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霧のダンジョン

 隼人達は嘘つきの森を攻略した翌日を一日休みとしたが、その次の日から霧のダンジョンの攻略に取り掛かる予定だったこともあり、少し遅めに朝から攻略会議を開くことにした。

 休日返上の攻略会議と言っても、普段食堂で行っているものより多少じっくりとやっただけで、そこまで時間を使うということはしなかった。だから各自しっかりと休息をとり、前日の疲れが翌日の霧のダンジョン攻略に残っているということにはならなかった。

 そして翌日になり、隼人達三人は霧のダンジョンへと探索に来ていた。


 霧のダンジョンはその名の通り霧に覆われたダンジョンだが、いつぞやの嘘つきの森ほどの濃霧という訳ではなく、遠くが見渡すことが出来ない程度の霧が常時辺りを覆っているだけだった。その霧の影響で、前述通り視界はあまり遠くまでは利かず、そのうえ沼地というほど大袈裟ではないが、地面は一面ぬかるんでいて足場が悪く、所々に思い出したように木が生えているだけで、他には特に何も無い湿地のような場所だった。

「歩きづらいな」

 べちゃべちゃと水分を多く含んだもの特有の音を立てながら、ぬかるんだ地面の上を歩いていた隼人は、迷惑そうにそう呟く。

「事前に知ってたから長靴で来たけどさ、これ、何も知らないで普通の靴で来てたら泣いてたかもなー」

 伊織は自分のそんな光景を想像したのだろう、哀しそうな顔をする。

「でも、長靴って結構歩きづらいよな~。こりゃ戦闘になった時は苦労しそうだな……」

 智輝は履き慣れない長靴の感覚に戸惑いながらも、足元に気をつけながら一歩一歩着実に歩みを進めていく。

「う~ん。それにしても、長靴だけじゃなくてレインコートも着てくればよかったかもな」

 水気の多い霧の影響で、気がつけば服が軽く雨にでも降られたかのようにびしょびしょなっているのを見て、隼人は陰鬱げなため息を吐く。それに、レインコートならば例え転んでしまっても惨事にならずに済む可能性も出てくることだろう。

 あまりの悪路に、三人が三様の愚痴を零していると、先頭を歩く隼人の少し先の泥濘ぬかるみが急にぼこぼこと泡立ちはじめたかと思うと、そこから一体のモンスターが姿を現した。

 そのモンスターは全身を薄い青色の皮膚で覆われ、頭頂部から背中を通って臀部でんぶ辺りまでを背の低いひれのようなものがついていて、足は泥濘に隠れて分からないが、手には水掻きらしきものがついていて、爪はよく研がれた剣のように鋭かった。おそらくは足も同じようなものなのだろう。

 そのモンスターは二足歩行で、外郭は細部を除けば人に似ている形をしていたが、目は黒目の部分が丸くて大きく、目の殆どが黒一色で、白目の部分はよく見ると僅かに確認出来るだけだった。鼻は地面を掘ったかのように顔に楕円形の穴が空いているだけで、唇は厚く、歯は全てが牙のように鋭く尖り、ジグザグと上の歯と下の歯が噛み合うように波打っていた。そして、全体的にパーツが横長のその顔は、見る人に人間のそれというよりは魚類のそれだという感想を抱かせる。故に、

「魚人?」

 隼人のこの疑問は、このモンスターに遭遇した者が抱くであろう当然の疑問だと言えた。

「かもね、首にエラみたいな切れ目もあるし」

 伊織はすぐさま攻撃魔法の詠唱を済ませると、隼人の疑問に頷く。別に知識があるという訳ではないのだが、目の前のモンスターは誰がどうみても人間の姿をした魚類、もしくは魚類のような見た目の人間、つまりは“魚人”と呼ぶに相応しい外見をしていた。

「よっと!」

 完全に地面から出てきたそのモンスターは、こちらに向けて走り出す。そこに智輝が牽制として突風を吹かせると、その突風を受けたモンスターは手で顔を隠すような姿勢で足を止めた。

「大丈夫だろうけど、雷撃はさすがに危ないよね」

 モンスターと自分たちとの距離を見てそう呟きながらも、伊織はその隙を逃さずに待機させていた魔法を発動させると、頭上に無数の火の矢が顕れる。

 伊織はある程度の数ごとに火の矢を複数のグループに分けると、それを若干の間を置いて、立て続けにモンスターに射掛ける。

「ギャーッ」

 どこか猫の鳴き声を想起させるような悲鳴をあげて倒れたモンスターは、そのままブクブクと泥濘の中に沈むようにして消えていった。

「……出てきた時にも思ったけどさ、おそらくここの地面って深い場所でもくるぶしの辺りぐらいまでだよね……そこが特別深いとか?」

 伊織は目の前の地面を片足でつつきながら慎重にモンスターが消えた場所へと足を進めると、近くに浮いていた木の枝を使って深さを調べてみる。

「深さは他の場所と大して変わらないな。向こうは……」

 次にモンスターが現れた場所を調べる為に先ほどと同じように伊織は片足で先を調べながら慎重に進む。そしてモンスターが現れた場所に到着すると、先ほど拾った木の枝で泥濘の深さを調べる。

「こっちも大して深くは無いな。モンスターが出現する時だけ深さが変わるのかな?……それともモンスターの方が特別ってことなのかな?」

 不思議そうに首を傾げる伊織に、後方から智輝が声を掛ける。

「ここのダンジョンは隠れられる場所があんまり無いからね、あれが冒険者を襲撃出来る唯一のモンスター出現の仕方なんだろうさ」

 そのどこか憐れむような、それでいて愉しんでいるような智輝の言い方に、伊織は相変わらずだと肩をすくめてみせる。

「道はこのまままっすぐだよね?」

 隼人の方へと身体ごと振り返った伊織の問いかけに、隼人は「そうだよ」と、少し距離があることを考慮してか、分かるように大きく頷いた。

「……というか、ここは嘘つきの森以上に何もないからね、道という概念すら無いと思うよ」

 隼人は頭の中で開いている霧のダンジョンの地図を改めて思い出す。そこにはたまに目に入る木だろう点以外には何も書いていなかった。一応木以外にも何かしらのしるしがちょこちょこ記されてはいたが、今までの地図に比べたらほぼ白紙と言ってもいいその地図に、最初、隼人は困惑したのを覚えている。

「そっか。嘘つきの森の時も思ったけどさ、道って本当に大事なんだね。この景色を見たら痛感したよ。まだ嘘つきの森は木があって視界が遮られてた分、マシだったんだなー」

 進む方角を眺めた伊織は、だだっ広いだけで何もないその光景にため息を吐いた。進むべき方向に何もない光景というのは、ただそれだけで精神的な疲労を感じさせた。もし、これで霧が晴れて遠方まで見渡すことができたなら、伊織は虚脱感や虚無感と言われるものにでも襲われていたかも知れない。

「それでも進むしかないよ。ダンジョンで道と呼べるものがある方が少ないと思うし」

 疲れた顔で進行方向を眺めている伊織の横を通り抜けると、隼人はそのまま先へと進みはじめる。

「さ、行こっか。嘘つきの森ほどは掛からないとは思うけどさ、それでもさすがに一日じゃ主の部屋まで辿り着けないんだからさ」

 隼人が肩越しに二人に語り掛けると、新たな冒険に楽しそうな智輝と、ため息でも吐きそうな雰囲気の伊織が後に続く。


 びちゃびちゃ、ぬちゃねちゃという足音が、静寂に支配されているダンジョンに鳴り響く。

 あれから隼人達は大分移動した。道中、最初に襲ってきたモンスターと同種のモンスターに幾度か襲われたが、それは難なく撃退することが出来た。他のモンスターがいるのかは不明だが、あのモンスターに限れば、嘘つきの森の方で戦ったモンスターの方が強かっただろうと隼人達は感じた。だからという訳ではないが、数が多くなければ負けることはないだろうと余裕を持つことが出来た。……もちろん油断は禁物だが。

 そんな霧のダンジョンのモンスターでは歯が立たない三人だったが、現在ある問題に直面していた。

「……食べづらい」

 智輝はボソリと呟くと、疲弊した時のようなため息を吐く。

「……しょうがないでしょ、こればかりは」

 智輝に一瞥した伊織は、さっさと食べ終わろうと、いつもより早く食事の手を進める。

 霧のダンジョンは一面が泥濘のダンジョンである。そして現在は昼食時、食事のことをすっかり失念していた隼人達は、制服のままで泥濘に座る訳にもいかず、かといって近くに手頃な石がある訳でもなく、そして毎度のことのようにそんな余計な物を持ってくる余裕は無いとして、座る道具を用意していなかった状況で、隼人達は足下が悪いせいか、身体がふらふらと僅かに揺れる中、立ったまま食事をしていた。

「……………」

 立ったまま食事をするというのは意外とコツが必要なのか、それとも泥濘の上だからかは分からないが、意外と立ったまま食事という状況に苦戦している隼人は、先ほどから食べ物をこぼしてしまわないように注意しながら食事をしていた。その結果として、終始無言だった。それに、立食というのは割りと精神的・肉体的に疲れるらしく、歩きながらや誰かと話ながらのように、他に意識を向けてやらないと、突然座りたくなる衝動にかられてしまう。かといって意識を散らすと食べ物をこぼしてしまいそうになり……と、慣れてないと悪循環だった。隼人はもし立食パーティーに参加する機会があったなら、皿には料理を殆ど載せないようにしようと人知れず決意するのだった。


 無事に昼食が終わり、無駄に疲れた隼人と智輝は、昼食前よりも重くなった気がする足を動かして先へと進む。伊織は何故だか立ったままの食事にも慣れた様子で、今回の霧のダンジョン以上にダンジョン探索とはお世辞にも快適な環境とは言えない場合が多く、そういう厳しい環境にも適応する為に色々な想定でもしてるのかな?と、隼人は考えたのだが、実際は立食など大して難しいことではないはずの行為であり、もしその隼人の推測を経緯とセットで聞かされたら伊織は腹を抱えて笑ったかも知れない。

「ん?」

 見渡すようにして辺りを警戒する隼人に一瞬視界の端で見られたような気がした伊織は、僅かに眉を顰める。気のせいかも知れないが、その視線に若干の尊敬のようなものを感じた気がしたのだ。

「まぁ、いいか」

 だがそれも一瞬のことで、すぐに伊織はそれを意識から追い出すと、辺りを警戒する。といっても、伊織の場合は隼人の索敵のような警戒ではなく、奇襲された場合にすぐに防御に移れるように対応する意味合いが強かった。

「来たね」

 しかしそれもここではあまり意味のない行為のようで、すぐ前を歩いていた智輝の声に、智輝の視線を辿れば、そこには視線を辿るまでも無いほどにボコボコと静寂を破るやけに響く耳障りな音を立てながら現れるモンスターがいた。

「分かりやすいなー」

 そんな自己主張の激しい出現の仕方に呆れながらも、霧のダンジョンでの戦闘にも慣れてきた伊織はすぐに攻撃魔法を発動出来るようにしておく。姿が見えたら速攻で片をつけるつもりだった。

 そしてとうとうモンスターが這い上がるようにして姿を見せる。やはり青色の魚人だった。

 伊織はすぐに氷の矢を現出すると、そのままモンスターを攻撃する。

 モンスターは完全に姿を三人に晒す前に氷の矢で地面に縫い付けられると、そのまま沈むようにして消えていった。

「ふぅ、討伐完了。さ、先に進もうか」

 伊織はかいてないはずの汗を拭うような仕草で、右手の甲を額の上で横に動かすと、隼人と智輝に笑いかける。

「そうだね」

 伊織の笑顔に頷き返すと、隼人は歩みを再開する。後から智輝と伊織も続いた。



 暫くして疲労が大分みえはじめた頃には、時刻もそろそろ夕刻になろうかという時間だった。

 隼人達は大丈夫だろうかと心配をしながらも、マーカーを泥濘の中に設置する。しかしそれはダンジョン探索用に作られたマーカーには無用な心配だったようで、問題無く起動したマーカーに安堵の息を吐いた隼人達は、いつもよりは少し早いが帰還することにした。

 三人は帰還するとさっさと監督役の先生に帰還の報告を済ませてしまう。

 探索可能な最終時刻よりも早く帰還した隼人達は、一緒に来た他のパーティーを待つ間に地面に座って休憩する。数時間ぶりのはずだが、随分と久しぶりに地面に座った気がした。

「やっぱり固い地面はいいね」

 逆に疲れるからと、立ったまま休憩していた智輝は、ポンポンと片足で地面の硬さを確認するように叩くと、感触を楽しむようにその場で数度飛び跳ねる。

「やっぱり休憩の時ぐらいは座りたいよね。でも、椅子を持ってくるのは大変だし……やっぱりレインコートかな?でもそれでも座るのは……」

 腕を組んで考えだす隼人に、隣に座っていた伊織がそんなに悩むことだろうかと僅かに首を傾げて口を開いた。

「なら、休憩の時には一度帰還すればいいんじゃないの?マーカーは泥濘の中でも問題無く動くみたいだしさ」

 伊織の言葉に、隼人は衝撃を受けたように目を見開いた。

「……さすがは伊織さん!スゴいね!」

「そ、そうかな……」

 弾けたような隼人の勢いに驚いた伊織は、ほうけたような顔で数度ぱちくりと目をまたたかせた。

「うん、スゴいよ!これで問題解決だよ!」

 興奮している隼人の様子に、伊織は(そんな大層な発言をした覚えは無いのにな……)と、急に恥ずかしくなってくる。

「これで次からは座って食事が出来る!」

 恥ずかしさでうっすらと朱が差した顔をうつむかせた伊織の横で、その羞恥の元は嬉しそうに固く拳を握ってはしゃいでいた。


 隼人達三人が暫くの間思い思いに休憩していると、一緒に来ていたもう一組のパーティーがダンジョンから帰還する。

 五人組のそのパーティーは、程度の差こそあるが、全員泥だらけだった。靴が、という次元の話ではなく、誰も彼も全身が泥まみれだった。理由は分からないが、もしかしたら途中で転んだのかも知れない。

「……やっぱり最低でもレインコートは必要かもな」

 そんな泥だらけの一団を目にした隼人がぽつりと呟いた。

「……一応用意しとこうか」

 それに返事をした伊織は、“一応”と表現しながらも、戻ったらすぐに用意しておこうと心の中で決める。……レインコートではなく、撥水性はっすいせいの高い、少なくとも泥の入らないような服を。

「……………」

 そんな決意をしている二人をよそに、智輝はどこか羨ましそうに泥だらけのその一行の姿を眺めていた。

「………あー」

 そんな子どものように判りやすい表情をしている智輝に気づいた伊織は、念のために止めておくべきなんだろうかと考える。その表情にはこう書いてあった。

『泥遊び楽しそうだな』

 おそらく本人達は望んで泥だらけになった訳では無いのだろうが、智輝の目には泥遊びをしてたようにでも映っているのだろう。

 とりあえず智輝を止める前に、憶測ではなくどうしてそうなったのかの真相をあちらのパーティーに訊くことにしようと伊織が考えていると、

「そろそろ学園に戻るのかな」

 一緒に来た隼人達とは別のもう一組、泥だらけのパーティーの帰還報告が終わりそうな気配に、隼人はゆっくりした動作で立ち上がり、伊織もそれに遅れて立ち上がった。

 監督役の先生が大きな声で学園に戻る旨を隼人達に告げると、そのまま九人は学園へと移動を開始した。



 翌日も隼人達は霧のダンジョンの探索をしていた。

 隼人は前日の制服に長靴の姿から、上半身は学園の授業で身体を動かす時に着る紺色のジャージに、その上にレインコートを着て、ズボンはジャージではなく撥水性の高い同じ紺色のものへと変わっていた。

 靴は紺色を基調に両側面中央を履き口から途中、踝辺りで曲線を描いて爪先までを走る指一本分ぐらいの太さの黄色線の意匠がついた長靴だけは前日と変わらなかった。

 智輝は前日の制服に長靴姿から、隼人と同じ紺色のジャージで全身を包み込み、更に隼人と同じ色に同じ意匠の長靴だが、線の色だけが明るい青色という前日と同じ長靴を履いた姿へと変わっていた。

 伊織は前日の制服に長靴姿から大きく変わり、どこから持ってきたのか、何かの作業でもするつもりなのかと問い掛けたくなるような、橙色だいだいいろの防護服のようなもので全身を覆っていた。一応前日同様の淡い赤色を基調に、濃い赤色の線以外は二人と同じ長靴も、防護服の上から履いていた。

 最初、ダンジョンに入る前に着替えた伊織のその姿に、驚き過ぎてどう反応すればいいのか分からなかった隼人と智輝は、目線を交わすと、無言の内に出来るだけ触れないことで合意した。


 霧のダンジョンは今日も相変わらず地面は泥濘、水分を多量に含んだ霧に覆われていた。

 べちゃべちゃという音を立てながら前に進むも、時たま思い出したかのようにモンスターが現れる以外には代わり映えしない景色が続いていた。

「嘘つきの森以上に疲れる……」

 そんな霧と泥濘だけの世界に、隼人はうんざりしたように呟く。二日目にして既に精神的な疲労を感じていた。

「う~ん、ここはやっぱり……泥遊びだな!」

 決め顔で言い放つ智輝だったが、隼人と伊織は無言でそれを流した。

「何か面白いことでも考えたら?」

 伊織の案に少し考える隼人。しかし急に面白いことと言われても、パッと思いつくものでもない。

「……面白いってなんだろう」

 ぽつりと呟かれた隼人の言葉に、伊織は僅かに眉を真ん中に寄せる。

「また哲学的なことを……」

 伊織のその言葉に、隼人は先ほどの自分の言葉を思い出すと、そうともとれるなと思い至り、慌てて「そういう意味では……」と、否定する。

 二人とも先ほどから聞こえてくる智輝の「泥遊び!」という回答は聞こえないことにしていた。

「ただ、面白いことと言われても、急には思い出せないなーと思っただけだよ」

 慌ただしげな隼人の説明だったが、「ああ、なるほど」と納得した伊織は、一緒に面白いことを思案する。

 伊織は思いついたことをいくつか隼人に提案するも、隼人はいまいちピンとはこない様子で首を横に振る。

 そんな二人の様子に、泥遊びという提案が聞いてもらえそうにないとやっと悟った智輝は、諦めて隼人に一つの提案をする。

「面白いかどうかは分からないけどさ、昼御飯についてでも考えてたら?もうすぐ昼だし。午後は夕食についてとかさ」

 その発言に隼人と伊織は僅かに目を見開く。その表情を言葉にすれば驚愕なのだが、しかしそれは発言の内容の素晴らしさについて、ではなく、泥遊び以外にまともな発案をしたことについてだった。

「そ、そうだね。とりあえず昼食について考えてみるよ」

 隼人は驚きのあまり智輝にぎこちなく頷き返す。

 しかし、なんとなく頷いてしまったのだが、それでも一応昼食について考えてを巡らしてみると、意外と気分を紛らわすことが出来て、隼人は満足そうに笑う。長時間は難しいが、それでも短時間はいい気分転換になるようだった。

 そんな隼人の様子に、少し得意気な顔をした智輝は、今ならばと、再度泥遊びをしないかと提案しようと口を開いた。

「そろそろ泥遊―――」

 そんな智輝の言葉をわざと遮ろうとするかのような絶妙なタイミングで伊織が口を開いた。

「そろそろ昼食にしない?」

 伊織の言葉に隼人は時間を確認する。時刻もお腹の空き具合も丁度いい頃合いだった。

 隼人は「そうだね」と返すと、近くにマーカーを設置する。

 それを確認した伊織は、帰還魔法を発動させる。隼人もすぐにそれに続き、智輝だけがダンジョンに残された。

「むむむ、中々手強いな……」

 智輝は辺りに誰も居ない空間の中、芝居がかった口調でそう呟くも、当然ながら誰からも返答はなく、若干の虚しさを覚えた智輝は、諦めて帰還魔法を発動した。


 智輝が帰還すると、丁度監督役の先生に帰還の報告を終えたところだったらしく、智輝を確認した先生が隼人と伊織に頷いていた。

 ダンジョン探索の途中帰還というのはそう珍しい話ではなく、かといって多いということもなかったが、それでも報告さえ怠らないのであれば、規則上何の問題も無かった。

 隼人達は地面に腰を下ろすと、早速弁当箱を取り出して食事を開始する。

 今までのダンジョンでも足場が悪いところは在ったが、水を大量に含んだ土が足にまとわりつき、その中を歩く労力に比べればそこまで大したことはないようで、現に予想以上に疲労が蓄積されていた足は、伸ばした先から骨に響くような疲れをじわりじわりと訴えかけてくる。

「泥濘というか、水ってスゴいね」

 足に感じる痛みとも疲労ともいえない感覚に、隼人は困惑したような驚愕しているような呟きを漏らす。こんな疲労が続くようなら、そろそろ連日探索は控えた方がいいかも知れない。

「水の抵抗はね~。深くても踝まででこれだからね。聞いた話では、水中にあるダンジョンとかあるらしいよ?」

 肩をすくめる伊織に、隼人は嫌な顔をする。ただでさえダンジョン探索は疲れるのに、水中のダンジョンなど面倒くさい以外の何物でもない。

「あれ?確か難易度激高の五ダンジョンの一つにそんなの無かったっけ?」

 食事の手を止めて首を傾げる智輝に、伊織は小さく頷く。

「あるね。確か『乙女の祝福』だったかな?途中から泉の中を探索するとかいう……」

 久遠魔法学園には二十五のダンジョンが存在するが、その中でも最難関と称される五つのダンジョンというものが存在する。この五つ以外のダンジョンさえ攻略出来れば卒業出来るので、卒業だけを考えるなら大した問題ではないのだが、上を目指す者にとってはいつかは攻略したいダンジョンだった。実際、この五つのダンジョンを卒業までに攻略出来た者はそこまで多くはなく、それを一つでも成した者の殆どは、その名が学園の内外を問わずに広く知れ渡っている。

 そのような訳だからか、最難関の五つのダンジョンだけは他のダンジョンに比べて流れている情報の量は多かった。それでも攻略が難しいダンジョンだからこそ、皆攻略することに憧れるのだが。

「そういえばさ、ここと違って殆どが沼地で構成されている『叫びの沼地』ってダンジョンもあるらしいね。こんな泥濘で苦労してたら到底攻略出来そうにないけどね」

 隼人は精神的・肉体的両方に起因する疲れの混じった重い息を吐く。正直隼人にとってはその五つのダンジョン以外でも大変なだけに、最難関に挑むというのはあまりにも遠すぎる話だった。

 三人はツラい現実を改めて認識したことにより、重たい空気が漂いだす。

「……後二人、誰か優秀な人を誘いたいね」

 他力本願な部分があるのは承知のうえで、それでも可能性があるならばと、願うように隼人は呟いた。

 その呟きに智輝も伊織も静かに、だが確かに頷いていた。


 昼食が終わり、ダンジョンに戻った三人は探索を再開する。

 心なしか帰還する前よりも足取りは重たいが、それでも目標を確認したことにより、確かな歩みを感じていた。

 そんな三人の目の前で泥濘がボコボコと泡立ちはじめる。モンスターのお出ましだと、三人は急いで戦闘態勢をとる。

 ボコボコとした泥濘から姿を現したのは、今までの薄い青色をした魚人ではなく、全身を泥濘に紛れるような茶色をした魚人だった。色以外に異なるところは、腕や足に波状の模様のようなものが複数刻まれているところか。

「色違いかな?」

 そのモンスターを見て僅かに首を傾げる伊織の横で、やけに好戦的な声が発せられる。

「やっと新しいお客さんのおでましか!」

 伊織がそちらに目だけを向けると、嬉しそうな顔の智輝の姿があった。よほど暇だったのだろうか、それとも何か溜まってたのだろうか。

「まぁこの場合、お客さんはこちらだと思うけどね」

 腰に着けた小物入れにいれていた短剣を腰に差すようになった隼人は、今まで以上に素早く抜けるようになった短剣を構えつつ、智輝の言葉にのんきに突っ込みを入れる。

「ギャアアアァ!」

 猫が踏まれたような声をあげて、そのモンスターは突撃してくる。

 今までのモンスターと違い、走りではなく泥濘を泳ぐようにして間合いを詰めてくる。

 やはりモンスターは特別なのか、浅いはずの泥濘を見事なまでに泳いでくる。そんなモンスターに、伊織の氷の矢が降り注ぐ。

 しかしモンスターの泳ぐ速さが予想以上に素早く、数本かすった程度に終わってしまう。

「むぅ、素早いな」

伊織は直ぐに次弾の用意をしながら場所を移動する。次は泳ぎを止めて攻撃した時に狙うつもりで。

「くっ、泥濘は動きづらい」

 前衛の隼人は、いつもの地面のような足運びが出来ないことに顔を歪める。今までは伊織が易々と仕留めてきたが、泥濘での接近戦は難しそうだった。特に速さを基本とする隼人のような戦い方には。

 その間にも間合いを詰めてきたモンスターは、最も近くにいた隼人目掛けて両手を振り下ろし、まるでバタフライで突撃するかのように襲いかかってくる。

「クソッ!」

 隼人は思うように動けない地面に苛立ちを含んだ声をあげると、横に避けることでの回避を諦めてその場にしゃがみこむと、モンスターの腕が隼人の上半身があった場所で空を切るようにして交差する。隼人は眼前に迫り来るモンスターの腹部を狙って短剣を突き立てようとした時、横合いから何本もの氷の矢がモンスターに突き刺さり、そのままモンスターは横に押されたように倒れた。

「おぉ、スゴいな」

 モンスターを見詰めながら、隼人はその氷の矢の貫通力の高さに感嘆する。

 それと同時に、隼人を襲ってきたモンスターの姿を確認して眉をあげる。

 そのモンスターの腕は、肘から先が無くなっていたのだ。

「確か襲ってきた時は……」

 隼人はその瞬間を思い出す。確かに攻撃時には腕はあった、危うく切り刻まれるところだったのだ、間違いない。

 隼人は振り返った先の人物に軽く称賛を贈る。

「さすがだね、智輝」

 そこにいた智輝は、隼人のその称賛に肩をすくめる。

 確かにモンスターの腕を切り落としはしたが、それは隼人が攻撃された後の話。あの時に隼人がしゃがんでいなかったらモンスターの攻撃は当たっていただろう。

 智輝は反応が遅れた自分を責めているような戒めるようなそんな息をそっと吐き出した。その中には大事にならなかった事への安堵も含まれていた。

 気を取り直した三人は、再び泥が敷き詰められた地面を歩く。

 新しいモンスターの出現で、先ほどより警戒した足取りだからだろうか、泥濘を歩く音がとても小さくなっていた。

「……そういえばさ」

 智輝は警戒の為に周囲に視線を巡らせたさいに視界の端に写った伊織に、僅かに逡巡すると、今更ながらに問いかける。

「その服って暑くないの?」

 智輝の疑問に、伊織は僅かに顔を動かして智輝に目を向けると、肩をすくめた。

「まぁ暑いよ、蒸れるからね。湿気で不快感がスゴいよ」

 諦めたように小さく笑った伊織は、それで話は終わったとばかりに顔を正面に戻してしまう。

 まだ何か問いたげな智輝だったが、伊織のその様子に諦めて警戒に戻る。

 警戒と言っても、霧のダンジョンは霧であまり遠くが見渡せないというだけで、辺りには泥濘が広がるだけの何もない空間である。たまに木があるとはいえ、手近な空間が見晴らしのいいそこは、視認による警戒は容易であった。それに隼人による肉眼と魔力での警戒もあるのだから。とはいえ、警戒と言っても殆ど形だけのものではあったが。それは、今のところモンスターが出てくる際にはぼこぼこという泡立つ音が聞こえてくるので、正直肉眼での警戒は必要なかったからで、それでも念のために行っているのは、油断大敵という言葉があるからであった。


 暫くの間、誰も口を開くことなく黙々と進んでいると、ぼこぼこというモンスターが現れる音が今までよりもやけに大きく聞こえてくる。

 周囲に目を走らせると、隼人達を囲むように複数箇所が泡立っているのだから、それも道理と言うものか。

「出てくるまでに何処からか抜けられる……訳無いか」

 先頭を歩いてた隼人は、周囲を見渡して残念そう呟く。

 逃げるのではなく、モンスターが現れる前にこの囲いを何処からか脱け出せないかと考えた隼人だったが、周囲を囲むようにして泡立つその気泡までの距離と気泡同士の間隔の狭さに、抜けるのは難しいと判断した。

 そんな状態に智輝は思わず舌打ちをしてしまうが、伊織は動揺することなく、辺りに鋭い視線を向けながら身体の向きを変える。すると、丁度三人で円陣を組んだような格好になる。

 そして隼人の後方、智輝と伊織の斜め前方の離れた場所に、薄い青色をした魚人が二体現れる。

 次に隼人の左右の離れた場所に現れたのは、足元に広がる泥濘に近い茶色の魚人が一体ずつ。

 最後に隼人の正面に、濃い黒色の皮膚で全身を覆われたモンスターが現れる。それは他のニ種類のモンスターと違い、全身に硬い鱗のようなものがあり、臀部の少し上、他のニ種類の魚人に背鰭のようなものがある部分には背鰭ではなく、大人の腕よりも太く、硬い鱗のようなもので守られた、爬虫類のような尻尾が生えていた。

「……ここで更に新しいモンスターの登場か」

 忌々しそうな隼人の呟きに、智輝も伊織も警戒しながらもそちらに視線だけを送り確認する。

「はぁ」

 それを確認すると、どちらからともなくため息が漏れる。

「とりあえず、青いのをさっさとやって、こっち側のモンスターを相手するから、智輝君はそっち側のモンスターをお願いね」

 そう言うや否や、伊織は待機させていた魔法の矢を出現させると、青色の魚人に向けて射ち放つ。

 伊織が放った魔法の矢は、突撃しようとしていた青の魚人二体の顔面に突き刺さると、バチャンという大きなものが水気の多い地面に落ちる音が響き、二匹の魚人の姿は泥濘の中に消えていく。

「こっちはまたか」

 伊織は自分の左手に広がる泥濘を泳いで突撃する茶色の魚人に目をやる。

 先ほど青の魚人二体と一緒に魔法の矢を放ったのだが、こちらは避けられてしまった。

 泥濘を泳ぐことで距離を詰めてくる茶色の魚人に、伊織はもう一度魔法の矢を出現させると、今度は外さないようにと、移動先を予測して射ち放つ。

「ギャァァァ!」

 見事に魔法の矢を数本命中させると、茶色魚人は断末魔をあげながら、まるで溺れて助けを求めるかのように手を伸ばして泥濘に沈んでいった。

「そっちは―――」

 自分の担当分をさっさと片付けた伊織は、智輝の方へと振り返る。

「……大丈夫そうだね」

 そこではバラバラになった四肢が泥濘に沈んでいくところだった。

「あとは!」

 伊織は智輝の方の安全を確認すると、直ぐに残った敵の方へ身体を向けた。


 隼人は苦戦していた。やはり移動は足が取られ、構えても安定しない足場は腰が入れにくく、泥の上での戦いは接近戦が主体の隼人には分が悪いようで、同じく接近戦が主体であろうが、泥濘での戦闘に慣れているモンスターの方が押していた。

「中距離程度の攻撃手段があるならな、魔法が気軽に使えないというのはツラいね」

 隼人はぼやきながらも腰の小物入れを探ると、隼人の数少ない魔力に依らない中・遠距離攻撃手段の一つである炸裂弾を取り出すと、短い導火線の尖端を、その丸みを帯びた炸裂弾の体に勢いよく擦り付けることによって火を着けると、それを近付いてくるモンスター目掛けて放り投げる。

 真っ直ぐモンスターのもとまで届いた炸裂弾は、バンという破裂音とともに、その名が示す通りに炸裂する。

「ギュウウゥゥ」

 物を無理矢理圧縮したような甲高い奇妙な声をあげてモンスターが一瞬だけ怯むも、倒すまでにはいたらない。

「ま、効果が無いよりはマシかな……」

 隼人は小物入れから次の攻撃手段を取りだそうとして手を止める。

「……無意味だな」

 モンスターとの距離が大分縮んだのを確認した隼人は、中距離攻撃から短剣での近接攻撃へと切り換える。

 僅かに動かした足に伝わる感触に眉を寄せるも、小さく頭を振ることでそれを意識の外に追いやって正面を見据える。不満を抱いたところで泥濘が硬い地面に変わる訳がないのだから。

 正面から襲ってきたモンスターは鋭利な爪を備えた両腕を振り上げると、それを隼人目掛けて降り下ろす。

 隼人はそれを見て舌打ちをしたくなるが、今はそんな余裕は無い。片手なら何とかなるだろう、両手でもずれているならまだ対処のしようがあったが、眼前に迫るモンスターの腕は二本、それもほぼ同時に、である。短剣一本でこれをどう凌げというのか。

 隼人は一瞬のうちに状況を認識すると、対処法を考える。足は中途半端にしか機能しないだろう、だから使えないと判断すると、諦めて上半身を反らす。

 しかしそれで避けられるものではない。ただ隼人の胸元を引き裂くはずだった爪の標的が、隼人の腹部辺りに変わることになっただけだ。

(それでいい)

 僅かに伸びたモンスターの爪が隼人に当たるまでの時間に、隼人は心の中で一人静かに笑う。

(………そこだ!)

 爪の軌道を見極めた隼人は、先ほどまで胸元があった場所を爪が通り過ぎようとした瞬間に短剣を突き刺す。

「ギッ!?」

 モンスターは驚愕の声をあげる。両腕が僅かに交差した瞬間を見逃さずに隼人が短剣を突き出した結果、両腕の爪と爪の間に見事に短剣が刺さり、水掻きと短剣がぶつかり合う音が響く。どうやらモンスターの水掻きは金属のような硬質さを持っているようであった。

 その結果としてモンスターの両腕の動きがそこで止まる。

(この体勢はキツいな……)

 上半身が反った状態で短剣を突き出した片手でモンスターの両腕を受けた形になった隼人は、もう一方の手で腕を支えながら、崩れそうになる身体を必死の思いで維持に努めると、そのまま上体を起こそうと力を入れる。

(さて、これからどうするか……)

 上半身を何とか起こすことが出来た隼人は、眼前のモンスターに鋭い視線を送る。

「ギギ」

 モンスターは仕切り直しとばかりに一度大きく飛び退く。その際、尻尾での一撃を隼人に叩きつけるも、それを隼人は短剣で辛うじて防ぐことに成功する。

 距離をとって対峙する隼人とモンスター。互いに隙を窺っての睨み合いが続くも、それも隼人の横を魔法の槍が疾風の如く通り過ぎたことにより、唐突な終わりを迎える。

「ギャヤアアアァアッ」

 隼人の横を通り過ぎた魔法の槍は、そのまま睨み合うモンスターの胸元へと突き刺さった。

 モンスターは最後に思わず耳を塞ぎたくなるような叫び声をあげると、その場で崩れ落ちて泥の中へと沈んでいく。

「大丈夫か?」

「大丈夫?」

 モンスターが消えると、智輝と伊織が隼人の元へと駆け寄る。

「あ、ああ、大丈夫」

 何が起こったか直ぐには理解出来なかった隼人は、智輝と伊織の声に我に返ると、ぎこちなく頷き返す。

 二人に返事をしたことで頭が回転すると、隼人はやっと現状を理解する。つまりは智輝と伊織のどちらかがモンスターを攻撃したのだろう。あの魔法の槍の威力からしておそらくは伊織の方が。

「……ありがとう、助かったよ」

 そこまで考えて、礼がまだたったと思い出した隼人は、二人に頭を下げる。

「いいよ、そんなの」

 それを伊織が手を振って止める。やはり先ほどの魔法の槍は伊織による援護射撃だったらしい。

 隼人が頭を上げると、僅かにはにかむ伊織と、元気な笑顔を浮かべた智輝の顔が目に写った。それを確認すると、自然と隼人の口角は持ち上がった。

「さ、もう少し先へと行こうか!」

 戦闘による主に精神的な疲労もあったが、それでももう少し先へと進むだけの活力を得た隼人は、智輝と伊織に背を向けると、進行方向を指差して歩き出す。

 それに頷くと、二人も隼人に続いて歩き出した。


 夕方になる頃に三人は帰還した。

 途中、薄い青の魚人や茶色の魚人などと三回ほど遭遇したが、どれも一体ずつしか出現しなかった為に、伊織による魔法で瞬殺され、戦闘らしい戦闘は一度も起こらなかったが、隼人はそれを少し複雑な思いで見ていた。


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