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『兄貴、悪いが俺は信長様に呼び出された。〜天下の補佐役、織田家筆頭内政官として無双する〜』  作者: 東西和
墨俣建てちゃうぞ。。

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2/13

2 墨俣にお城建てちゃうぞ!

「小一郎、本当にこれで建つのか!? 敵が来たら一貫の終わりだぞ!」

兄貴がガタガタ震えながら、真っ暗な長良川の対岸を指差す。

だが、俺の頭の中にある「工程表クリティカルパス」に淀みはない。

「兄貴、静かにしてくれ。計算が狂う。……よし、第一陣、木材投入開始!」

俺の合図で、上流から数千本のいかだが流されてくる。

ただ流すんじゃない。一本一本に番号を振り、特定の順番で連結された「プレハブユニット」だ。

墨俣一夜城:小一郎流「モジュール工法」の実態

1. 川を利用した「ジャストインタイム」搬入

史実の築城術では、現場で木を削り、柱を立てる。だが、それでは間に合わない。

俺が指示したのは、上流の織田領内で**「あらかじめ加工を済ませた部材」**を流すことだ。

• **柱のホゾ穴(接合部)**はすべて加工済み。

• 現場に到着した順に組めば、パズルのように組み上がる。

• 川の流れの速度と、作業員のキャッチ率を計算し、渋滞が起きない間隔で資材を投入する。

「おらぁ! 材木が来たぞ! 番号を確認しろ! 『いろは』の『い』はこっちだ!」

暗闇の中、松明の明かりを頼りに、訓練された職人たちが阿吽の呼吸で木材を引き揚げていく。

2. 泥濘ぬかるみを克服する「土木マジック」

墨俣の地面は湿地帯で、普通に建てれば重みで沈む。

ここで俺が投入したのは、大量の「竹の束」と「石」だ。

「基礎を掘るな! 敷き詰めろ!」

地面を掘ると水が出る。なら、逆に竹を編んだ「蛇籠じゃかご」を敷き詰め、その上に石を叩き込むことで、強固な面構造の基礎を即席で作る。

建築学で言うところの「浮き基礎」に近い発想だ。これなら一晩で重いやぐらを支えられる。

3. 「見せかけ」と「実利」のハイブリッド

信長様が求めているのは、敵の戦意を挫く「完成した城」のビジュアルだ。

• 壁の仕掛け: 本物の漆喰しっくいを塗る時間はない。俺が用意したのは、白い布に石灰をまぶしたものだ。これを骨組みに一気に張り巡らせる。

• 遠目には、難攻不落の白亜の城壁に見える。

• だが、内側にはしっかりと矢狭間(鉄砲を撃つ穴)を設け、実戦機能は確保する。

現場の阿鼻叫喚と、信長の沈黙

「……おい、なんだこれは。建材が、生き物のように吸い込まれていくぞ」

馬上で見守っていた信長様が、珍しく呆然と呟いた。

目の前では、松明の明かりの下、数千人の人間が蟻のように整然と動いている。

普通、これだけの人数が集まれば怒号と混乱が渦巻くはずだが、俺が配布した**「作業割当札」**のおかげで、自分の持ち場を離れる者は一人もいない。

「……小一郎。貴様、これは軍略ではないな」

「はい。これは『物流ロジスティクス』です、上様」

俺は泥にまみれた算盤を弾きながら答える。

夜明けが近い。

朝霧が晴れる頃、対岸の斎藤軍が見るのは、昨日まで影も形もなかったはずの「巨大な要塞」だ。

「……計算通り。夜明けまで、あと二刻。完成します」

結末:朝日を浴びる「白亜の虚像」

太陽が昇った瞬間。

霧の中から突如として現れた墨俣一夜城に、斎藤の軍勢は腰を抜かした。

「一夜にして神仏が城を降ろした!」とパニックに陥る敵軍を尻目に、俺は現場の総工費と残材のリストをまとめ、信長様の前に差し出した。

「上様、こちらが今回の『一夜城プロジェクト』の決算書です。予定予算より三割安く済みました」

信長様は、決算書には目もくれず、俺の泥だらけの顔をじっと見て、こう言った。

「……小一郎。貴様、俺の天下を『計算』で片付けるつもりか」

「効率が悪いのは嫌いな性分ですので」

この瞬間、俺の「織田家筆頭内政官」としての運命が確定した。

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