9・レシピあげるよ
翌日、中加水麺をクーラーボックスに入れ、光とスーパーに向かう。
それにしても狭い・・・
「この狭さが2人の距離を近づけるのよ!ミゼット2の2は2人一緒の2なのよ!」っと明らかに違うだろ?おいおい今思いついただろ?って事を言っている。
狭いものは狭い!
商店街に向かう。八百屋で野菜を買う。肉屋で鶏もも150グラム、薄切りロース150グラム買った。
「粉屋の嫁かね?」っと光はからかわれていた。「光ですよろしくお願いします」っと返していた。
ちょっとやめて欲しい…
ミゼットを走らせ長寿庵に行き、店舗脇の駐車場に入れる。
さすがミゼット、更にバイクが置けるほどのスペースがある。
早速、プロの光が作り始める。
さすがプロだ手際が良い。
完成した鍋を2人で食べて残りは置いておく、明日、幻のラーメンが完成する。
食後のお茶を光に入れていると・・・
「私と付き合って下さい!」っと光の爆弾発言が飛び出した。
どう言う事かと聞くと、この前の5日間の研修時に丁寧に説明をしてくれて、光を誘おうともしない真面目さに一目惚れしたらしい。
「彼女居るんですか!」
「いや、居ないけど」
「居ないけど、何ですか?じゃあ私で良いんですよね?決めましたよ!」
「え?!」
「ダメなんですか?絶対ダメなんですか!」
「ダメじゃないけど・・・」
「良かったぁー!これから末長くお願いします!」
押し切られた?
昔からそっち方面は奥手で疎いのは自覚している。
こういう自分とは真逆の人も良いかも知れない。自分の夢の為に真っ直ぐな所など心から尊敬する。
(・・・彼女を嫌な理由は全く無いな?)
「こちらこそ、ひかりさんとぜひお付き合いしたいです。よろしくお願いします」
光はその言葉に満面の笑みで答えた。
恋人同士になったっと言う事で、光を紹介しに?辛一さんに会いに行く事にした。
◾️◾️◾️◾️
「久々にこんな面白い話を聞いたぞ!」
辛一さんは大笑いだ。
病院の広い個室に笑い声が響く。
「お嬢さん、いや光さんの顔は知ってるよ。毎週必ず食べに来てくれてたね。真剣に味わっていてプロの料理人だろうなっとは思っていたよ。うどん屋さんだったかぁ」
「あのグリーンラーメンは衝撃でした」
「あれはたぶんうどんの方が合うね」
「そう思います」
「レシピあげるよ」
「えっ!?、良いんですか!」
「うん、良いよ工藤ちゃんの彼女だしね!笑」
「は?すぐ嫁になる予定ですが?」
「いゃぁー光さん面白すぎるな、じゃあ録音してくれる?」
辛一さんから光にレシピが渡された。
グリーンラーメンの他に俺の好きだったチリペッパートマト味も、オリジナルのラーメン用レシピとうどんバージョンのレシピも考え提案してくれた。
(なるほど、うどんの方は牛乳も入ってちょっとマイルドにするのか)
病院を後にし、その後は家に光を連れて行って親父に紹介した。
親父は目を丸くしていた。
「工藤さんもうちの奈良の実家に挨拶行って下さいね!」
「わかった近いうちに行こうか」
「じゃあ紹介する人が居るって連絡しとくね!」
と言いながらスマホを取り出し実家に電話をしていた。
すごい行動力だ…
それを見ていた親父は爆笑していた。




