33.話がいろんな方向に飛ぶねぇ……。
昼ごはんを食べ終わった後、俺と愛花はまたレニーさんに呼ばれて奥の部屋に入った。
因みにサーシャとミーシャはまだ食堂で昼ごはんを食べている。
二人きりにするのは心配だったが、レニーさんとは別のギルドの受付嬢さんが見てくれるというので任せてきた。
「待たせたわね」
「いえいえ、丁度昼ごはん食べ終わったところだったので大丈夫ですよ」
本当に、ずっと見られていたのかと思うほどにピッタリのタイミングだったのだ。
「まあ見てたから分かってはいたんだけどね」
見られてたわ。
あれ?でもレニーさんは受付の方にはいなかったはず。
何処から見てたんだ?
「何処から見てたんですか?」
「場所はギルドの奥よ。どうやって見ていたのかっていうと、私のスキルね」
ああ、スキルか。
細かくは分からないけど恐らく特定の対象をなんらかの制限付きで見れたりするのだろう。
「もっともこのスキルを使っている間は目の色が変わるから周囲にはすぐバレるんだけどね。普通なら」
やっぱり代償があったか。
スキルを使っていることがバレるのはこのスキルに関しては致命傷だと思うけどな。
でも普通ならってどういうことだ?
「え?レニーさんの目の色、変わってないですよ?」
とは愛花の言葉。
俺はそんなこと全く気付きませんでした。
「あ、分かった?実はね、幻影魔法を使って隠してるのよ。今魔法を解くわね」
そう言って魔法を解いた後のレニーさんを見てみる。
先程までは真っ赤な赤い瞳だったのが今は金色の瞳になっている。
スキルを使っていると金色の瞳になるのか。
これは確かに目立つな。
赤い瞳の人がいきなり金色の瞳に変わったら誰だって気付くだろう。
前髪とかで隠せれば良かったのだけれど、レニーさんの髪は額の少し下で切り揃えられていて難しそうだ。
というかレニーさん、落ち着いてよく見るとカッコいいな。
身長も百七十はあるだろうし髪は緑色のショートでスタイルもしっかりしている。
実は結構モテているのでは?
「何考えているのか知らないけど、私はまだ独身よ」
いやいやいや!
絶対分かってるよね!?
俺の考え読んでますよね!?
じゃなきゃこんな答えを返してくる筈がない。
「そんなこと今は話してません!早くお金と引き換えてください!」
ヒェッ!?
愛花さんご立腹!?
なんで!?
「あらあら。うふふっ。大丈夫よ、狙ってないから」
「むぅ……」
狙うって何を?
まさか命!?
い、いやそんなことはない、はず。
「ま、カイトくんの勘違いは置いといて、お金の話に戻りましょうか」
「何の勘違いですか!?いやそれはこの際どうでもいいです。それよりもあのスキルって使うと体の一部が変化するんですか?」
そうだ。
勘違いなんかよりこっちの方が重要だ。
将来使うとなった時にデメリットを知っているのといないのじゃ、大きな差だからな。
「そうね……。変わることもあるって言っておくわ。詳しいことはもう少しあなた達が強くなってからね」
……そんな簡単には教えてくれないか。
まあ、いい。
聞けるときが来たらまた聞こう。
「分かりました」
「いい返事ね。それじゃ、これが依頼報酬の金貨三枚。それから十四匹分の追加報酬が金貨八枚、なんだけどあなた達は異例の才能があるってことでさらに金貨二枚。合計金貨十三枚ね」
異例の才能って……。
そんなに特別なことはしてないんだけどな。
それに百歩譲って異例だったとしてもそれが原因で金貨二枚追加って、よく分からん。
「異例の才能って、なんかプレッシャー感じるんですけど……」
愛花も同じだったらしい。
「気にしないでいいわよ。私の期待を込めただけだから」
「「それをプレッシャーというんです」」
「二人とも仲が良いわねーー!そんなお二人さんは金貨を持って待ち人二人の所へお帰りくださーい。さあさあ出口はあちらですよーー!」
「あっ、ちょっと!」
「うわ!?押さないでくださいよ!」
愛花と二人揃って押し出された。
「……あれ図星ってことだよな?」
「……そういうことなんじゃない?」
ええ……。
気楽にやりたいんだけどなあ。
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