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ぽむぽこりん -異世界で魔術師見習いやってます!-  作者: 春川ミナ
第一章:ソルデュオルナの魔術師見習い
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初めてのチュウ

「ありがとう、ウンディーネ」


 家に招いてくれた事に礼を言う。


「焼きリンゴのお礼ですわ。湖で呼んで下さればいつでも門を開いてさしあげますね」


 気付いたことだが、ウンディーネの魔力は直接注がれるのではなく、間接的に摂取するならば、ぽむとぽこにも分け与える事ができるみたいだ。

 さっきの飲み物はウンディーネの魔力が入っていたが、それを飲んだぽむとぽこはどうやら魔力がすみずみまで満ち溢れているのだ。

 これは新発見だ。つまりトレントの魔力が詰まった作物で魔力の補充も可能という事。

 今までぽむとぽこが地上に降りてきて消えて……いや、世界の一部になってたのは近くに魔力の詰まった果実や植物が無かったこともあるのかな?

 それはそうとネクタルの種があれば欲しいなぁ。

 そうすればトレントに作ってもらえるのに。

 ウンディーネをジーッと見つめていたら声をかけられてしまった。


「あら、リン。どうなさいましたの?」


「あ、うん。ネクタルがすごく美味しかったらもしよければ種余ってないかなぁって思って……」


 おずおずと言い出してみる。


「御安い御用ですわ。そんな事でいいのでしたらいつでも仰ってくださればよろしいですのに」


 そしてまた中空を掴むように手を動かすとその手には桃の種を一回り大きくしたような種があった。

 さっきも思ったけれど一体何処から取り出してるんだろう。

 ウンディーネに聞いてみると、水のあるところなら何処でも自分の分身がいるので自由にできると言われた。

 繋がりについても聞かされたけれど、自分じゃ理解できそうもないので遠慮しておいた。

 これをトレントに作ってもらって街に売ればお金持ちになれるかも、とニヨニヨしてアンヘルに伝えたら怒られた。


「リン、それはやめた方がいい。ネクタルって言ったら冒険者を雇って魔力の高い所でようやく採れるような作物だ。もしリンのようなちっちゃい子が売るなら絶対あらぬ嫌疑をかけられるぞ」


「……それもそうだよね。うん、やめとく。ぽむとぽこのご飯になるかもだからとりあえず実験的に育ててみたいな」


 少し残念な気もしたけれど、いらぬ腹を探られるような事は私もしたくない。

 ……お嬢様と間違われてさらわれちゃったしね。


「また攫われるような事にはなりたくないし……」


「攫われるってどういうことだよ!? リン!」


 しまった、口に出ちゃってたみたい。

 アンヘルが形相を変えて私に詰め寄る。


「どういう事ですの? リン」


 ウンディーネも静かな怒りを込めて私に聞いてきた。

 こ、怖い!

 美人が静かに怒るとこれほどまでに怖いのかと思ったけれど、アンヘルに肩を掴まれて後ろに下がる事もできなかった。

 仕方なく昨日あったことの一部始終を話すことにした。

 アルカードさんの家に招待され、街を案内された事、豪華な服を着せられお姫様みたいな気分になったこと、それで攫われてしまった事等を。

 全部話し終えた時、ウンディーネは怒りに震えていた。


「あんの馬鹿吸血鬼……。許せませんわ……。私のリンをこんな危険な目に遭わせて」


 静かに、とても静かにだけれど、水面がさざ波に揺れるように怒りの炎がウンディーネの瞳に宿っている。

 ……不味い。このままじゃアルカードさん殺されちゃう。

 そしてアンヘルも怒りに任せて太陽の魔力が発動しかけてる。


「やっぱあの時浄化しとくんだった」とか物騒な事を呟きながら。

 私は慌ててアルカードさんに非は無いことを伝えておく事にした。

 いや、あんなお嬢様呼ばわりされたら勘違いする人も出てくるでしょうけれど、それでもアンヘルとウンディーネを敵に回すとアルカードさん涙目になっちゃいそう……。

 なんせ精霊と太陽の魔力を持つ子供だ。

 その気になれば本当に消滅させられる。

 アンヘルとあった時のアルカードさんを思い出して、ブルリと震えた。


「待って待って! アルカードさん悪くない、ウンディーネもアンヘルも落ち着いて!」


 私の言葉に落ち着きを取り戻した二人。

 ……大体ここには太陽の光届いてないからアンヘルの太陽の魔力使ったりなんかしたら寿命削っちゃうし。

 アンヘルに魔力濃度の高い食べ物食べさせるのも悩みものだなぁ。


「アンヘル、大丈夫? 体どこもおかしくない?」


 アンヘルの様子を見ると魔力の放出は収まったみたいだけれど、その残滓があちこちに見受けられる。


「ぽ!」


 みるとぽむがアンヘルの足元にまとわりついてる。

 どうやら余剰に出てしまったアンヘルの魔力をぽむが問題ない程度にアンヘルに還元しているようだ。

 当のアンヘルは足元にまとわりつくぽむを踏まないようにしているせいか、タップダンスを踊っているようにも見える。


「おい、リン! コイツなんとかしてくれよ……! うぉっとと!」


「え? わ!? キャー!」


 アンヘルがたたらを踏んで私の方に倒れこんできた。

 当然それをかわす余裕も無くて、アンヘルに押し倒されるような形になった。

 ぽこを下敷きに……。


「ぽぎゅー」


 私の背中で苦しそうな声をだすぽこだけれど、こっちはそれどころじゃない。

 奪われてしまったのだ。

18年+12年間誰にも許したことの無い唇を。

 ……初めてのキスはネクタルの味でした……。


読んで頂いてありがとうございます。

誤字・脱字・文法の誤りなどありましたらお知らせくださいませ、勉強させていただきます。

ご意見、ご感想などもお待ちしております。

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