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森を抜けると、目の前に遺跡が姿を現した。
灰色の石造り。崩れた塔。苔むした階段。
数百年の時を経てもなお、その建物は立ち続けていた。
「……来たわね」
ミアが呟く。
ガルドが目を細め、リリィが口元に手を当てた。
レオンは、一歩前へ出た。
「行くぞ」
遺跡の扉は、重々しく閉ざされていた。
鍵はかかっていない。誰かが先に入った形跡があった。
「……誰か、いるな」
レオンは低く呟いた。
ガルドが刃を抜く。ミアが指先に魔力を灯す。
リリィが静かに祈る。
扉を押すと、ゆっくりと開いた。
その瞬間——何かが、動いた。