4.ここが異世界……。
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2021/1/20 文法の修正を行いました。
「ん……ここどこだ?」
あれ?俺この前も同じこと言った気がするぞ?
……気のせいか!
それはそうと、愛花はどこだ?一緒に転生したから近くにいるはずなんだが。
とりあえず起きるか。
と、起き上がろうとして地面に手をつこうとすると何やら柔らかい感触が。
「ん?なんだこれ?」
揉んでみるとやはり柔らかい。
それと同時に愛花の呻き声が聞こえた。
「良かった。愛花いたの、か?」
あれ?右手に柔らかい感触、愛花の呻き声、一緒に転生……。
あれれ?俺もしかして、やっちゃった?
「んん……。海斗……?私の胸触った?」
やっぱり胸だったーー!?
まずいどうやって誤魔化そう!?
いや待て、愛花はまだ意識が完全には覚醒していない。
ここでいつも通りの俺を演じればバレないのでは!?
よ、よし!俺、いつも通りだ!いつも通りを演じるんだ!
「いや?しゃわってないよ?」
噛んだーー!噛んじゃった!!
バレたよね!?
これバレたよね!?
俺転生して一時間もしないで死んじゃうの!?
「……今回は見逃してあげる。流石に不可抗力だっただろうし」
生きた!!
生き延びたよ俺!!
「ありがとうございます愛花様ーー!!」
「そんなこと言ってる暇あったら状況確認しろ!」
「はい!今すぐ!」
とまぁ茶番は置いておいて周囲の確認だ。
場所はアークが言っていた通り人が全くいない森の中だ。
というか、ここまで人の気配がないとちゃんと村や街に辿り着けるかどうか心配なんだが。
流石にそんな場所には転生させていないと信じよう。
また、水の音が聞こえることから近くに川があるのだろう。綺麗な川ならと前提がつくが、とりあえず水の心配は無くなっただろう。
他に特筆することは無さそうだ。
強いて言うなら見たことのない花があるくらいかな?
見た目タンポポなのに色が赤とか、サルスベリのような木からアサガオらしき物が生えているとかだ。
こういうのをみると異世界へ来たって感じがして感動する。
「あれ、もしかして道かな?」
「え?道なんてあるか?」
「ほら、あれ。薄らと人が歩いた跡がない?」
そう言って愛花が示した方向には確かに人の足跡と思わしき物があった。
「確かに跡があるな」
「なら、あれを辿って見ましょう。村とかが見つかるかも」
「あ、ちょっと待った。その前に水を飲んで行こう。近くに川があるはずだから」
「それもそうね。少し喉渇いてきちゃったし」
「音の感じからするとこっちの方かな」
予想通り歩いてすぐの所に川があった。それもかなり綺麗な川だ。正直森の川だから少し汚れていると思っていたんだが全然そんなことはなかった。普通に飲み水として使えるレベルだ。
「っん、ぷはぁ。海斗、この水美味しいわよ。飲んでみて」
「よし、俺も飲むか」
体を屈めて直接水を飲む。
お、確かによく冷えていて美味しいな。
「ゴクッゴクッ……っはぁ、美味いな!」
「でしょ!」
「ああ。さて、元の位置に戻ってさっきの道を歩くか」
「そうね。どれだけ歩くのか分からないけど、とりあえず行ってみましょう」
元の位置に戻るまでの間に何があるわけでもなく、俺達はその道とも呼べるか怪しい道を歩き始めた。
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