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ぽむぽこりん -異世界で魔術師見習いやってます!-  作者: 春川ミナ
第一章:ソルデュオルナの魔術師見習い
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金斬虫襲来

 ノームに運んでもらった卵型宇宙船を見るとトレントが驚いた顔をしていた。


「こ、これは、星の卵じゃないか!? リン、ノーム一体どこでこれを?」


 星の卵という単語に聞き覚えが無かった為、聞き返す。


「トレント、星の卵って?」


「あぁ、ぽむとぽこが地上に落ちてきた時に乗っていたものだよ。ぽむとぽこが消えると同時に星の卵も消え去っていたんだが、まさかまだ存在しているとはねぇ……」


 トレントが感慨深げに話す。

 そっか、トレントは全ての樹木と繋がってるんだっけ。

 だから星の卵なんて単語がすぐ出てきたんだ。

 あれ?でも大地を司るノームや水を司るウンディーネは?

 そう考えて、ノームに視線を向けると両手の人差し指をツンツンと合わせてしょげている。


「ウンディーネも儂も大体引きこもりじゃもん」


 もんって……いい年したおじいちゃんがもんって……。

 可愛く言ってもどうにかなるものでもないでしょうに、いやそもそも産まれた時からその姿じゃないの?ノームって。

 まぁここまで運んでもらったことだし、古代文字を解析するのはいつでもできるよね。

 ノームにお礼を言ってスィートポテトをお土産に追加で持たせてあげたら嬉しそうにピョイピョイと飛び跳ねて帰って行った。


「それはそうとネクタルの実がそろそろ収穫できるよ、リン」


「ホント!? 良かった! じゃあ早速収穫させてね!」


 2階に上がり、ドールのレインを持ち出す。

 ベランダから見ると、黄金色の果実がいくつか実をつけているのが見えた。

 青い実はまだまだってことなのかな。

 詠唱をし、ハンドルに魔力を通すとレインがスックと立ち上がる。


「レイン、実の収穫をお願いできる?」


 私の言葉にコクリと頷くと黄金色に光る実を一つもぎ取って来てくれた。


「……美味しそう……」


 私がまず味見をしたいな、と思ったらぽこに掻っ攫われてしまった。


「あ、こら!」


 私の制止の声も聞かずにベランダでもっちゃもっちゃとネクタルの実を貪り食う二匹。

 濃密な果汁の匂いにクラクラするけれど、なにこれ、お酒とか入ってないよね?

 そういえば元々は神様の飲み物って呼ばれていたんだっけ。ネクタルって。

 蜂蜜酒かなにかを想像していたけれど、それに近い芳香かもしれない。


「ぷ!」


「ぽ!」


「気に入ったの? 魔力はどう?」


 口の周りをベタベタにした二匹に聞いてみる。


「ホッホッホ。二匹ともどうやら魔力に満ち溢れているようだよ」


 下にいるトレントが代わりに答えてくれた。

 でもどうやらこれで私が糸を出さなくてもなんとかなりそう。

 魔力が切れたときイコール即消滅、なんて可能性にならなくて安心した。

 ……それに今は太陽の魔力が体に宿っているせいで糸がだせないしね……。

 主に馬鹿アンヘルのせいで。

 私の中でアンヘルが結構ぞんざいな扱いになっているけれど、知らない。

 乙女のクチビルを奪った罪は重いのだ。たぶん、きっと、おそらく。

 物思いに耽っているといつの間にか足元に居たぽこが居ない。

 慌てて回りを見渡してみるとトレントの枝に短い足でよじよじとよじ登っている所だった。

 狙いはネクタルの実だろう。

 あぁ、もうどんだけ食い意地張ってるの!


「レイン! ぽこを連れ戻して!」


 私の言葉に頷くと枝へ飛び、ぽこをガッチリとホールドした。


「ぷー! ぷー!」


 ホールドされたぽこと言えば、イヤイヤをするように首だか胴体だかわからない部分をよじっている。

 それを見たぽむは一言、しょうがないなといった感じで鳴いている。


「……ぽー……」


 少しはぽむを見習いなさい。こんなにおとなしいのに!

 体重が無いから落ちても大丈夫かもだけれど、食い意地の悪さは矯正しなくちゃいけない。

 レインに押さえてもらったまま、こんこんとぽこに説教をした。


「良い? 美味しいからと言って独り占めはいけません!」


「ぷきゅー」


 猿蟹合戦の猿だって、美味しいものを独り占めしたためにこらしめられるハメになったのだ。

 ぽこにはそんな思いはさせたくない。


「もう、ちゃんといっぱいあるんだからそんなに食い意地張らないの」


 クスクスと笑う私にぽこが反省したように鳴く。


「ぷー……」


 でもこれでぽむとぽこの魔力の問題はなんとかなりそう。

 ホッと安堵する私。

 ……けれどその時は私は気付かなかったのだ。魔力が高い作物を実らせるとどうなるかという事を。


「ギィヤアアーーーー!」


 アルミホイルを引き裂いたような音を何倍にもしたような声が辺りに響く。

 音がしたほうをみると、森から玉虫色の何かが群れを成してこちらに向かってきている。

 わさわさと動く角と6本の脚。そして太陽の光を反射して虹色に光る体表。

あれは、もしかして……!


「トレント! 何かが向かって来ているけれどもしかしてあれって!?」


「ホッホッホ、金斬虫(かなきりむし)だねぇ。おそらくネクタルの実を狙っているんだろうねぇ」


 いや、ホッホッホじゃないって!金斬虫(かなきりむし)になんて襲来されたらトレントが食べつくされちゃう!


「樹木は動物の恵みだからねぇ。それは私とて例外ではないのだよ」


 「いや、トレントは今私の家にもなってるんだからね!? だから私が守る! トレントも! 私の家も!」


 決意を前にトレントはまるで我が子の成長を見守るようなまなざしを向けてきた。

 ……トレントは絶対私が守るんだから!

読んで頂いてありがとうございます。

誤字・脱字・文法の誤りなどありましたらお知らせくださいませ、勉強させていただきます。

ご意見、ご感想などもお待ちしております。

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