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ぽむぽこりん -異世界で魔術師見習いやってます!-  作者: 春川ミナ
第一章:ソルデュオルナの魔術師見習い
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良いこのお悩み相談室

 もやもやとした気分のまま朝を迎えた。


「あうぅ……。寝不足だー」


 原因はアルカードさんが昨日言った言葉。


 「お前の事が好きだ」って一体どういう意味よー!


「リン様、おはようございます。レイミーです」


 ベッドの上でゴロゴロと転がりながら悶々としているとレイミーさんが部屋をノックする音が聞こえてきた。

 一緒に寝ているぽむとぽこにはいい迷惑だろう。


「はぁい」


 それでもしょぼしょぼとした目を擦りながら、返事をする。


「失礼いたします。……あら? あまり眠られなかった御様子ですね」


 レイミーさんに看破されてしまった。昨日言われたことを相談しようかどうか迷ったけれど、それよりもまずは自分の身だしなみが気になる。

 鏡を見ると、しょぼくれた自分が居た。


「うわぁ……。これはひどい……」


「先にお顔を洗ってこられては如何でしょう。朝食をその間にお部屋にお持ちしますので」


 レイミーさんの言葉に甘えることにし、顔を洗いに行く。

 できればアルカードさんに会わないことを祈りつつ……。

 というか朝だからもう寝てるのかしら。

 生活時間帯が違うと結婚生活にも支障が……。って何を考えてるの私!

 話飛躍しすぎ!


 「うわぁ、うわぁ」と一人で声を上げて悶えてるとセバスチャンさんに声をかけられてしまった。


「おはようございます、リン様。なにやら面白い動きをされていた御様子ですが朝の体操ですか?」

 

 いいえ、違いますぅ。主に貴方の御主人様のせいですぅと言いたくなるのを我慢して朝の挨拶を返す。


「ふむ、その御様子ではあまりよくは眠れなかったみたいですね」


 いえ、だからそれも貴方の御主人様のせいですぅ……。

 そうだ、セバスチャンさんなら私のママの事も知ってるはずだよね。

 もし一途にママを思っていたなら浮いた話一つ出てこないのも頷けるんだけれど……。


「セバスチャンさん、アルカードさんは誰か好きな人居ないんですか?」


 その様子にはて、と顎に手をやる。


「私めが伺っているのはリン様がお好きだと言う事ですが……」


 外堀から埋められてたー!しかもド直球だったー!

 よろりとふらついた所をセバスチャンさんに抱きとめられた。


「おっと、大丈夫ですかな? 昨日の今日です。リンお嬢様の気の済むまで滞在されても構わないとの事です」


 あぁ、攫われたことをショックだと思われてるんだ……。


「大丈夫です。セバスチャンさんが思っているようなことはないですから」


「ふむ、何かありましたかな? 私で宜しければ相談に乗りましょうか?」


 正直言って相談してもいいものか迷ったけれど、言うだけ言ってみることにした。


「……実はアルカードさんに好きだと言われてしまって、どう返して良いか自分でもわからないんです」


 こういう事は普通女性のレイミーさんに話すべきだろう。

 でもママの事を知っている、トレントと同じ匂いがするこの執事さんにはなんとなく相談したい気分だったのだ。

 その言葉にふむ、と顎を撫でるセバスチャンさん。


「リンお嬢様はお嫌でしたかな?」


「嫌とかじゃなくてどうしたらいいのかわからなくて……」


「私めと致しましては、そろそろアルカード様のご子息に、爺と呼ばれたいのですがな」


 ほっほっほと笑われる。

 あぁ、うん。そうだよね。セバスチャンさんはアルカードさん寄りの意見だもんね……。

 まぁ、と続けられる。


「リン様は御自分の魅力にもっと気を配った方がよろしいかと思われます。この先成長されたらもっと求婚してくる相手も増えるでしょう。そうならない為にアルカード様はリン様を手の内に隠しておきたいのではないかと」


「私はこんなにちんちくりんですよ?」


 それに弟のジグにも喧嘩したときブスだと言われた経験がある。

 自分では自分の容姿は良く見積もっても中の上くらいだと自負できる自信がある。


「……リン様、無礼を承知で言いますが、貴女はもっと自分の容姿に気をつけた方がよろしいかと存じ上げます」


 スッと真摯な目線を私の目と同じ高さに向けられ、心臓が跳ね上がる。


「リン様は美人で御座います。おそらくはリリー様よりも。言われた事はございませんか?」


 その言葉にフルフルと首を振る私。

 日光に弱く、外にもあまり出られなかった為、村の子供達ともあまり接する機会が無かったのも事実だ。

 ……比較対象が無いって不幸なのか幸運だったのか……。


「先ほどの答えですが、私めはリン様が受け入れて下されば……と思っております」


 しょうがない、私も考えてた事を言おう。


「ママの代わりじゃなく、私本人を見てくれるならば考えます。……が、まだそこの区別がつかないので保留ということでよろしいでしょうか」


「えぇ、よろしゅうございますとも。旦那様もわかってくださるでしょう」


 セバスチャンさんにお礼を言い、顔を洗いに行く。

 すでにこの館の構造は大体分かっているので勝手知ったるなんとやらだ。

 冷たい水で顔を洗うと大分頭もシャッキリしてきた。

 部屋に戻るとレイミーさんがワゴンに乗せた朝食を用意してくれていた。


「リン様、朝食の御用意ができております。さぁ、温かいうちにお召し上がり下さい」


 ワゴンに乗せられていたのはパンとオニオンスープ、スクランブルエッグとサラダだった。

 良いなぁ、何もしなくても出てくる食事って……。

 部屋にあるテーブルに座り、食事が並べられるのを見つめている。

 もちろん、レイミーさんに感謝の言葉を言うのも忘れずに。


「ありがとうございます、レイミーさん」


「いえ、それでは私は他の雑務がありますのでこれで失礼いたしますね。お食事が終わりましたらお呼び下さい」


 一礼してドアを閉められる。

 私は食事の前にする印を結んで「いただきます」と呟いて食べ始めた。


読んで頂いてありがとうございます。

誤字・脱字・文法の誤りなどありましたらお知らせくださいませ、勉強させていただきます。

ご意見、ご感想などもお待ちしております。

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