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70 2年生になって

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めているのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 始業式の次の日が入学式。

 前年度の生徒会の手伝いしてたからね。その関係で受付を頼まれていた。

 受付のとこにいたから今年のミーア帝国からの留学生がすぐわかり良かった!

 今年もふたり。

 伯爵令嬢のヘレン、宮司の息子のキョウ。

 1-2寮だそう。覚えておこう。

 オードリーはふたりのことを知っていて、会えて喜んでいた。

 ウォロは口に出してはいなかったけれど『誰?』という感じだった……。


 3年生になったマイネとギエンにも久しぶりに会えた。

 私達は生徒会の手伝いがあるので時間が読めず、入学式後に一緒に行動できないかもしれないと伝えると、マイネ達が1年生と食堂で話をしてくれる(私達の時の様に)と言ってくれて安心する。


 受付にいる時、新しい生徒会長の新4年生ロバートが私達のところに話をしに来た。

 エドワードとティエルノが対応してくれたけれど、やはり2-1寮の全員に生徒会活動に残って欲しい……という話だった。

 私とウォロは前年度の罰で生徒会活動に参加していたので、一度ここでやめると話をしていて……。

 エドワードとティエルノは役員となって参加することにしたそうで(まあ、王子だからね。4年になったら会長だろうからね)、その縁で少々お手伝いができればいかなと思っている。


 その時、3年になったレイモンドが1年生の女生徒を連れて来た。

「アルテイシア・カルタロフ。1年だ」

 レイモンドが受付に名前を告げる。

 ということはレイモンドの妹だから伯爵令嬢か!

 私は名簿に出席チェックをして「入学おめでとうございます」と言いながら学内の地図などの書類をまとめたものを手渡した。

「ありがとう」

 アルテイシアは受け取り、受付の後ろで生徒会長と話しているエドワードを見つけて叫んだ!

「いたっ! エドワード様!!」

 受付の方に入ってこようとするのでライトとセレナがあわてて止める。

 セレナに気が付くと「あら、セレナ様。いたの気が付かなかったわ! ごきげんよう」と言った。

 その言い方がちょっと……。先輩に対してのものじゃないよね?! という感じで……。

 私が「ちょっと!」と言いかけるとセレナがこちらに振り向いて首を横に振った。

 それを見て私は黙る。

「何? あなた誰?」

 アルテイシアは私を睨んだ。

「2年のエミリア・ネモフィラ・アリステラです。レイモンドとは聖魔法クラスで一緒です」

 とりあえず自己紹介しておこう。

「あ、あなたがエミリア? 悪役令嬢の噂のある? なんだけっこう普通な感じなのね!」

 えっ、まだそんな噂覚えてんのか?

 私が返事をしないのをやり込めたと思ったようで「兄様、たいしたことないじゃない!」と言っている。

 レイモンドがちょっとこちらに気を遣うような感じで小さな声で言った。

「すまない、妹は聖魔法持ちなので、授業でもよろしく頼む」

「何、兄様。そんな人に私のこと頼まないでよ!」

 私も頼まれたくない!

 聖魔法持ち?

 またカトレア先生に違うんじゃ? と言われる人材が入ってきた気がする……。


「どうした?」

 エドワードが受付のところに来ると、急にアルテイシアの表情がぱっと明るく変わった。

「エドワード様、お久しぶりです。アルテイシアです。エドワード様のいる学校に入学できてうれしいです! 入学式の後、お茶でもご一緒にいかがですか?」

 エドワードの顔が少し引き攣ったような気がした。

「あ、すまない。入学式後はもう……」とあたりをあわてて見回し私とウォロを見て「ネモとウォロと先約があるんだ。では入学おめでとう!」と言ってティエルノとどこかへ行ってしまった。

 アルテイシアは唇をちょっと噛んで私を睨んだ。

「まだエドワード王子に付きまとってんの? あなたには婚約者がいるはずよね!」

「付きまとっているわけではない。エドワードとは友達だ」

 ウォロが代わりに言ってくれる。

「ふん、上級生まで味方にして、さすが悪役令嬢ね! で、あなたの婚約者はどこにいるのよ?

 ミーアの皇子だっけ?」

 なんだこの人?

 私は困惑してウォロを見た。

「自分がネモの婚約者のウォロです。同じ2年生。エドワードとも寮の仲間です」

 アルテイシアの顔がウォロをまじまじと見てちょっと赤くなる。

「上級生じゃなかったんだ……。ふーん、あなたがミーアの皇子……。聖魔法では一緒よね。よろしく。兄様行きましょう!」

 レイモンドがこちらに軽く会釈をしてから会場に入っていった。


「なんなんだ? あの子!」

 私はちょっとイラっとして言った。

「アルテイシア様はエドワードの婚約者候補のひとりだから……、前から私にもあんな感じで……」

 セレナがため息をついて言った。

 そう、セレナはエドワードのことを様づけでなく呼ぶようになった。

 なんか、変に意識していたのがなくなったから、そう呼べるようになったと教えてくれたけれど。

「そうか、婚約者候補だからエドワードも知ってるんだね! でも、顔、引き攣ってなかった?」

「あー、エドワード、苦手かも。アルテイシア様のこと……」

 セレナが心配そうに言った。


 入学式の最中に受付を撤収でき、生徒会室に備品を運ぶとエドワードとティエルノがいた。

「お疲れ様!」

 ティエルノが声をかけてくれる。

 エドワードはセレナとライトを見ると「ふたりにお願いがある! 婚約発表、少し遅らせてくれないか?」と言った。

 は?

「それは無理です。家の都合もあるし、僕達だけで決められることじゃないから」

 ライトが返事をして、エドワードは「そうだよな」とがっくりする。


 春休みに入ってすぐ、ライトは母方のミュラー伯爵家の養子になることになった。

 例のヒマワリが紋章に入っている伯爵家の。サンマチネスの末裔の魔法で有名な家門だ。

 前から話はあったそうなのだが、ライトの成績がとても優秀で1年生で魔法対戦の決勝進出ということも決定打になり、後継ぎとして認められ迎え入れられたのだという。

 これでライトは子爵令息から伯爵令息へということになり、春休みの間に伯爵令嬢のセレナに婚約を申し込んだという訳。

 セレナも喜んで了承したのだが、セレナの親はちょっと難色を示し(まあ、エドワード王子の婚約者候補第1位だしね)、親の承諾を取るのに時間がかかったとのこと。

 しかし、無事に話がまとまり、5月に婚約を発表することになっている。


 ティエルノがエドワードの背中をバンバン叩いて言った。

「今更だよなー。セレナが自分を守っていてくれたことに気づいてやんの!

 セレナがエドワードの婚約者候補から降りたのが知れ渡れば、他の婚約者候補が押しかけてくるって気が付かなかったのか?!」

「アルテイシアはセレナがいてもあんな感じだったぞ、いつも。

 苦手なんだよな~。よりによってこのタイミングで……」

 エドワードが頭を抱えている。

 

 あー、セレナがいてもあの態度じゃ、さらにライトとの婚約を知ったら……。

 エドワードに対してものすごいアピールが始まりそうだね。

「他に候補はいないの? 同じ学年でもひとつ上ぐらいでもいいじゃん!」

 私が言うと「いないから困ってるんだろが!」とエドワードにキレ気味に返される。

「それで断るのに困って私とウォロの名前出したの?」

 私はため息をついた。


「カルタロフ家には気をつけた方がいいぞ」

 ティエルノが教えてくれる。

「当主のカルタロフ伯爵は理由はよくわからないけど、ミーア帝国のことをよく思っていないという噂がある」

「そうなの?

 ミーア帝国のことをミーアと言うから、逆に近い人なのかと思った。

 普通のウォルフライト王国の人は帝国って略すことが多いのにさ。

 出身の人だとミーアと言うこともあるから……。

 レイモンドは最初は私達に態度がきつかったけど……、アリスのことだけじゃなく、そういうこともあったのか……。でも今は、仲良くはないけど、まあ普通かな?」

 私の言葉にティエルノが頷いた。

「まあ、レイモンドはウォロに剣術大会で学年負けしているし、魔法対戦大会では直接対戦して負けてるしな。

 ふたりの実力を認めてはいるんだと思う。

 でも、あのアルテイシアはそんなのお構いなしだからな。本当に気をつけな!

 ネモはああいう、女の戦いみたいの弱そうだから……」


 生徒会室で少し作業している時、生徒会長のロバートと4年の女子達が心配そうな顔で何か話し合っているのが見えた。何か問題があるのかな?

 うーん、もうただのお手伝いだし、ね。様子見だな。

 

 昼食を食べに食堂に行った。

 もう2-1寮だもんな。寮の担当もオーサム先生が持ち上がりなので、なんか全然2年生になったという感じがしない。


「去年、4月は朝の食堂混んでたから、パンとか食材貰っておいて、朝食自分達で用意する?」

 私はライトにそう声をかけた。

「何でライトに……。俺が寮長なんだけど」とティエルノ。

「料理のことはライトが一番じゃんね!」

 私の言葉にみんなが笑う。

「そうだね。そうしようか!」

 ライトが言って、セレナと朝食のメニューを話し出す。

 仲がいいなぁ。見てるとほっこりするふたりじゃ。

 私がニコニコしてると「何、にやにやしてんの?」とエドワードに言われた。

「にやにや違う、ニコニコしている。ライトとセレナがかわいくて!」

「なんだよ。それ……。俺は大変な事になってるのに……」


 テラス席が空き、すぐ座ることができた。

 食べていると「エドワード様!」とさっき聞いた声がして……。

 アルテイシアとレイモンドが現れた。

 エドワードの顔がちょっとどころではなく本当に引き攣る。

「先ほどはお話できなかったので……、ご一緒してよろしいでしょうか?」

「……今は友人達と過ごしているので、またにしてもらえないかな?」

 エドワードがやんわり断ったのだが「ではちゃんと約束をしてください」とアルテイシアもあきらめない。

 逆に今、ちょこっと話しちゃえば?

 なんて思ったが、誰も何とも言わないから、私も言わない。

 レイモンドもちょっと困っている。

 レイモンドの方が先輩とはいえ、相手は王子だもんな。

  

 その時「何してんの?」とまた聞き慣れた声がして……。

 ランスが現れた。

 レイモンドとアルテイシアを見て「あー」と言ってから食堂の中を示して言った。

「レイモンド、アリスが一緒にどうかって? 妹さんもどう?」

「アルテイシア、アンドレアス王子とアリス様に紹介するよ!」

 レイモンドがほっとしたように言った。

 アルテイシアがちょっと唇を尖らせる。ご不満みたいですね……。

 でも、くるっとエドワードの方に振り返り「では、エドワード様! 必ず次の約束! お待ちしてますからね!」と言って、レイモンドと食堂の中に入っていった。

「これは貸しだな。エドワードいつか返せよ!」

 ランスが言いながらその後を追って行った。


「わー、あちこちにたくさん借りができそうだね」

 私が言うと、エドワードは頭を抱えた。

 

 そんなエドワードは置いといて、私達女子は花祭りのドレスの話をし始めた。

「セレナはもちろん、ライトと色を揃えるんでしょ?」

 オードリーの言葉に少し赤くなるセレナ。そんなセレナをうれしそうに見つめるライト。

 わー、なんか見ているだけで、キュンキュンします!

 これが『尊い』ということか。

 このふたりの前に立ちはだかるものは許さん! という気持ちになる。

読んで下さりありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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