プロローグ
目を開けたら知らない天井が見えた。
……は?ついさっきまで俺は確かに明日提出のレポートを書いてたはずなんだが。どういうことだ?知らない天井?え、ここどこだ?
まさか瞬間移動したとか?いや、それはあり得ない。能力は完全に封じた。…って、まさか!宝具が外れたのか!?ヤバイ、今すぐに能力封印の呪文を唱えなければ!
「ぅえおぬはえれ」
呂律が回らないだと…!まさか組織の奴らの罠か!?
……いやいやいや。超能力に目覚めたり怪しい組織に狙われたりした経験はなかっただろ、俺。今更中二病に罹患する年でもないし。なに考えてるんだ。全力で現実逃避しすぎだろう。
慌てても何も始まらない。とりあえずは今の状況を確認しよう。
まず、俺の名前は斉藤翔。
名前は爽やかなのに、と残念な顔をされる俗にいう、スーパーの閉店前に割引されまくったにもかかわらず売れ残ってしまった、死んだ魚の目系無気力男子だ。
まあ、幼い頃からそんな有り様だったかというとそうではなく、むしろバイタリティー溢れるヤンチャ系男児だったのだが。
……両親が一辺に死んでしまわなかったら今も活発だったのだろうか。、いや、なにしんみりしてんだ。また現実逃避に走りだすのに、早いにも程があるだろ。
もう少し頑張れよ俺。そんな益体のないことをつらつらと考えていると、突然、金髪美女が顔面を覗き込んできた。
「*Д$&ノ!゜|<」
うわ、言語が通じないとか。俺が中二病だったら、異世界転生!とか痛い勘違いしてるところだぞ。
まあ、今の状況から察するに、恐らく俺は何らかの事故に遭って記憶障害に陥っていると考えるのが妥当か。金髪ってことは海外旅行でもしてたのか?
「(〃φ〆. ^|ゞ〜♪」
金髪美女が手をこちらに差し出した、と思った瞬間、唐突に体を浮遊感が襲った。
そして近くなる彼女の顔。
抱き抱えらた!?