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あらぶる椅子
ガッダダッダッダッ
激しく何かが震動する音がした。何事かと視線をそちらへ向けると。
…父親が椅子ごと上下にガタガタと震えていた。
って、え、なにそれ、は!?
それはかなり奇っ怪な光景だった。
顔を青ざめ、体を強張らせたイケメンの座っている椅子ぶるぶると震えているのだ。
俺は今、ポルターガイスト現象を今目撃している!
……わくわくしている場合ではない。父様を助けなければ。
たしか、ポルターガイストは幽霊が引き起こしている現象だったはず。ここは定番の光属性、ようするには母様の魔法で父様を救って頂こう。
母様もお祓いには光属性が有効だと知っているだろう。
さあ、母様。今こそ、その聖なる力を解き放って下さい!
出来れば派手なやつで!
ドキをムネムネさせながら、激しく上下運動を続ける椅子から我が麗しの母様に目を移すと。
じっ、と瞳の動きのみである人物を追っていた。
そう。さっきやたらと印象の強い登場の仕方をしたひょろいじいさんである。
…正直、存在を忘れていた。