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80 もてるのもつらいね

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 午後3時過ぎ、やっとティエルノがアンドレアス達に付き添われるようにして寮に帰ってきた。

 疲れ切っている……。あの、いつも冷静でタフな感じのティエルノが……。

 エドワードが「俺の大変さがわかったか!!」と言ってからティエルノの反応の無さにびびったような顔をして、態度を変えて謝った。

「……すまん! 本当に!!」


 うん、そうだね。

 私はティエルノの隣に座り手を握ると光魔法をかけ始める。

 うわー、体力もだけど、気力もやられてる感じだわ。

「ありがとうネモ、だいぶ気持ちが楽になってきた」

 ティエルノが弱々しく言うので「もう少しかけるよ」と返事すると「俺達は?」とランスが言う。


「アリスかウォロにかけてもらいなよ!!」


 ウォロがランスの手を取ろうとすると「お前かぁー」とがっかりしたように言った。

「ウォロ、光魔法もけっこう上手だよ。アリスもね!!」

 アポロもアリスに光魔法をかけてもらっていた。


 ランスがエドワードに話しかける。

「個別に相談したいとか言われても、俺かアポロにと名前出していいから。

 ティエルノはエドワードと一緒に行動することが多いから難しいだろうし。

 まあ、生徒会室をうまく使って無事に過ごせよ!!」


 アンドレアスもエドワードに優しく話しかける。

「今度の休みがボランティアだろう。私も一緒に行って院長と見学を受け入れないようにお願いしよう」

「兄様、ありがとう。今度の休みはセレナとライトが欠席なので助かる!!」

「セレナとライトはその次の休みに婚約パーティーだもんな」

「「はい!」」とふたりが一緒に返事をする。


 ティエルノが「もう大丈夫!」という声に元気が感じられたのでかけるのをおしまいにした。


「僕達は前日の夜にそれぞれの家に向かう予定です。

 みなさんは昼にミュラー伯爵邸にいらして下さい。お待ちしています!」

「楽しみにしてるわ、セレナ!」

 アリスの言葉にセレナがうれしそうに頷いた。


 仲の良い友人とそれぞれの親の関りのある家の方が招待されているそうだが、ライトとセレナがエドワード王子と親しいと知っている貴族達からしてみれば、娘同伴で参加の人が多いだろな。

 まあ、学校の花祭りの時よりは人は少ないだろうし……。


 次の日、2年の朝のHRに行くと、ミカが「おはよう! 今日体力作りする?」と声をかけてきてくれた。

「うん、できる! やろう!」

「じゃあ、放課後!」


 私達1、2寮は魔法の実習に向かった。

 3、4時間目は入れ違いで座学。

 

 終わるとすぐにエドワードとティエルノは生徒会室に避難し、私とウォロとオードリーでテイクアウトを届けることにした。


 食堂に入ると、ばっ!! と音がするんじゃないかというくらい女子達に振り向かれて見られた。

 5人分テイクアウトすると私達の後をつけてこようとする人も現れ……。


 仕方ないのでウォロと私は外のベンチで食べることにした。

 私達がここで食べると思わせて、隙を見てオードリーに届けてもらう作戦。


 ランスとアポロが私達を見つけて「一緒に食おうぜ!」とやって来た。

 それを見て、ふたりと待ち合わせをしていたのか? と思ってくれたようで、周囲の令嬢の目が離れた。

 オードリーが届けに走って行く。頼む!!


 そういえばアルテイシアの姿は見えない。一応反省したのかな?


「アンドレアスとアリスは?」

 私が聞くと、カトレア先生と今度の孤児院ボランティアの話をしていると教えてくれた。


「昼食届けるの、ロバートとか生徒会の奴らに頼んだら?」とランス。

「そーなんだよね、私達だと合流するんじゃないかとついてこられそうになって」

「この後生徒会室に顔出すから、明日からふたつ用意しておくように頼んでおいてやるよ」

 アポロも言ってくれた。


 放課後、1寮の前にミカが来て、エドワードとティエルノは走るのは参加した。

 人のいない方を走るし、立ち止まらないからね。


 ミカが「エドワードとティエルノ大変そうだな」と言った。


「うん、大変みたい。そうだミカはボランティアに興味ない?」

「食堂のポスターの? 2-1寮が1年の時からやっていた活動だろ?」

「うんそうなんだけど、もし興味あったら説明会聞きに来てよ」

「考えとく」


 走り終わって戻ってくると、寮の前にも女子が数人いて、エドワードとティエルノは寮に引っ込んだ。

 3人で素振りと打ち込みをする。

「練習もできないなんて、本当に大変だな……」

 ミカはふたりによろしくと言って帰って行った。


 休みの日、これまで活動してくれていた生徒で都合がついた子達とボランティアに向かう。


 今回はティエルノが児童部、私が幼児部のリーダーだ。


 児童部にティエルノ、エドワード、ウォロ、アポロ、ランス、ダリル(2-2寮のね)。

 幼児部に私、オードリー、アリス、アンドレアス、女子2人(2-2寮と2-3寮)。

 アリス……、前回の騒動のこともあったけれど、院長先生に一緒に話をしに行き、認めてもらった。それに、前回の時と見違えるくらい別人に見えるし……。

 それでもアリスは、払いのけてしまった女の子と男の子に話しかけ謝って、許してもらえてた。


 私も久しぶりの幼児部で子ども達と絵本を読んだり、おしゃべりしたり、のんびり楽しんで癒された。


 女の子に頼まれて王子様とお姫様が出てくる絵本を読み始めた。

 お姫様のセリフを読み終わり、次は王子様のセリフと思った時、後ろからセリフを読まれてしまった。

 この声? 振り返るとランスだった。

 なんで、児童部でしょ? と思ったが、周囲の子ども達が目を輝かせて見ているので、そのままふたりで読み進めた。

 オードリーも来て、魔法使いのセリフを読んだ。

 えっと……?

 とりあえずそこからは地の文とお姫様のセリフを読んだけど……。

 なんと子ども達にはとても好評だった!


 ランスは小さな子ども達から「王子様~!!」と呼ばれてなんかうれしそう。

「面白いな、またやろうぜ!! お芝居みたいにしてもいいかもな!」

「ランスは児童部でしょ?!」

「アンドレアスに相談したいっていう子がいて、チェンジしたんだよ」


 ふたりで話しているとそばにいた女の子に「お姫様のお姉ちゃん、王子様と恋人なの?」と聞かれる。

「ちがうよー。友達だよー」

「少女の夢を壊すような返事だな~」

「嘘はいかん、嘘は」


 帰りに「お姫様のお姉ちゃん、王子様のお兄ちゃん、また一緒にご本読んでね!」と口々に言われてるのを見て、エドワードとウォロに『?』という顔で見られたので、馬車の中で説明する。


 オードリーも「けっこうランスうまかったよ。王子様役、合ってたし」と笑って言った。


「そういえばエドワード、月1回王城に行かなくてよくなったんだって! 良かったね!」

 私はエドワードに話しかけた。

「ああ、この前の花祭りでダンスに誘っているのを見た父が、母に様子を見るように言ってくれたんだ。頑張って声かけてよかった……」


 花祭りは頑張ったけど、今は逃げ回っているからね。どうなんだろう?


 次の週の説明会も大変な事になった。

 予想通りアルテイシアも申し込んでいたし、女子の申し込みが多く全体的に30名以上集まった。

 意外なことにレイモンドも申しこんでいた。アルテイシアを見張るためかな?!

 エドワードは説明会に出ないことにした。

 そして活動参加を申し込むならば、どんなことをやりたいか、どの様な気持ちで参加を申し込んだのか簡単なアンケートみたいな文書を提出してもらうことにした。

 その用紙にグループや当番で活動するため、誰と組むかはわからないこと、希望は受け付けていないことを明記しておいた。


 この人数入ってくれたらすごいことだけど、毎回入る人が変わるってのも子ども達にはどうなんだろ?

 悩みどころだね。


 1年のミーア帝国留学生、キョウとヘレンも来てくれたし、ミカも来てくれた!

 ミカは女子の人数に引いてたけど……。

 エドワード目的以外の人は貴重な戦力だ! 逃がさないぞ……。


 ミカと私とウォロの体力作りは、前回のボランティアで聞きつけたダリルも参加するようになり、無理しない程度に続けている。

 みんなで簡単な試合もできるようになったし。ティエルノは参加したりしなかったり。

 エドワードは完全に引きこもり状態。

 自分の部屋で素振りしてるそう……。

 

 前みたいに休みの時にジュンとミクラの家に行けたりすればいいのかもしれないけれど……。

 ジュンももう臨月。それにカルタロフ伯爵の狙いがウォロと私やミーア帝国ならば、あまり関わらない方がいいのかな……。

 でも、会いに行きたい……。


 そうだよ、剣の練習なら王城の離宮を使わせてもらってもいいんじゃない?

 あそこなら広いし。

 今度提案してみよう。

読んで下さりありがとうございます。

ブックマーク、ありがとうございます。

このゆっくりした話にお付き合いいただけているんだ!!と思えて、とてもうれしいです。

これからもどうぞよろしくお願いします。




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