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あぶれ者たち  作者: 冷やし中華はじめました
1回限りのクラン
9/23

9

刹那、遺跡の空気が変わった。


 影が膨れ上がり、無数の手が伸びる。


「くそっ!」


 レオンが剣を振る。斬撃は確かに影を裂いた。だが、傷口はすぐに塞がる。


 その間にも、黒い手が彼らを包もうとしていた。


「レオン!」


 ミアが詠唱を始める。


 炎が再び燃え上がる。だが、影はそれすら呑み込もうとする。


 リリィが祈りの言葉を紡ぐ。


 次の瞬間——


「……祓われなさい」


 リリィの指先から光が溢れた。


 その光が影に触れた瞬間、影が悲鳴を上げる。


 消える。崩れる。霧散する。


 影は、跡形もなくなった。


 静寂が戻る。


 リリィはそっと手を降ろした。


 ミアが息をつきながら、彼女を見た。


「……さすがね」


「これは……ただの亡霊じゃないわ」


 リリィの顔に、うっすらと陰が差す。


「これは、この遺跡自体が“封じているもの”の一部……」


「つまり、俺たちが封印を解きかけたってことか」


 レオンが剣を収めながら言う。


「……そうね」


 ミアが静かに呟いた。


「それに……ここに来る前から、誰かがこの遺跡に入っていたわよね」


 そうだった。


 遺跡の扉は、すでに誰かの手によって開かれていた。


「誰かが、先に封印を解こうとしている?」


 レオンの言葉に、ガルドが低く笑った。


「面白くなってきたな」


 ミアがそっと前を見た。


 闇の向こう、長い回廊の奥に、かすかな光が揺れていた。


 誰かが、そこにいる。


「行くわよ」


 彼らは、進んだ。

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