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『兄貴、悪いが俺は信長様に呼び出された。〜天下の補佐役、織田家筆頭内政官として無双する〜』  作者: 東西和
墨俣建てちゃうぞ。。

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8 伊勢侵攻と「長島包囲網」の経済学

京都の財政再建と並行して、信長様が最も懸念していたのは「背後の安全」でした。特に伊勢国は、北畠家という名門が君臨し、さらには願証寺を中心とした一向一揆の拠点が点在する、織田領の脇腹を突く危険地帯です。


「小一郎、伊勢の奴ら、俺が京にいる間にゴソゴソと動きおって。三左(森可成)や権六(柴田勝家)を向かわせても良いが、泥沼の消耗戦になるのは目に見えている」


信長様の言葉通り、伊勢は湿地帯が多く、力攻めでは兵が疲弊します。そこで俺は、兄・藤吉郎を現場指揮官に据えた「伊勢M&A(合併・買収)プロジェクト」を始動させました。

1. 北畠家への「親会社」派遣


伊勢国司・北畠家。彼らは名門ゆえのプライドは高いですが、家臣団の結束はボロボロでした。

俺は兄貴に、最新の美濃紙に記した「織田グループ加入後の収益予測」を持たせ、伊勢へ派遣しました。


「いいか兄貴、北畠の家老たちにこう言うんだ。『名門の看板だけでは、これからのグローバルな合戦(上洛後の政治)には勝てない。織田という巨大資本と提携し、ブランドを維持したまま実利を取れ』と」


藤吉郎は北畠の重臣、鳥屋尾満栄らに接触。

「北畠の血筋は、信長様の次男・茶筅丸(織田信雄)様を養子に迎えることで『織田の一門』として永久欠番にする。その代わり、伊勢の港と街道の管理権は、俺たち木下兄弟に預けてもらう」

という条件を提示。プライドを傷つけず、実権だけを奪う高度な買収工作により、大河内城での戦いを最小限の被害で切り抜け、北畠家を事実上の傘下に収めました。

2. 伊勢長島:一向一揆への「経済的ダム」


問題は、宗教的結束で固まった長島の一向一揆です。彼らは迷いなく死を恐れず突っ込んでくる。これに正面からぶつかるのは、コストに見合いません。


「上様、長島は攻め落とすのではなく、周囲に『経済の壁』を築いて干殺しにします」


俺が指示したのは、伊勢湾を囲む「物流の検疫」でした。

一揆衆の力の源は、海運による物資の流通です。俺は九鬼嘉隆率いる志摩水軍を「織田家公認の海上保安官」として雇用し、長島へ入る米と塩をすべて差し押さえました。


「長島に味方する商人の口座……いや、蔵はすべて没収する」


この「海上封鎖」により、長島は戦わずして兵糧価格が暴騰。一揆衆の士気は、信仰心だけでは支えきれない飢えによって蝕まれていきました。

3. 森三左衛門の「拠点防衛」と兵站整備


伊勢の占領地を維持するため、森三左衛門様の軍勢を「伊勢街道の治安維持部隊」に任命。

俺が構築した「軍事保険制度」がここでも火を噴きます。伊勢の国人たちが織田に従えば、彼らの領地の開発資金を低利で貸し出し、反抗すれば全財産を差し押さえる。


「小一郎殿、伊勢の国人どもが、以前より熱心に道を直し始めましたぞ。織田の金で道を直せば、自分の領地の米が高く売れると気づいたようですな」


三左衛門様が豪快に笑います。彼らはもはや「戦士」ではなく、織田という経済システムの「支店長」になりつつありました。


永禄十二年(1569年)。

伊勢の大部分は、大きな合戦を一度も経ることなく、織田家の地図に組み込まれました。

北畠家は織田の親族として取り込まれ、長島の一揆衆は経済的に孤立し、伊勢湾の港湾利権はすべて俺の帳簿の中に収まりました。



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