20.優柔不断と癒し
今回は途中から愛花視点になります。
·~·~·~·で区切っていますのでご確認の上でお読みください。
前回のあらすじ。
何故か獣人二人から頭撫でろと言われた。
以上!
いやほんとなんで?
ここまで抵抗すると俺が嫌がっているように見えるかもしれないがそうじゃない。
日本で異世界物を読んでいた人ならわかるはずだ。
獣人は基本耳や尻尾を他人に触らせないということを。
耳や尻尾は家族、恋人以外には触れさせないことを。
そんな大事な部分に俺が触っていいのだろうか?
奴隷と主人という関係柄やろうと思えば出来るのだが、無理矢理するのと二人からお願いされるのでは意味合いが全く違ってくる。
「本当に撫でていいの?」
「はいっ!お願いします!」
こう言ってるんだし、撫でたって何も言われないよね?
と心の中で自分に言い聞かせていると……。
「ああもう焦れったいわね!」
どわっ!?
後ろから愛花に背中を押され、そのままの勢いでサーシャのいるベッドにダイブする。
「ちょっと、いきなり押すなって!」
「だって焦れったいんだもん」
「焦れったいって、お前なぁ……」
「そんなことよりいいの?サーシャちゃん泣いちゃうよ?」
「え?」
見ればサーシャが泣きそうになっている。
「ご、ご主人様は、私の体、触りたく、ないんですか?」
グハッ!?
上目遣い+涙目は俺に効く!
そんなことをされたら撫でしかないじゃないか!
サワサワ、モミモミ。
ああ〜癒される〜触り心地最高〜。
「ひゃう。い、いきなりは、ずるいです〜」
「でも触って欲しかったんだろう?」
「そ、それはっ、そうで、んっ、すけど〜」
「ほれほれ、ここがいいのか?」
若干意地悪なことを言いながらも、しっかりと耳を撫でる。
やはりというか耳の付け根は特に気持ち良いようだ。
このままもうちょっと撫でていよう。
・〜・〜・〜・
目の前で海斗とサーシャちゃんがじゃれている。
「全く、初めからそうすればいいのに」
海斗が優柔不断すぎてつい背中を押してしまった。
「ねえねえ愛花お姉ちゃん」
トコトコとミーシャちゃんが近づいてくる。
はあ、可愛い。
「どうしたの?」
「お姉ちゃんが海斗お兄ちゃんとっちゃったからその間だけでも私の頭撫でて!」
「いいよ!こっちおいで」
即答。
当たり前よね。
こんな可愛い子が頭撫でてとねだってきているのに断ることなんてできないわよね!ね!
だから私は正常だ。
猫耳を触れるからって興奮なんてしていない。決して。
……誓いはしない。
撫でることが出来るという事実に喜んで飛び跳ねそうなのは事実だからだ。
「何処撫でて欲しい?」
膝の間にミーシャちゃんを座らせて質問する。
「うーん。特にないけど、耳と耳の間が好き!」
「耳は嫌なの?」
「ううん、大好きだよ?」
「なのに撫でなくていいの?」
「お楽しみは最後にとっておく!」
「そっかそっか。それじゃあ失礼して」
ナデナデ、ナデナデ。
夢にまで見た猫耳を実際に撫でられるなんて……。
幸せすぎる……。
ハッ!?
この感情は外に出さないようにしないと。
痛い子に見られちゃう。
「どう?気持ちいい?」
「うん!スッゴク気持ちいいよ!」
「良かった。痛かったら言ってね?」
「うん。あ、そろそろ耳も撫でて欲しい!」
「いいよ~」
耳をサワサワ、ナデナデ。
さ、い、こ、う。
凄い気持ちいい。
ミーシャちゃんも気持ちよくて私も気持ちいいとか最高すぎる。
「にゃう~。気持ちいいよ~」
「ここがいいの?」
反応が良かった場所を重点的に撫でる。
「ふにゃう、そこ、ダメ。蕩けちゃう」
「ふふっ、蕩々になっちゃえ!」
可愛すぎる様子に癒されながらも撫で続けていく。
胸の奥に芽生えた小さな疑問の声に聞こえないフリをしながら。
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