俺達の仲間だな!



「えっと、触っても良いですか?」



「は、ははははい!いいいですよ!」



 テンパるサーシャ可愛い。



「あの、私もよろしいですか?」



「は、はい。大丈夫です。」



 お、珍しくミーシャが敬語使ってる。

 流石に王女相手じゃそうなるか。



「それでは、失礼して……」



 アリスとルーシャが恐る恐る手を耳に伸ばす。

 そして触った次の瞬間ーー。



「ふわあぁ、凄いです!もふもふしてます!」



「き、気持ちいい!凄い気持ちいいです!」



 あれ?二人ともさっきまでの人と同一人物だよな?

 とてつもなく蕩けた表情をして耳ーーというかもはや頭ーーを撫でている。



「分かる、分かるわその気持ち。あれは至高よね」



「確かに気持ちいいけど、あんな表情になるか?」



「何言ってるの?海斗が一番分かりやすいわよ!」



「えっ!俺そんな顔してるの!?」



 嘘だろ!?



「正確に言うと違うけどね。海斗は普段がポーカーフェイスだから違いが分かりやすいのよ」



 ああ、なんだそういうことか。


 俺は昔からよくポーカーフェイスだと言われている。

 内心で笑っていても顔にでないから周囲にはよく笑わない巨人と言われていた。


 だからこそ顔の変化が分かりやすいと、愛花はそう言いたいらしい。



「でも確かにあれは気持ちいいよな」



「そうよね!私も後で触らせてもらおうっと」



 それはいいけど、このままいくと日が暮れる気がしてならない。



 ま、もう少ししたら落ち着くだろう。

 今はこの尊い空間を見守るとしよう。



 


ここから二章になります。

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