25.ミーシャvs.ホーンラビット
前々回もそうだったんですけど戦闘シーンって書くの難しいですね……。
魔物狩りとはいったものの肝心のホーンラビットが見つからない。
「ホーンラビットってどこにいるんだ?」
「森ならいると思います。ここみたいな平原でもいることはありますがはぐれ者か変わり種の可能性が高いです」
変わり種?
突然変異体みたいな物か?
「変わり種って何?」
「変わり種は、分類としてはそれぞれの魔物と同じ種族になるのですが戦力や生命力等が強化された珍しい個体のことです」
「他の個体より強くて珍しいか。売ったら高くつくのかな?」
「相場は分かりませんがかなり珍しいので魔物によっては大金貨十枚はいくかと」
大金貨十枚って千万円じゃねぇか!
高!
変わり種高!
「それってどのくらいの確率で出会えるの?」
あっ、聞きたいことを先に聞かれてしまった。
まあ張り合うことでもないし傍聴していよう。
「そうですね……。高ランクの冒険者なら三年に一回、民間人なら一生で一回といった感じでしょうか」
そりゃ珍しいんだから確率も低くなるよなぁ。
「それじゃあ出会えたらかなり幸運ってことね」
「そうなりますね」
……死ぬまでに会ってみたいな。
サーシャの話だと冒険者をやっていれば遭遇する確率は上がるそうなのでこのまま冒険者を頑張ろうかな。
「ただ、出会えたとしても今の私達の戦力だと手も足も出ないと思いますよ?」
やっぱりそこが問題か。
「変わり種ってどれだけ強いんだ?」
「元の種の五倍は強いと聞いています」
「五倍」
「五倍です」
確かに無理っぽいな。
まだ戦ったことがないからなんとも言えないが少なくとも今のままではキツイ気がする。
「地道に冒険者やっていればいつか出会うだろうから今は無理して探さなくていいんじゃない?クエストもやってれば自然と鍛えられるだろうし」
「それもそうだな」
別に期間限定というわけでもないんだし。
今焦ってもいいことはないよな。
所変わって森の中。
「久しぶりな感じがするわね」
「まだ一日しか経ってないけどな」
あれだけ濃い出来事があったから時間が長く感じてしまうが実はまだ一日しか経っていないのだ。
時の流れというのは面白い。
「ん?」
「どうしたの?」
「殺気を感じた気がするんだよ」
「何かいるの?」
残念ながらそこまでは分からない。
だが獣人二人は違ったらしい。
「……奥に何かいますね」
「数は一、かな?」
ミーシャがそう言った直後、前方にある茂みから何かが飛び出してきた。
「ホーンラビットですね」
ホーンラビットってことは今回の討伐対象か。
「私がやってもいい?」
ミーシャが体をうずうずさせて聞いてくるので許可を出す。
「よしっ、それじゃあ……」
ミーシャがやる気を出して前に出たところで相手が突っ込んでくる。
あれを諸に受けると痛い、というか大怪我する。
たとえホーンラビットと言えど魔物は魔物なのだ。
致命傷を負わせる程の力はあるから侮ってはいけない。
「遅いよー」
だが体を横にずらし難なく躱すミーシャ。
そして標的を見失ったホーンラビットが勢いそのまま俺達の所へ突っ込もうとしたところでミーシャの攻撃が入る。
「ギャウン!」
どうやら体の後ろ側に当たったようだ。
「とどめっ!」
攻撃され地面に留まっていたホーンラビットだが、直ぐ様立ち上がりミーシャへと向かおうとする。
そしてミーシャはその立ち上がりを利用して飛び上がったところを上から地面に叩きつける。
そのまま少し待ったがホーンラビットは動かない。
どうやら死んだようだ。
「どう?良くできてた?」
「ああ、良かったよ。とどめの一打は良く出来てたぞ」
褒めて欲しそうに瞳を輝かせていたので要望通り褒めてやる。
「やったー!」
ガッツポーズを作り喜んでいる。
そして勢いよくサーシャへダイブした。
ダイブされたサーシャは大変そうだがミーシャは楽しそうだ。
……過去に何があったかはまだ分からないが、こうやって俺も愛花も含めた皆が笑っていられる光景を大事にしていきたいと思う。
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