表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/85

第77輪

 始業式後、家に帰って昼食を済ませ、自分の部屋でVRギアをかぶる。夏休み中ですっかり慣れてしまった浮遊感に体を預け、ログインが完了するのを待つ。アップデートの後だからか若干時間がかかる。


「ん、何か増えてる」


 ログインすると、視界の端の方に今までは無かった表示が増えている。それに視線を向け、観察しているとウィンドウとして正面に出てくる。


 内容を見てみると、どうやら今受けている昼間が原因によるペナルティのようだ。ウィンドウを閉じるとかかっている効果を簡易的に表したアイコンが表示されている。戦闘の邪魔にならなければいいけれど。


「まあいいわ……さて、まずは変更されたスキルの確認からね」


 呟きながらメニューウィンドウを開き変更されたものを探して画面をスクロールする。HPとMPの表示はパーセント、数値の両方にしておいた。そういえばスタミナと満腹度、渇水度の表示は変わっていないのね。まあそれはおいておこう。


 重要なのは《魔術エンチャント》だ。《魔術・結界》だった時の魔術で闇魔術を強化して使っていたので使い勝手が悪くなるとこれまでの戦闘スタイルを一部変更しなくてはならない。


「……なるほどね。名前が分かりやすくなったのは良いけれど、使い方が変わったのね」


 スキル一覧からアーツを確認するとインフォメーションが表示され、仕様の変更について書かれていることを確認する。


 《魔術エンチャント》による魔術は、次の魔術による攻撃を強化するバフ、を付与するものになったらしい。攻撃を行う魔術を使うまでは敵のアーツ、魔術の効果によるバフ解除を除いて無くなることは無いとのこと。なお、同じエンチャントは5つまで、エンチャント単体の性能はスキルレベルによって効果が上がる、とのこと。


 一度に消費するMPが減ったと言う点においては使いやすくはなったと思えるけれど、強化された魔術の発動までに時間がかかるのが少し悩ましいところだ。なお、同じようなスキルで《物理攻撃エンチャント》というのもあるそうだ。そのうち手を出すかもしれない。


「まだ昼間だから確認しようにも暫くは駄目そうね」


 街の中ではペナルティの時間経過でHP減少が効かないが、フィールドに出るとそうではないので夜になるまで戦闘行為は控えておきたい。日傘をさしながら街の近くで素材の採集がいいだろう。


 第三の街、フルールではポーションに使える薬草は生えていないのでワープポータルでファストラックまで移動する。その後、少し森の近くまで行き、数時間かけて周辺の薬草と霊草を根絶やしにする勢いで採る。その間に1人もプレイヤーが来ないのだから恐らく大丈夫のはず。そうであってほしい。


「そろそろ1回鞄を整理するべきかしらね」


 ウィンドウから鞄の中身を確認すると結構滅茶苦茶になっているのが気になったので、何を持っているのかの確認も含めて鞄の整理をする。


「あ、大剣(バスタードソード)が壊れかけてる。まあ後で買い直しに行こうかしらね。大量の薬草と霊草はとりあえず隅っこから寄せておいて、投げナイフももう少し買い足しておこうかしら。イベントの時に作ったアイテムも肥やしになってるわね……」


 そんなこんなで約20分。鞄の中身を整理し終えたところで、メモを取った物を買い足しに行く。魔物の素材なども色々有ったが、物を作るにしては数が中途半端だったりしたので売りはらうことにする。鉄のインゴットは相変わらず消費されていない。


 魔物の素材を売ったとはいえ、まだユズとサクラ姉ぇに比べれば財布が軽い。メモに纏めたものを買ったら余り残らないだろう。まあポーションを売れば何とかなりそうだけれど。


 WWO内で夕方になったころでポーションを作り終える。買い足すものは既に買ってある。大剣は同じバスタードソードだ。壊れかけていた方は引き取ってもらった。資金は最終的にポーションを売ったおかげで過去最高である。もちろん自分で使う分は確保してある。


 装備もアイテムも揃った所で残念だが、そろそろ夕飯の時間なので一旦ログアウト。夏休みは終わってしまったのでこの辺りの習慣を崩すと生活に支障が出る。











 夕食後に再度ログイン。とりあえずフルールまで来てみたが特にやることも思いつかないのでそろそろ攻略を進めてみようかと思う。サクラ姉ぇは大分前に第四の街に着いていたと聞いたし、そろそろ関所とやらも通過している可能性がある。というか既に抜けているだろう。ユズ達も恐らく第四の街には辿り着いているとは思うので丁度いい頃だと思う。


「さて、確かファストラックからマスドレイク……正しくは山を越えた方向だから街へ向かう方向からは若干ずれているけれど、直進すると第四の街が有るんだったわね。移動が長くなりそうだから野営セットでも買っておこうかしら」


 PVPが終わった後にヤヨイさんが教えてくれた情報だとこれで合っているはずだ。フルールからだと進路がずれているのでマスドレイクに戻る必要がある。とんぼ返りになるのも悔しいので野営セットはフルールで買った。


「明日も学校だしそう長くはできないのが少し残念ね」


 マップを見ながら大体の当たりを付けて目的の方向へ進んでいく。時間帯が夜なので途中で魔物に出会うこともあるが、この辺りの敵ならほとんど戦闘にすらならないので、変化した魔術を使用しても重ねがけなどの効果の違いが分からないだろう。よってアーツなどは使わずにいる。《大剣》スキルのレベルもひとまず焦って上げるような必要性も無いだろうから、敵が変化するまでは《蹴り》の方を優先していこう。


「そう言えば群れで襲って来た狼とかもこの辺りに居るのよね。1人で居る分襲われても派手に暴れられるから、あの時より楽に倒せそうだけれど」


 蜂蜜を買った街に行った時のことを思い出しつつ先へと進む。リアル時間で10時ごろにはログアウトする予定なので、あと1時間と20分ほどだ。……ゲームでもっと時間がほしいと思う当たり、結構毒されてる気がする。


 黙々と暫く歩いていると、遠くに焚き火らしき物が見える。《暗視》のお陰で良く見えているが、人が3人ほど集まっているようだ。しかも、見覚えのある顔だ。


「誰だッ!……ってお前かよ」

「あ、お姉ちゃん」

「ん、久しぶり」

「こっちでは久しぶりね、ユージ。あとユミもね。でも珍しい組み合わせね、何かあったの?」

「ああ、簡単な話だよ。俺たち3人は第四の街に着いてないんだ」


 ユージの強さは分からないからともかく、ユズたちのパーティーが全員で抜けられていないのが少し不思議なところだ。


「ユージはどうなのか知らないけれど、ユズのパーティーでユズとユミが第四の街に着いていない理由が分からないわね」

「まあ、俺はいっつもセイヤとミオを組んでるんだが、たまたま俺がいないときに第四の街に抜けるためのボスに会って、これまた偶然に1回で攻略したらしくてな。結果的にはぶられてるわけだ」

「私たちもそんな感じー」


 ユージの状況は分かったけれど、常にパーティメンバーと一緒に攻略を進めていたユズとユミが省かれている理由は納得いかないところがある。それに、ユズ達は何度か挑んでもボスに勝てなかったのようなことを以前言っていたけれど、人数が減ってなぜ勝てるようになったのかがわからない。


「まあ大体わかったわ。それで、せっかくだから協力して次の街まで行こうというわけね」

「そういうこった。お前も一緒に来るか?」

「うーん……」

「なんでそこでユズが悩むのよ」


 ユージが私にパーティーに入るか誘ってきたところでユズが唸りだす。ユミも少し渋い顔をしているので、2人の中で完結している何かしらの理由があるのだろう。ユズをユミだけがボスの攻略ができていないことに関係しているのかもしれない。


「まいっか、一緒に行こうよ!」

「あ、そう」


 それなりに長い時間悩んでいたユズだったが、突然考えることをやめたかのように首を縦に振る。


「とりあえず、攻略の続きは明日だね」

「そうだな。寝落ちとかはしないと思うが、学校に遅刻とかはしたくないしな」

「うん」

「じゃあユズ、明日は案内よろしくね」

「はーい」


 明日ユズの案内でボスのところに行く約束をしてログアウト。この後は風呂を済ませてから布団に入った。

更新をお待たせしてしまい、申し訳ありません。


PC環境を新しくしましたので、もう少し安定して更新できるようにしたいと思います。

今後もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ