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真介に対する思い

 『カークラッシュマスターズ』に虜になっていた孝介を引き離したのは、真介だった(真介には、そのつもりはないが)。そのおかげで、孝介はゲーセンに行かなくなった。だが、孝介にとっては真介に挑発されたとしか思えず、腹を立てていた。

 10万円を使ったことがバレてお母さんに怒られてから、ゲーセンには行かなくはなったものの、やはりあの時のことが忘れられなかった。

 (なんで真介は、わざわざ挑発しにきたのだろう?)

そんな想いが、俺の頭をよぎっていた。

 俺は、お母さんにこの気持ちを打ち明けてみた。

 しかし、お母さんは、俺の気持ちを受け止めてはくれなかった。

「バカ!!バカな負けず嫌い!!お金を使いすぎても反省なし!?そんなことしちゃ駄目よ!!反省しなさい!!!」

 (当たり前だよね、10万は大きいよね・・・)

 お母さんの言葉が忘れられなかった。多分、お母さんはついカッとなってああいうふうに言ったんだと思うけど、俺はそれで良かった。俺の存在を肯定してくれてるんだ。だから怒ってくれるんだ。怒ってもらえるって、幸せだなぁ。

 ゲーセンに行こうという気持ちは、封じ込めようと誓った。だから、ゲーセンにはあの時以来一度も行ってない。しかし、こんなに怒られても真介に対する想いは、消えてなかった。


 そして、俺にとっては一番いらない行事が、俺の小学校で開催されることになった。運動会だ。毎年のことだが、俺はこの行事の日だけ、ズル休みをしていた。


 運動会の1ヶ月前の日、俺のクラスで出場種目決めが行われた。

 担任の先生が、

「じゃあ、今からどの種目に出るか、みんなで決めてもらうね」

と言った。すると、クラス全員が、一斉に自己主張し始めた。

 「僕は100m走に出たい!」

 「私も、私も」


 ・・・、俺は何も言えなかった。というよりは、何も言わなかった。最後に余った種目に出ればいいや。そう思っていた。

 すると、真介が、

「孝介は、どうせ50mもろくに走れないからな」

とみんなに言った。

 「ハハハ!」

 真介の冗談だが、でも事実だから、クラスのみんなは大笑いした。すると、真介は結構本気な口調でこう言った。

 「何で笑うん!?クラスのことやんか。ちゃんと考えようや」

 みんながしーんとした。普段はやんちゃな真介が、ここまで本気でものを言うことは、めったになかったから、みんなは驚いたのだろう。

 俺はものすごく嬉しかった。真介に、小声で「ありがとう」といった。

 結果、俺はパン食い競争に出場することになった。走る距離は短く、俺にとって有利な競技であった。


 その日の放課後、俺は真介に話をした。

 「あの時は、めっちゃ嬉しかったよ。・・・でも、なんで僕をかばってくれたの?」

 「べ、別に、孝介を助けようと思ったわけじゃないからな!!」

 真介はそう言うと机にかけてあったランドセルを背負い、ズボンの鎖をチャラチャラいわせながら一目散に走っていった。

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