(1)暴力的な少女と変態ストーカー刑事
Zzzz,,,.... Zzzz,,,........
今、自分の隣には、おそらく一ヶ月以上風呂に入っていないであろう悪臭、
服の汚れが認識できるシロヒゲじじいが眠りこけている。
しかし、自分の目標はこんなおいぼれたおじいさまではないのだ。
そして、こんなに薄汚れた人気もないほうへ、ただ突っ走る鉄の箱に乗っている場合ではないのだ。
でも、現状を受け入れるしかないのだろうか。そう、今自分は一人の
ロクに筋肉もつかないであろう少女が、またまた思いもよらぬ四角い木の棒で
力いっぱい殴りつけてきたのだ。そうともなれば、
足がふらつくのもオカシイ話ではないはずだ。まあ、
そのまま’偶然にも’電車に入ってしまい、’偶然にも’こけて、そのまま
電車の扉・・・いや、非情成る現実の自動扉が、重苦しくしまってしまい、こうなった。 それだけだ。 なにかわるいか。
「・・・はぁ、またこれか。」もう嫌だ。あの少女を追いかけていると、
追いかけるまでは順調なのだが、そこからが悲劇の連続なのだ。
少女に近づくと、例え後ろからだろうが前からだろうが上からだろうが、
とにかく全方位からどのように来ても、一定の範囲に入ると、少女はナカユビを立て、
その合図と共にさっきまでの平和が嘘みたいに、世界は一気に狂い始める。
あまりにも酷過ぎる光景なので、余り思い出したくないのだが。
突然少女の近くのマンホールが飛び出し、電柱にぶつかる。その電柱はまぁ、
車にまっさかさまで、その車が石油を積んだトラックで。
近くの家に灯が付き、第二の電柱(大)になって。そこらいったいは煙いだけの電柱街になった。
その悲劇を親指を咥えながら(実際には咥えていない)その惨すぎる光景を見ていると、
少女はどこかにいってしまっているのだ。
簡単に言えば自分の不注意なのだが。しかし、こんな風になったのは今回が初めてではない。
これで計’526'回目の惨劇だ。もう嫌だ。でも、こんなにシツコク少女を追い掛け回す
ストーカーに成り果てているのは、自分が変態だからではない。
大金がかかっているのだ。自分もだいぶ落ちぶれたものだ。 いつも自分はそこらじゅうを歩き回り、
ドヤ顔をしてバッジを見せつけ、
謙らせることを職にしているのだ。でも、上司が「お前宛に手紙が来ているぞ。」といい、
灰色の封筒を投げつけてきたのだ。
その中身にはこう書いてあった。
―――ハイケイ、ヘンタイFuckin'ヤクタタズケイジヘ
こんにちは。私は、阿部っちを総理大臣にして世界を腐らせた張本人です。
私は今XX県XX市XXXX-XXX-XX番地の家の前にいます。
こないとソコラへんの一般ピーポーころしちゃいますよ?
午後4:00までにきてください。話があります。
っといった、初っ端から馬鹿にした始まりの手紙だった。血管が部千切れそうになるのを、
歯が壊死してしまうのではないかという程の激甘珈琲を
口に入れ、落ち着かせた。そうだ、こんなのいたずらに決まってる。
阿部っちを総理大臣にしただあ?
こっちは子供のお遊びに付き合ってる暇はないんですよッッ!!!
と、頭の中でお芝居をしたところで。
「・・・・・・・・・・・・けっこうやばいな。」上司に相談するか・・・?嫌、だめだ。なぜなら約束の時間に後30分もないからだ。
上司は一人で落語ができちゃうんじゃね、ぐらいの天才的なお喋りさんだ。さっき手紙を渡されたときも、「あぁ、そんでなぁ、さっき伊藤の奴が・・」
と話を入れてきたので、「あ、珈琲冷めちゃうんで・・すいません。」と言い、足早に逃げた。
・・・わかった。何で最近警察もハイテクなのにどんどん事件が増えていくのか。
よくよく考えれば、事件殆ど解決してねえや。