40.さて、シューバに戻りますか
物語の構造上、今回は短いです。
下賤な輩をボコボコにしたのはいいものの、お陰で依頼を受けるパーティーが一つ減ってしまった。
こんなことは当然始めてのことなのでどうすればいいのか分からない。
とりあえず商人さんを待つことにした。
「これ報酬が減ったりするのかな?」
「せめて五枚は欲しいわよね」
「そうだなぁ、半減は痛いけどそれ相応のこともやっちゃったし」
予定を崩される商人からしたら迷惑の一言だ。
商人は自分を守ってくれる人を頼んでいるのだからこちらの勝手な都合で守る人が減っていたらたまったもんじゃないだろう。
商人さんが来るまでの間、素振りなり魔法なりをやっておく。
「どうだ愛花?どこまで魔法を使えるようになった?」
「そうねえ……。ジャベリン系が安定して使えるくらいかな」
「ほおぉ、やるじゃん」
ジャベリン系と言えば中級あたりの魔法使いが使うレベルの魔法だ。
本来ならこんなに早い時間でここまで到達することはありえない。
だが、俺達は異世界からの転生者。
日本で培った想像力(※妄想力)のお陰でこの程度なら何の問題もなく魔法を使うことが出来るのだ!
……待ってやっぱり嘘。
俺達は普通と全く違うやり方をしているせいか魔力の操作を失敗することがたまにある。
失敗するとどうなるのかと言うと、魔法が発動しなかったり、予想とは全然違う方向に魔法が発動したり、果てにはその場で爆発して自分がダメージを負うことさえある。
基本爆発することは無いのだが、極々稀に爆発させてしまうことがある。
原因としては自分の中の魔力消費量のイメージと、実際の魔力消費量の違いということらしい。
らしいと言うのは他の冒険者、聞いた話だからだ。
ギルドに通っているとわりと他の冒険者と話をする機会がある。
その時に魔法使いだというBランクの男性冒険者に聞いてみたのだ。
魔力の扱い方を教えてくれってな。
初めは教えるのを渋っていたんだが、酒を飲むと気が良くなったのか色々教えてくれた。
やっぱり酒の力は偉大だな!
尚、酒は飲んだ、ではなく飲ませた、が正しい。
因みに計画犯も実行犯も俺ではなく、全て愛花だ。
女性って怖いね。
っと話が逸れた。
とどのつまり俺達も魔法はまだまだ練習中でありもっと上達できるというわけだ。
次はストーム系の魔法だが、これをやる前に魔力操作の精度を上げること優先にしようと思う。
おっ、商人さんが到着した。
「皆さんお待たせしました」
今のところ怒った様子なし。
はてさて、どう言い逃れするか……。
「どうやら皆さん一悶着あったようですね」
「ええ、まぁ」
あれ?もしかしてさっきのこと知ってるのか?
知ったような口振りだが。
「ここにくる道で冒険者を引きずっている衛兵さんとすれ違ったのですよ。盗賊の類いかと心配になり聞いてみたら冒険者同士の争いだと言われたので気になったのですが、皆さんでしたか」
ああ、そうか。
時間的にも衛兵とすれ違っていてもおかしくはないのか。
「そうだったんですね。仲間に手を出されそうになったのでつい、やっちゃいました」
「それは災難でしたね。お怪我はありませんか?」
「ええ、無事です」
「なら良かったです」
「ご心配ありがとうございます。ですがそのせいで護衛するパーティーが一つ減ってしまいました」
やっぱり怒られるかな……。
「それなら問題ありません。行きの時にあなた方の実力は見させていただきましたから。あなた方なら一パーティーでも大丈夫でしょう」
怒られはしなかったけどプレッシャーをかけられてしまった。
これは失敗できん。
「実力を認めていただけるのは嬉しいですが、本当によろしいんですか?」
「ええ、頼みますよ」
「分かりました。頑張ります」
ここまで言ってくれたんだ。期待には応えないと。
「すみません。質問なんですけど今回の件で報酬が減ったりとかは?」
愛花よ、そこはわざと聞かないでおいたのに。
「変わりませんよ。あなた方に落ち度はありませんし、あくまで依頼は私の護衛ですからね」
つまり守ってくれさえすればパーティーや人数は問わないってことか。
「それが聞けて安心しました」
「ええ、ええ。報酬は重要ですからね。言質をとるのは重要なことです」
そう言いつつ俺に向かって微笑む商人。
……なんだよ、聞かなかった俺に対しての忠告ですか?
「フフ、次から忘れなければいいんですよ」
「……善処します」




