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ラストチャンス  作者: 花染
プロポーズから始まる恋愛も良いかもね
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アルカ。アルト。

私は、アルトをみる。相変わらず目付きが悪い。


「…………」

「キモイ顔で、俺を見るな」

「アハ!死ねばいいのに」


ねぇ、アルト。アルカって知っているの?知っているなら知りたい。けど私は聞けなかった。だってフェニ姉さんが、話をそらしたのは、アルカは、きっとアルトと関係しているって思うから


理由は、簡単。名前がにているから


「何かあったのか?」

「え?」

「食わないから」


あぁ…気付かなかった。いつの間にか、アルトはポトフを作って私の前に置いてあった。


「何でもないよ!うん!美味しそう!」


っと食べようとした途端、アルトはポトフを下げる。


「え?アルト?私まだ食べてないよ」

「冷めたから、温める。それまで、待っとけ


それから、悩み事があるんならさっさと言え」

「…………」


私を心配している。

知りたい。聞いたらダメって解っていても、それが私のためにならなくても、良い


「アルカってどんな人なの?アルト、知っているの?知っているなら教えて」

「…………」


アルト?どうして目をそらすの?どうして悲しい顔をするの?


今まで見たことないアルトの顔。


「………ごめん、聞いたらダメだったよね?」

「別に問題ではない」


っと椅子に座る。アルトは、私の目を見て目を閉じ、ため息をはく


「アルト?」

「似ているな。本当に似ている。そのしゃべり方。その顔、その声。料理が苦手も、その性格も彼奴に似ている」

「アルカに?」

「ああ。あいつは俺の幼馴染みだ」


アルトの話によるとアルカは一年前アルトと一緒に住んでいた。アルカもまた私と同じで、サブレットおばさんのパン屋で働いていた。しかし、ある日アルカは、女神に選ばれてしまった。

“女神”世界を守るために女神と名乗る人柱。


女神を選ぶのは、あの大樹で眠っている女神が持っていた宝玉って言う物を触って光ったら次の女神になるらしい。


女神に選ばれてしまったアルカは、笑顔で「世界を守れるだから胸を張らないとね」っと微笑んだらしい。


きっと私もそう言っているだろうね。


けどアルトは、許せなかった。自分自身と世界の理を


私は、アルトを抱き締める。


「だから、私を守るだね。アルト」


でも、私はアルカじゃあない。私は花。早瀬花なんだよ。


「アルト、好きだよ。好きで、好きなんだよ。今は、偽りだけど、偽物だけど、本当に好きにかるかどうか解らないけど、私を好きになって欲しいから

私、頑張るから。だから、だから!アルカじゃあなくて、私を見て!」


好きになって欲しかった。アルカに似ているからじゃあないく私を見て欲しかった。


アルトは、鼻で笑い私を抱き締める。


「とんだ告白だな」

「さ、先にプロポーズしたのは、あんたでしょ!?」

「そうだな」


っと唇と唇が重なる。優しいキス。

そして、私とアルトは目をあわせる。


「………ッハ!ななななななななーーーー!?」

「???」

「何するんじゃあああああああああ!!!?」


キス!?きききききキスとな!?私のファーストキスがっ!


恥ずかしい!顔が暑い!もう、アルトを見られないよ!


「相変わらず乙女がグーで殴るか?普通は」

「アルトのバカ!」

「む???意味が解らん」


好きになって欲しいけど…!けど!

心の準備がまだだった。

まだ、心臓の音がドキドキする。


「食べろ」


と温め直したポトフを私が座る場所に置く。

私は、ポトフを食べてからそして寝た。





次の日になりパン屋に向かう。

そして笑顔で待っていたサブレットおばさん。

そして、チラシを渡される。


「ブレッド・オブ・ザ・キング」


意味が解らない変な名前だね。うん。


えーっと、何々?世界で一番美味しいパン屋を競う大会か。優勝すると100万円!?


「今年も参加するのですか?」

「ええ!今年は、ハナさんがいるからね」

「私!?」


ちょっと待てよ。私、怖いパン屋の売り子さんって言われている人だよ。

そんな人が参加しても良いの?ねぇ?良いの?


「食材選びは、ハナさん。調理は、ハンク。売り子は、マリーで決まりだね!」

「良かった…って食材選びとな!?」

「森と指定された場所にあるパンの具を選ぶ役よ」


ふーんってことは、全て私にかかっているだね。って、良いの?私で良いの?


「ギルドの人とペアになるんけど、ハナさんは強いし、心配はないからね!」

「心配をして下さい」


一様私は、女で一般人だ。


戦える分けないよ。


美味しいパン屋を競う大会。

当然私はここのパン屋が一番美味しいと思うよ。


しかし、何故に命がけでパンの具を選ぶんだよ。プレーンで良いよね?とうもろこしでも、あんこでもいいよね?


何で、ハーブパンなの!?それって美味しいの??私、生理的に無理なんですが…!


「大丈夫だよ。ハナさん

相棒は、今回はアルトさんらしいわよ!」

「よけいに不安だよ。マリーさん」


アルトって強いの?私の蹴りと殴りで飛んでいく人だよ。いや、普通考えて私の腕力で人が飛ぶ時点で可笑しいけど


「パン下さい」

「はい!」


今日もまた一人につき最高が500円


500円貰えるってだけで奇跡だと思うけど、マリーさんは1000円だからね!さすが天使って思う。当然サブレットおばさんが作るパンも美味しいけど、ハンクさんのパンも美味しい。


「よし、私、ハーブの勉強してくる!」


美味しいハーブパンが出来るか、不味いハーブパンが出来るかは、私にかかっている。


そうだよ。そうなんだよ!


パン屋のサブレットは、美味しいだよ。それを私のせいでダメにするなんて絶対に嫌。


私は、バスケットをマリーさんに渡して図書館へ向かった。思い付く事ばかりしか行動できない私の脳みそは、今、ただ植物の辞書を暗記するしかなかった。


大会は3日後。


パン売りと図書館と繰り返しアルトが向かえにくるまで、毒ある植物、食べれる植物。ハーブなどの名前を覚えようとした。


そして、大会当日サブレットおばさんが慌てて会場へと来た。何があったのかな?


「た、大変だ!マリーが風邪で行けないみたいなんだよ!」

「マリーさんが!?」

「そう、だから予定変更して、仕入れをテキス、調理をハンク、売り子をハナさんにするよ!」


な、なななななな!?わ、私が売り子!?え!?


「え!?わ、私…!?」

「大丈夫、ハナさんは密かに人気者だから」


っとハンクさんは言う。私が人気者とな!?って言うか密かにって何?


「でも、自身がありません」

「大丈夫」


っとサブレットおばさんは、微笑んだ。サブレットおばさんが私を信じている。私が自分自身を信じないで、どうするんだよ!


「わ、解りました」


自信がないって言っている暇はない。私を信じたサブレットおばさんのためにもマリーさんのためにも頑張らないと…!


今までの苦労は水の泡になったけど、損したわけじゃあないよね?


大会は始まりテキスさんとアルトが森へと向かっていた。


「アルトって強いですか?」

「強いも何もアルトはギルドの中で一番強いと言われているんだよ」


ふーん、へー強いんだ。確かに迎えにくるとき傷も一つもないもんね。強い男は好き。


「ハナさんってどうやって強くなっただい?」

「え?えーっと」


記憶喪失だからここは…


「解らないけど、感覚かな?」

「へーじゃあ記憶喪失になる前は、もしかしたらギルドで働いていたかもしれないな!」


うん!それはない。

私は、子供頃から柔道、剣道、空手をやっていた。そこそこ上級クラスになっていた頃苛めにあって辞めた。


高校生になって、高校レビューして、可愛い女の子になるんだって、思って雑誌を読んで、慣れない服を着て、偽りの私を作っていた。


楽しくもない話を聞いて笑うのは得意だったのにどうして、パンを売る為に微笑む事は出来ないのだろ?


「幸せを分けるパン…」


私は、初めてマリーさんから言われた事を思い出した。

そうか。私は、不幸だと思っているからだ。幸せって感じてないからだ。


「………」


テキスさんが帰ってきてハンクさんがパンを作って少し冷めたパンをバスケット入れて、私に渡す。


「ハナさん!頑張って!!」

「うん!頑張る!」


私は、ちっとも不幸じゃあない。私は、ちっとも可愛そうじゃあない。


だって私は


「美味しい、パン屋のサブレットのハーブパンは、いかがですか?」


今、生きているから幸せなんだ。






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