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世界中のみんな!おらに勇気を…!
「えっと、お祖父様…?」
「………ああ?」
いきなり家に不法侵入してきた怪しい人物が初めて会った自分のじいさんだってだけでも衝撃的なのに、さらにその人物に拐われ、なけなしの根性を振り絞って話し掛けてもすんばらしいバリトンの声でヤンキーばりのガラの悪さの返答しか頂けませんでしたよ本当にありがとうございました。
だがしかし!以前なら既に諦めていたこの状況でも!もう一度!もう一度だけ!コミュニケイトを計る!勇気を!俺に誰か下さい!
今、富とか名誉ならば、いらないけど、勇気という名の翼が欲しい。
「……ついた」
「……っへえ!?」
びっくりして江戸時代の役人みたいな声が出た恥ずかしい。それにしても、いつの間にじいさん足を止めていやがった。
…まったく気が付かなかった。
これには真っ当な理由があるのだがな!俺は体感時間で大体、一時間ほど担がれていたんだがその間、ほとんど身体に震動が来なかったのだ。
例えるなら、まさに近未来電気自動車!
…実際はじいさんの人力なわけだが。
俺が鈍いからじいさんの停止を察知出来なかったわけではないのだ。
決して!