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あぶれ者たち  作者: 冷やし中華はじめました
1回限りのクラン
4/23

4

 森の中は静かだった。


 いや、静かすぎた。


 枝が揺れる音も、鳥の鳴き声もない。風すら吹いていないように感じた。


「……気味が悪いわね」


 ミアが呟く。


「生き物の気配がない」


 ガルドが辺りを見回した。盗賊の目には、この静寂が異常に映ったのだろう。


 リリィは目を細め、ふと足を止めた。


「祈りの気配が、ない……」


「何だって?」


「この森には、長い間誰も祈りを捧げていない」


「それがどうした」


「人が住まなくなった土地でも、誰かが通れば痕跡は残るものよ。だけど、ここにはそれがない。まるで……」


 リリィは言葉を切った。


「まるで?」


「……長い間、誰も“帰ってこなかった”みたい」


 その言葉に、空気が変わった。


 ミアが眉をひそめ、ガルドが舌打ちをした。


「縁起でもねえこと言うなよ」


「……すまないわ」


 リリィは静かに目を伏せた。


 レオンは、剣の柄を握る手に力を込めた。


 何かが、おかしい。


 ここには何かがいる——そう、確信せざるを得なかった。




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