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セバミ初登場
俺の全力の絶叫に、固まっていた人々が動き出す。
「坊っちゃん!」
「セバミ!手痛い!刺さってる!」
慌てて駆け寄ってきたセバミに泣き言をいう。
通算で二十年以上生きてきたが、初体験の痛みにかなり狼狽えている。
初体験ならもっと嬉し恥ずかしな方がよかったよ!
「今すぐ治して差し上げますから、我慢してて下さい。かなり痛いですよ」
そう言うが早いが、セバミが手に刺さっている水晶の破片を抜き取りだした。
「……ッ!」
内心大声で叫び出したかったが、それは余りにもみっともない。
必死に歯をくいしばって耐えた。
さっき叫んだから今更感半端ないがな!
パナいのうってやつだ。
「ディレット!大丈夫!?」
「母様、グッ、大したこ、ア゛、と、ありまッせん」
痛みで話し方がだいぶうろんになってしまった。
「エラミン、回復魔法を」
「あっ、そ、そうね!バイヤヒール!」
暖かな光が俺の手に舞い降りた。
痛みが引き、傷口も塞がってゆく。
「ありがとうございます、母様、セバミ」
傷を処置してくれた二人にお礼をいった。