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リア充

 角野孝介が小学6年生だった頃の思い出話。というより人生談。

 

 ※この章から、孝介が語り手となって物語を進めていきます

 俺(孝介)が小学6年生になって、一ヶ月ぐらいたった。

 

 (小さいときから、いつもぼっちであった俺。孤独な俺。寂しい俺。誰にも相手にされない俺。てか、存在すら気づかれない俺。そう、俺は昔から存在感ゼロだったのだ。)


 相変わらず、クラス一、影が薄い自信があったのだが、何人かの男子グループでは、俺の名が知れていた。

 そんなわけで、俺はよくそいつらにからまれていた。

 グループの1人が、俺に言ってきた。

 「孝介、鬼ごっこしようぜ!」

 小6にもなって、まだ鬼ごっこですか!?

と、俺は内心いやいやながら、鬼ごっこをすることにした。

 するといきなり、グループ全員が、

 「じゃあ、お前鬼な」

と言ってきた。

 「えっ、ちょ、ちょっと待ってよー」

俺がそう言うと・・・、

 「待ってよーって言って待つバカがおるか!」

 「アハハハハ!!」

 「おい豚足!豚に負けてるぞ!走りおっそー!!」

  いつもこんな感じだった。完全にバカにされてたなぁ、俺は。まあ、そらそうか。

 (―――、ちくしょう!僕はなんて運動オンチなんだ!?50mもろくに走れないよ!!くっそ・・・。)

 

 グループの奴らも飽きたのか、 

「おいみんな。鬼ごっこは終わりにしよう。つまんない。どうせ鬼は孝介だし」

 いや、お前が決めたんだろ。

 鬼ごっこを終わらせたのは、俺の同級生で、そのグループの中心的存在の真介だった。小学生なのに、生意気な奴らだ。そして、チャリに乗ると、他の連中も斉にチャリに乗り、真介のあとを追う。

 真介は、かなり足が速い。しかも、イケメンで、女子にはモテる。服装もチャラい。俺とは正反対だ。

 (くっそ、真介め!)

 真介に傷つけられた(?)俺は、孝介の唯一の相棒、シロ(という名の犬)に一方的に愚痴をこぼし、自分のコンプレックスを紛らわしていた。

 そして、次の日も、また次の日も、真介たちに出会っては鬼ごっこをしようと誘われた。しかし、俺は断り続けた。

 その結果、真介に誘われることが少なくなった。そのときは、それで良かったけど・・・。


 

 結局ぼっちに戻った俺はそのころ、あることにはまっていた。それは、ゲーセンだ。

 自慢にはならないが、俺はゲーセンの大会で何度も優勝したことがある。そのゲーセンがしょぼいからかもしれないが・・・。それでも、俺はいい気になっていた。

 そんな訳で、俺はゲーセンに通い詰めだった。しかしそれと同時に、コイン(家のマネー)がどんどん減っていったのだが。

 俺がはまっていたゲームは、『カークラッシュマスターズ』。車のレースゲームだ。かなりリアルなので、小学生向けのゲームではない。

 1ゲーム100円。コインを入れると、ゲームは始まる。激しいBGMが鳴り響く。周囲の人が、驚いて一斉にこっちを見てくる。それが楽しかった。

 『ブンブンブブブブォォン!!』

 小1のときからやっていたから、テクニックには自信がある。大人にも勝てるかもしれない。そう思いながら、レースを満喫していた。

 

 ある日のことだった。俺はいつものように『カークラッシュマスターズ』をやっていた。すると、背後からいきなり、音楽プレーヤーで音楽を聴きながら、いつもどおりのチャラい服装を身につけた真介がやってきたのだ。

 (げっ、真介!また俺をちょくりにきたのか!?ただ、いつもの連中といないなんて、めずらしいなぁ。)

 そう思いふけていると、真介がいきなり、

「おい孝介!この俺と勝負しようぜ!!」

といって、俺のゲーム機を陣取ってきた。しかも、真介は俺よりも上手い。挑発しにきたのか!!

 拍手が起こる。俺のときは拍手なんてなかったのに!

 俺はこの瞬間が一番嫌だった。


 ・・・、気がつけば、完璧にコインがなくなっていた。真介に勝ちたいという無駄な欲望で、今まで以上にゲームに時間を費やしていた。そして・・・。

 「孝介?ここに置いてあったお金は?」

とうとう、親にバレてしまったのだ。

 (ヤバい!お母さんにバレた!どうしよう・・・。)

そうためらいながらも、俺は正直に白状した。すると、お母さんは頭に角を生やし、俺をにらみつけてきた。

 「・・・、孝介、なに言ってるの!?小学生が10万もゲーセンに注ぎ込むの?私はどんな思いをして働いてるか、あんたはよくわかってるでしょ!!もう二度とゲーセンに行ってはいけません!!!」

 めちゃくちゃ怒られた。それも無理はない。勝手に家にあった10万もの大金をゲーセンに使っちゃったから(俺は一カ月もしないうちに、1000回もしにいってたのか・・・)。そして、お母さんの苦労は、誰よりも分かっていたはずだったから。シングルマザーの大変さを。俺は頭が上がらなかった。そして、その日から、俺はゲーセンには行かないと決意した。

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