19.唐突なイベント
電車で座れると執筆が進みますね。
2020/12/5 誤字修正しました。
夕食を食べ終わった後、今日はもう休もうと言うことでそれぞれの部屋に戻っていた。
部屋へ戻った後はすぐに体を拭く。
この宿は夕食の後に桶とお湯とタオルを渡すことになっているらしく、それで拭いてから寝てくれとの事だった。
「ふー。疲れたけど楽しかったな。異世界いいわー」
まあ、やることもたくさんあるんだけどな。
例えば服の予備を買ったりとか、お金貯めたりだとか、この世界の地形も知りたい。
あとはどういう国があるのかとかも。
なんにしろ今出来ることではないんだけどな。
ふぃー、体を拭き終わったぜ。
……さぁ、やることが無くなった。
コンコンッ。
ぬお?
誰だ?
「どなたですか」
「私、愛花よ」
なんだ愛花か。
特に問題ないのでドアを開ける。
「どうしたんだ?」
「こっちでいろいろ話さない?暇でしょ?」
「暇だけど……」
「ならいいじゃない。ほら行くわよ」
「うわっ、ちょっと引っ張るなって!」
あれ、なんかデジャヴを感じる。
そうして連行された愛花達の部屋。
「なんか連行された」
「ご主人様、いらっしゃいです」
「私達の部屋へようこそ!」
どうなってるんだ?
なんで二人ともテンション高いんだ?
二人もグルか?
というか何故俺は連行された。
同じ部屋でも昼に入るか夜に入るかの差はでかいんだぞ……!
「というわけで連れてきたよ」
「何がというわけで、なんだよ」
こっちからしたら理性耐久レースなんだぞ!
「ある意味理性耐久レースかもね」
ッ!?
な、何故俺の思考がバレた!?
「何年幼馴染みやってると思ってるの。それくらい分かるわよ」
またバレたし。
「こうなったら単刀直入に聞こう。なんで俺連行されたの?」
「言ったじゃん、話ししようって」
「……あれ本当だったの?」
「……どういう意味よ」
「いや愛花のことだから他に目的があるのかな、と思いまして」
それにさっきある意味理性耐久レースかもとか言ってたし。
「まあ話しだけじゃないのは確かね」
「ほらやっぱり!」
「でも海斗からしたらご褒美だと思うけど?」
「?どういうことだ?」
「ほら二人とも、ちゃんと自分から言わないと」
二人?
俺に用があるのはそっちの二人なのか?
「あ、えっと、その……」
サーシャがもじもじしてる。
可愛い。
「頭と耳を、撫でて欲しいんです!」
と思っていたら予想外の言葉が出た。
「私も撫でて欲しい!」
ミーシャもか!
突然だなまったく!
なんでこうなった……。
俺の異世界知識では獣人は耳とか基本的に他人には触らせないはずなんだけどなぁ?
触らせて貰えるのなら触りますけどね?
「触れるのはありがたいんだけど、なんでそんな唐突に?」
「それが、自分でも分からないんです……。感覚的に撫でて欲しくなってしまって……」
「ええ……」
感覚って、そんな曖昧で触らせちゃっていいのか二人とも。
「まあまあ、本人達がいいって言ってるんだから撫でてあげればいいじゃない。私も毛並み整えたりしたいし」
見れば二人の髪は少し跳び跳ねたりしている。
あれを整えればもっと綺麗で可愛くなりそうだ。
「だが整えるって言ってもここには何も道具がないぞ?」
「甘い。甘いよ海斗。髪っていうのは手櫛でも結構整うんだよ」
「ふーん。そんなものなのか」
「そういうものなの」
そんなこんなで唐突すぎるイベントが始まってしまった。
……実は二人から主人としての力を試されているとかじゃないよな?
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