30.群れとの戦闘
サーシャとミーシャに説教された後、重大なことに気がついた。
相手は待ってくれないということだ。
何が言いたいのかって?
つまりだな……。
「多数相手の時って魔法も使った方がいいのかな?」
「海斗の力量に任せるわよ」
絶賛ホーンラビットの群れに囲まれております。
いやね?
回復魔法が使えたことと二人からの話に感動していたらいつの間にか囲まれていたんだよ!
しょうがないじゃん!
何かをやりとげた時って油断するものでしょ!?
よって俺は無罪!
「なに考えてるのか知らないけど、とにかくこの状況をどうにかしないと」
「うす!どうにかします!」
そうだな。
とりあえずこいつらどうにかしないと話にならんよな。
まずは状況確認。
今俺達は四人で背中合わせに立っている。
それを囲うように十五匹のホーンラビットが円を組んでいる状況だ。
周囲の状況としては、俺達以外に魔物と人はいない。
つまりこれ以上敵が増えることもないが助けを呼ぶことも出来ないということだ。
木はそう数が多いわけでも無いが見通しが言いとも言えない程度。
単純に考えて一人三匹か四匹倒せれば十分な計算だ。
さて、どうするか。
「愛花。大量の水用意して」
「何するの?」
「火魔法を使う」
「ああ……そういうこと」
そういうことである。
要は燃やした方が速いんじゃね?ってことである。
威力を間違えると俺達も燃えるけどな。
「成功するの?」
「やり方は分かるから問題ない」
火は回復と違って面倒な工程がいらない筈だから水の時と同じようにすれば出来ると思う。
「全部倒せる?」
「流石に無理かな」
相手が一方向ならいけたかも知れないが今回は円状だ。
一気に殲滅は無理だろう。
「そう。なら私達は残りを倒せばいいのね?」
「ああ。ただ愛花は火を消してからな?」
「分かったわ」
火を消すことは忘れてはいけない。
さっきも言ったが俺もまだ死にたくないからな。
「やるぞ。皆準備はいいか?」
「いつでもいいわよ」
「大丈夫です」
「問題ないよ」
確認が取れたので行動開始。
「ほらよっと!」
俺の前方にいるホーンラビットに向かってファイアボールを放つ。
上手くいくか若干不安だったが問題なく発動した。
ホーンラビットの方は突然俺が魔法を使ったことに驚いているのかファイアボールをくらった数匹は俺達から離れ、残りは警戒心が一気に俺に向いた。
ここで俺の予想外のことが起きた。
いや、よく考えれば分かることだったんだけどね?
警戒心強いとどうなるって普通は距離をとるかもしくは攻めてくるじゃん?
今回は攻めてきたんだよ。
で、ホーンラビットは円を組んでいる。
俺達はその中心。
ここから導き出される答えは?
そう!
「きゃあ!?」
「うわわ!?」
「危な!」
俺以外の三人を無視して突っ込んで来やがった。
「ほい」
そして俺はしゃがむ。
するとどうなるか。
「「「「「「ギャン!?」」」」」」
全員正面衝突。
K.O.
十五匹の内十匹が沈んだ。
こうなればここはサーシャとミーシャに任せて俺は残りを倒しに行った方がいいだろう。
「サーシャ、ミーシャ。こいつらにとどめ刺しといて。愛花は俺と一緒にあっちの後始末な」
「わ、分かりました」
「はーい」
「分かったわ」
後ろでサーシャとミーシャがとどめを刺す音を聞きながら俺と愛花は火の出ている方へ向かう。
「あれ?もう事切れてない?」
「あ、本当だ」
火が弱点だったみたいだな。
「じゃあ一緒に撃ちましょ。その方が早く消えるでしょ」
「そうだな。それじゃ」
「「せーの」」
バシャーー!
結構な量の水を出したおかげで火もすぐに消えた。
事切れているホーンラビット達をアイテムボックスにしまい、サーシャ達の元へ戻る。
「終わった?」
「終わりました」
「終わったよ」
こっちも問題ないようだ。
「それじゃ少し休憩するか」
「そうね、緊張しちゃったし」
「私も疲れました……」
「私も疲れたな」
皆疲れているようだ。
周囲に魔物はもういないし、少し休んでいくかな。
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