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ぽむぽこりん -異世界で魔術師見習いやってます!-  作者: 春川ミナ
第一章:ソルデュオルナの魔術師見習い
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白と茶色のもふもふ

 食事が終わり、レイミーさんを呼ぶ。

 食器を下げてもらいながら、そろそろ帰りたい旨を伝える。

 帰ろうと思うのだけれど、そのためには箒も持ってきていないし、馬車を出してもらうしかない。

 その旨をレイミーさんに言うとセバスチャンに伝えてくると出て行ってしまった。


「ぽむ、ぽこ、お腹は空いてない? 大丈夫?」


「ぽ!」


「ぷ!」


 良かった、まだ大丈夫みたい。

 今日はゴーレムが耕した畑に野菜を植えようと思っているからあまり魔力を使いたくは無いのだ。

 コンコンとドアがノックされる音に今日のやることリストを頭の中で考えていたことから現実にひきもどされる。


「はぁい」


「リンお嬢様、セバスチャンで御座います」


 セバスチャンさんがドアを開け、入ってくる。


「お帰りになりたいとの事ですが……」


「はい、家の方もやらなければいけないことがありますのでできればそろそろお暇させていただきたいのですが」


「畏まりました。ではスレイプニルの馬車を用意させていただきます」


 あ、やっぱり空を飛んで帰るんだ。

 まぁ普通の馬車じゃちょっと時間かかっちゃうものね。


「その間にリンお嬢様はお着替えを。レイミー!」


 セバスチャンさんが呼ぶと、すぐにレイミーさんがやってきた。


「お帰りになられるそうで、こちらにお着替えの用意は整っております」


 その手には綺麗に折りたたまれた私のローブと帽子があった。

 洗濯されており、艶が出ている。


「あ、ありがとうございます!」


「さ、セバスチャン様はお部屋の外に。殿方に女性のお着替えを見せるわけにはいきませんので」


「おっと、これは失礼」


 セバスチャンさんが回れ右をして出て行くと私とレイミーさんが残った。


「せっかくのお客様でしたのに残念です。またおいでくださいね」


 アルカード様も憎からず想っているようですし、と付け加えられる。

 そういえば告白されたんだっけ……。

 産まれてはじめての告白に顔がまた赤くなるのを感じる。


「ねぇ、レイミーさん。好きってどういう事なのかな?」


 ボソリと呟くが、十分聞こえたようだった。


「さぁ……私には解りかねます。ただそう気負うこともないですよ」


 そっと肩に手を当てられ、大丈夫と言った風に軽く叩かれる。


「リン様は何時も通りにしていればよろしいかと」


 ローブを着せられ、ドールのレインとハンドルを持たされる。

 レインも汚れ一つなく、安心した。

 ……昨日乱暴に扱われなかったみたいね。これだけでも商品価値はあると思っていいんだろうか。

 魔力を通し、動きに問題が無いか確認する。

 最初こそギクシャクとした動きに疑問が残ったけれど、それは自分の精神状態のせいなのだと気付いてからはすべるように動いて安心した。


「リンお嬢様、馬車の準備が整いました」


 セバスチャンさんがノックをし、レイミーさんがドアを開ける。

 色々あったけれどやっと帰れる……。

 そう考えてホッとした。

 ぽむとぽこも帰ったらご飯をあげよう。まだ家に魔力糸のストックがあるはずだ。


「ぽ!」


「ぷ!」


 ふわふわもこもこの二匹を撫でると気持ちよさそうに声をあげる。

 もふもふとした毛並みが手に馴染むようで気持ちよいのとくすぐったさが残る。


「行こうか、ぽむ、ぽこ」


 セバスチャンさんをあまり待たせるのもよくないだろうと考えて、立ち上がる。

 レイミーさんにお礼を言うのも忘れずに。

 今度来るときはなにか差し入れしよう。必ず、うん。

 スレイプニルの馬車に乗り、その間ぽむとぽこを撫で続けていた。

 どうやら耳の後ろが気持ちいいらしく、パスパスと音を立てて耳を震わせている。

 ……もふもふしてたらアルカードさんの事も思い出さなくてもいいものね……。

 ちょっと打算的な事を考える私。

 腹黒いとか言わないで、傷つくから。


「レインも帰ったら髪を梳いてあげるね」


 腕に抱いているドール。コクリとうれしそうに首を傾けたレイン。

 最近なんとなくではあるけれど魂が宿ってるんじゃないかというか、不思議な感覚で結ばれてる感じがする。

 だって今はハンドルに魔力を通してないのにレインが頷いたもの。

 ……馬車が揺れただけかもしらないけれどね!


「リンお嬢様、そろそろ着きますよ」


 セバスチャンさんに言われ、見下ろすとトレントの大きな姿が見えた。

 ……やっぱ大きいなぁ。

 その横でチマチマと作業しているのはゴーレムだ。

 相変わらずハニハニ言ってるのかな。

 音も無く地面に降りて、ヴルルッと嘶くスレイプニル。

 ありがとうと感謝の意を込めて鼻の頭を掻いてあげるとうれしそうに身を摺り寄せてきた。


「おやおや、リンお嬢様はスレイプニルにも好かれているようですね」


 ホッホッホと笑うセバスチャンさん。

 あの、ここにはもう一人同じ笑い方をする方がおられるんですが……。

 そう考えてトレントにチラリと視線を送る。

 

 ……良かった。木のフリをしていてくれるようだ。


 それにしても、とセバスチャンさんとスレイプニルを見送り、はたと考える。


「私の属性は土のはずなのにママの星の属性も受け継いじゃってるのか

なぁ……」


 私の独り言は風に晒されて消えていくだけだった。

読んで頂いてありがとうございます。

誤字・脱字・文法の誤りなどありましたらお知らせくださいませ、勉強させていただきます。

ご意見、ご感想などもお待ちしております。

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