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78 泳がせる

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

20000PV!!

たくさんの方に読んでもらえてうれしいです。

ありがとうございます!

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 2-1寮と5-1寮の4人、ギーマ先生、クラウス先生、カトレア先生、陛下に陛下の従者、それにマリア。

 大人数だ……。

 カトレア先生のリビング、寮より広めですけど……。

 椅子もテーブルに合わせて8客しかない。

 マリアが敷物を出してくれて「ここに座って」と言って、自分も直に座って見せた。


 さすがに5-1のみなさんは先生方と一緒にテーブルの椅子席についてもらう。

 従者はドアの所で立ってくれていた。

 

 カトレア先生が話し出す。

「早速だけど、アルテイシアの処分が決まったので伝えるわね。

 違法魔道具の学校持ち込みとそれの発動で騒ぎを起こした……ということ。

 違法魔道具と知らなかったこと。魔道具自体は学校持ち込みは禁止されていないしね。

 発動させたのもわざとではないし……ということで、花祭りに参加できなかったことがすでに罰に相当するだろうということになったわ。明日から復帰よ」


 ま、こんなことだろうとは思いましたが……。

 陛下はお忍びだったしね。陛下を平手打ちしようとした不敬罪は問わないのね。

 

 そう考えていたら陛下が言った。

「アルテイシアのこと、今回のことでよくわかった。

 エドワードがなぜ嫌がっているのかもわかったしな。

 王妃には婚約者候補から外すように言ってある。

 ただ、同じ学内にいるので、本人がエドワードと関わろうとするのを止めることはできないだろう。

 そこは皆に協力してもらい何とかするんだな」

「なんとかって!!」

 エドワードが叫んでがっくりした。

「まあ、早くちゃんとした婚約者を見つけることだ」

 陛下の言葉に5-1のみんなが頷いている。

 ランスもアポロも婚約者まだいないじゃんよー。説得力ない。


「そんな早く決められるかよ……」

 エドワードがぶつぶつ文句を呟いている。

「あ、ウォロにアルテイシアに嫌われる魔道具作ってもらうとか!」

 オードリーが言った。

「作れなくはないけれど、登録申請ではねられる可能性が高いな」

 クラウス先生が苦笑いしながら言った。

 髪の毛使う系ね。確かにかなり違法っぽい。


「今回のことで伯爵が限りなくXではないかと私達も思うのだけれど、尻尾がつかめない。

 ネモのこともあるし、しばらくは様子を見ましょう」

 カトレア先生の言葉にライトが手を挙げた。

 促され話し始める。

「僕は魔道具のことあまり詳しくないのですが……、なぜネモの倍返し魔道具が伯爵の精神的な攻撃には

反応しなかったんですか?

 絶対、悪意はありそうですよね?」

「あ、それは身体に対しての攻撃を攻撃と考えていたから」

 ウォロが説明しながら気が付いたように言い出す。

「そうか、悪意ある言葉や仕草を遮断して認識できないようにすれば……」

「ウォロ! それやりだしたらキリがないし、私が周囲を正確に認識できなくなるから、それはやめて」

 

 ランスと陛下が同時に笑った。えっ、このふたりも思考が似てんのか?!

 ふたりも意外に思ったのか思わず顔を見合わせ、何故か陛下がニヤッとした。

 ランスは見てはいけないものを見たかのように目を逸らした。


「アルテイシアがボランティアに応募してきた場合は、エドワードと活動が被らないようにしよう。

 エドワードと会えないとわかれば、自分から辞めるだろうし」

 ティエルノが言った。


 クラウス先生が「ネモとウォロはもう大丈夫か? 気持ちは落ち着いただろうか?」と心配そうに声をかけてくれる。

 ギーマ先生も「俺の判断で連れて行ったんだ。申し訳ない」と謝ってくれた。


「いえ、私が自分でやると言い出したので、誰のせいでもないと思います。

 責められるべきはカルタロフ伯爵だけです」

 言っててむかむかする、あの変態!! 痴漢! セクハラおやじ!

「ネモ、落ち着いて!」

 オードリーが背中をさすってくれる。

「うん、ありがとう。もうあの変態のことは考えないようにする……」

「変態って!! ネモ、よく言った!」

 ランスがまた笑う。

「ごめん、心の声が漏れた。

 はい、昨夜、中和もできたし、その後ウォロと話しをして私は落ち着きました」

 ウォロを見る。

「自分はまだ自分を許せない気持ちがあるけれど……。

 これからもネモを守りたいし、さらに気をつけて事に当たりたいと思っています」


 先生方がほっとした顔を見せた。

 先生達もウォロのことを心配してくれたんだな。


 ギーマ先生が警備局と魔法研究所の方の動きを説明してくれた。

 手配中の魔道具職人とカルタロフ伯爵が懇意にしていたことはわかったので、徹底的にマークすることになった。

 ただ、伯爵は今回のことからどんな反撃をしてくるかが予想できないし、捜査の対象となる確証を与えないように徹底している。

 地道に調べて行くしかないこと。

 ただひとつ、隙があるとしたらそれはアルテイシアではないか……。 

 アルテイシアがぼろを出し、それから辿って行くというのが今のところ可能性が一番高い方法ではないかと考えていること。


「アルテイシアを泳がせるということですか?」

 ランスがアポロと目配せしながら質問した。

「まあ、そういう言い方もできるか」

 ギーマ先生が言うと、ふたりはうんうんと頷いて答えた。

「ティエルノ、エドワード! ボランティアの方、俺達も参加するからグループ作ろうぜ。

 Aがティエルノと俺。Bがエドワードとアポロ。って中心にして、アルテイシアはAで引き受けよう。どうだ?」

「交互に参加するみたいな?」

 エドワードが首を傾げながら言った。


「たぶん、今年はエドワード効果で女子がたくさん参加してくると思うぜ。

 人数がいれば、グループ作って、当番制みたいにもできるだろ?」

 そうか、エドワードと近づきたい女子はアルテイシアだけじゃなかった。

 うーん、ボランティアの質が心配になるけれど、そこは経験者が目を光らせればいいか……。


 クラウス先生が言った。

「まあ、やり方は任せるけれど、伯爵の方の調査はこちらに任せて、アルテイシアの方をよろしく頼む。

 何か気が付いたことや話したことから何か突破口が見つかるかもしれない。

 ただ……、アルテイシアがいるということは伯爵も関わろうとする可能性もあるな。

 孤児院に来るとか?」

「あ、前に孤児院にいる時に貴族のご婦人方が見学に来たことがありました!

 アルテイシアから聞いて、見学に来たりするかも?!」

 私が思い出して言った。

 そーだよ、アリシア夫人が来たじゃん!!


「それは孤児院の方に活動中の見学を断るように要請すれば防げるな」

 アンドレアスが言った。


「よし、ネモとウォロはこっちのグループな」

 アポロが言うと、ランスが一瞬不満そうな顔をしたが「あ、そうか、しゃーないな」と気が付いたように呟いた。


 陛下と先生方はもう少し話をすると言うことで、私達はそのまま食堂で昼食を食べることにした。

 食堂に入ると、エドワードとティエルノが女子達に囲まれてしまう。

「ボランティア参加したいです!」「エドワード様! 私もぜひ!」「私も前から興味があって!!」

 ……エドワードがおびえている。


 ランスがため息をついてから手を叩くと大声で言った。

「はい、ボランティアの受付相談はティエルノと俺だから! 

 申し込みはポスターの下の箱に紙入れる!!

 エドワードと話すのは入ってからな!」


「お前らは寮で食べろ。こっちは任せろ」

 ティエルノだけ連れて行かれてしまった。アンドレアスに何か言われ、アポロが慌てて追いかけた。


 セレナとライトが「6個テイクアウトしていくから、先に戻ってて!」と言い、アンドレアスとアリスが「食堂で見守ってるから大丈夫よ」と言ってくれた。

 

 私とウォロとエドワードとオードリーは早足で食堂から出て寮に向かった。


「エドワード、大丈夫?」

 私が心配そうに聞くと「ああ、女嫌いになりそうだ……」と呟いた。

 あ、入学と同時に婚約したり、有力婚約者候補をつけておくっていうのはこういうのを避けるためでもあったのかな?!


「またしばらく食堂で食べられないね、エドワード」

 オードリーがかわいそうにという表情で言った。

 

 ……アルテイシアだけじゃなかったね。

 しかし、ティエルノ大丈夫かな?!

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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