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9 義兄様が来た

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。

今回は転生物に挑戦しています。

まだ主人公11歳です。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけるとうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。




 遺跡や石拾い、孤児院や図書館に行ったり、家で勉強したりといつものように過ごす毎日。

 少し変わった点と言えば、馬に上手に乗れるようになってきたので、馬に乗る時間を少なくして、走り込みを中心にした体力作りや剣の訓練を始めたことだ。

 馬に乗ることで腹筋と足の筋肉は少々鍛えられてたみたい。

 でも、全然、腕の力が足りない。


 ウォロに「細い」と言われたのがやはり気になったし、魔法学校について調べたら選択制だけど剣の授業も受けることができるそうで、もし学校に行けるのならそういう授業も受けてみたいと思ったから。


 最初は素振り用の木剣に振り回されてるみたいになったが、毎日続けるうちにだいぶ自分の思うように振れるようになってきた。

 ハロルドには内緒だけど、毎晩、寝る前に前世で覚えている腹筋とか壁を使った腕立て伏せ、背筋を鍛える動きをしている。

 少しずつできる量や負荷を掛けられる量が増えてくるのがわかり、コツコツやるのが楽しくなってきている。

 もうそろそろダイゴとウォロから夏の予定の連絡が来るかも?! と楽しみにしていた頃。

 突然、家に新しい義兄が訪ねてきた。

 

 ハロルドからは聞いていた。

 父が親戚から養子を迎えたこと。

 以前そんな話を聞いたことがあるし、父がいいと思える人材が見つかったんだなと思った。

 

 ジョシュアという名で16歳の男性。

 父によく似た金髪なのだそう。

 ということは私にも似ているのかな?


 ダナン出身で王都の3年間の学校(ダイゴが行っているミーア帝国の学校と同じ13~15歳で通う学校で、ウォルフライト王国にもあったんだ。知らなかった)を卒業してから、ダナンに戻っていた時に父の養子となった。

 それから王都へ行き、屋敷に滞在して仕事の手伝いをしていたという。

 最近、ダナンに戻って来て辺境伯爵領の屋敷のことなど任されているそう。


 全く私とは関わらないだろうと思っていたので、突然の訪問にびっくりする。

 ちょうど勉強の途中だったので、切り上げてジュンにお茶の用意をしてもらい、応接室に入ってもらった。


「初めまして、エミリア・ネモフィラ・アリステラです。

 どうぞよろしくお願いします」


 部屋に入るなりとりあえず挨拶して、顔を上げるとソファーから男の人が立ち上がった。

 16歳と聞いたのでダイゴよりちょっと大きいくらいかなと想像していたけど、ほとんど大人な感じに見える。

 確かに、しっかりしてそう。

 お父様に雰囲気がよく似てる。

 そして瞳の色は私より薄い青だった。


「ジョシュア・アリステラです。

 どうぞよろしく。

 君の新しい兄になった。

 仲良くして欲しい」

 

 落ち着いた感じの声で義兄様おにいさまが言った。

 私は義兄様に座るよう促しながら向かいの椅子に腰かけた。

 ジュンがお茶を入れて出してくれる。


「えっと……。最近まで王都に行かれていたのなら、母や私の噂や王都の屋敷での私の立場などおわかりですよね?

 義母様おかあさまやアリス姉様の機嫌を損ねないよう、私とは関わらない方がいいと思います」


 義兄様は微笑んでから質問で返してきた。

「義父から聞いていた通りだな。

 将来は辺境伯爵家を出るつもりなんだね。

 でも実際、どうするつもり?」

「成人するまでに学校に行かせてもらい、その間に何かできる仕事を探そうと思います」

「成人までというと魔法学校?」

「魔法学校の入学が無理なら、ミーア帝国の3年制の学校に行けないかと考えています」

「そうか、かなり意志は固いんだね。

 でも、その前に王命で婚約させられることは考えていなかった?」

「……婚約?」

「ほら、アリスが第1王子と婚約したように。

 エミリアもテストを受けて評価が高ければ、王家や他の高位貴族との婚約が決まる可能性がある」

「……でも、王都での私の評判を聞けばどこも手を挙げないと思います」

「だから、王命で君を引き受けるように言われたら?」

「……それは、……その家は引き受けざるをえないでしょうね」

「そういうこと。それを避けるためには方法がある」

 

 私があまりに不思議そうな表情で義兄様を見つめたからだろう。

 義兄様はフフッと笑ってから「失礼!」と言ってお茶を一口飲んだ。


「不思議そうな顔をしてるね。

 僕は君の味方だよ。

 ダナン出身だし、君の王都の噂を知らないわけではないが、実際に君がこのダナンで行ってきている活動を知っている。

 義父や知人から聞いた本当の君の姿を知っている。

 君の母上の噂も本当の人となりとはかけ離れていることもわかっているつもりだ。

 王都の屋敷で過ごした時は、義母や時々帰ってきたアリスと話をしていたけれど、とりあえず話は聞き流していたよ」

「でも、この家に来ていることが知れたら……」

「大丈夫。

 あの人達は……、僕があの人達のためにスパイ活動をしていると思っているから」

「スパイ? 

 あ、私の動きを探るってこと?」

「ああ、君が魔法学校へ来るのか? 

 テストを受けてどこの家と婚約することになるのか……、かなりやきもきしてる。

 ああ、婚約を避けるための方法だったね。

 それは先に婚約してしまうことだよ。

 例えば、僕とかね」


「……それはできません。私は辺境伯爵家から出るので」

「だから、時期が来たら婚約を解消すればいい」

「……まだ入学テストまで1年以上ありますし、他の方法を探します」

「そうか、もし見つからなかったら、その時はまた相談してくれ。 

 また、時々寄らせてもらうよ。

 かわいい妹と親交を深めたいのでね。

 僕のことはジョシュアと呼んでくれ。

 僕はエミリアと呼ぶから」


 

 ジョシュア兄様が帰った後、私は言われたことをハロルドに相談してみた。

 ハロルドも入学テストまでに先に婚約をしてしまうのが一番簡単だろうと言う。


 ジョシュア兄様がどんな人かまだよくわからないし、この婚約は父に変な期待を抱かせることになるような気もするし、アリシア夫人の反応も気になる。


「今度、辺境伯爵様とお会いできる時に相談してみてはどうですか?

 そうすれば、ジョシュア様の真意も聞くことができるでしょう」

 

 ハロルドにそう言われ、この話について考えるのは先延ばしにすることにした。


 次の日の午前中、ウォロとダイゴからの手紙が届いた。

 ダイゴの手紙の内容は、7月の下旬にこちらに来る予定と書かれていて、記された日にちは1週間後だった。

 今は7月の中旬。

 

 その日の朝に川原の石拾いの場所で待ち合わせ。その後、それからの予定を相談しようとあった。


 私は自分のことを打ち明けて謝らなきゃいけないし、この家に来てもらおうかな……。

 ハロルドとジュンにダイゴからの手紙を見せて、相談する。

 自分のことを話してわかってもらうのならこの家に招待するのが一番とふたりも言ってくれた。

 

 それから北の湖にみんなで行きたいことも相談した。

 辺境伯爵家の別荘があるので数日お借りしては? と言われる。

 そうだなあ。

 アリシア夫人もアリスもこちらには来ないだろうし……。

 ジョシュア兄様に話さないとだな……。

 

 ハロルドに『ジョシュア兄様にお願いしたいことがあるので話をしたい。都合のいい日時をお知らせください』との伝言を持って屋敷に行ってもらった。

 

 それから自分の部屋でウォロからの手紙を読んだ。


『ネモ、夏の予定がやっと決まった。

 ダナンに行くということよりも、とにかくネモに会えるのが楽しみで仕方がない。

 もらった手紙、とてもうれしかった。

 自分もネモのことをいつも思い出して考えている。

 早く会ってたくさん話がしたい。

 とにかく会いたい。   ウォロ 』


 前の手紙、何書いたっけ?

 あ、アンナを抱っこした時にウォロのことを考えたってことだ!

 しかし、こんなに『会いたい』とたくさん書いてくれるのはうれしいな。

 でも、まず、ちゃんと説明して謝らないと……。

 

 ジュンと昼食を作っているとハロルドが帰ってきた。

 なんとジョシュア兄様が一緒だった!!

 

 まだどう話を切り出すか、全く考えてなかったよ。

 とりあえず、呼び出してしまったのはこちらになるわけだから、お昼ご飯を一緒に食べながら話を聞いてもらうことにした。


 ミーア帝国に友人がいて、1週間後にダナンに遊びに来ること。

 その時、北の山の湖に遊びに行きたいので、辺境伯爵家の別荘が空いていたら数日お借りしたいこと。

 ハロルドもこちらに戻る時に話をしてくれていたようですぐわかってもらえた。


「わかった。1週間後から別荘が使えるように手配しておく。

 それから、その友達は男ばかりなんだってな」

「それは……、はいそうです。

 でも、向こうも私を男と思っていて……」

 父と会う時に男装することが多く、彼らと出会った時にも男装していたため、そう思われていることを話す。


「そうか……、女性だと言わないつもりか?」

「いえ、今回、会ったらこの家に招待してきちんと私のことを話して、男だとだますようなことになってしまったことを謝るつもりです」

「そうか……。

 僕も同席していいか?」

「えっ?」

「未婚の女性が家に男性を招くなら、家族がいた方がいいだろう」

「え、ハロルドもジュンもいるし……。女性って……」

「それに、北の山の湖にも同行しよう」

「えっ?

 いや、そんなジョシュア兄様のお手を煩わせるようなことは……」

「いやいや、僕もエミリアの友人には興味がある。挨拶したい」


 なんか……、大丈夫かな?

 ちょっと不安になってきた。

もう少し11歳の夏の話が続きます。


読んで下さりありがとうございます。

次も頑張ります!

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