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68 ライトとセレナ

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めているのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 リビングに出ると、1-1寮のみんなとマリア、クラウス先生、ランスとアポロがいた。


 あれ、アンドレアスとアリスは?

 私がキョロキョロしてるとウォロが「アリスはあのまま王城にいる。なのでアンドレアスが迎えに行った」と教えてくれた。


 ライトが私の顔を見てほっとしたのがわかった。

「良かった。怪我ちゃんと治ってる……」

「ライトのせいじゃないから。私がほとんどやったことのない長剣に光魔法纏わせて風魔法を斬るという無茶をしたからだよ」

「そんなことしたの?!」

 アポロが驚いて、続けて言った。

「それって3年で習うことだろ?!」

「あ、見たことあってできるかなと。でも、思ったより斬れなくて……」

「剣も直前にいきなり借りたんだって?

 しかも、習ってないことぶっつけでやろうとした……。本当にバカだな」

 ランスが呆れたように言った。

「だから、ライトは気にしなくていいよ!」 

 私がそう言うとウォロに手で口を塞がれた。

 なんだよ。思わずウォロを見る。

「ネモが言うことじゃない。ネモがいけないんだから」

 はい、そうでした……。


 ウォロがそのまま空いている椅子に腰かけ、私を抱っこしたまま口を塞いでいる。

 なんだよ、これ? 

 私はしゃべるなってか?!


「このバカに口出させないから、セレナとライトのこと誰か説明してやって」

 ウォロが言った。


 クラウス先生が見回して話してくれた。

 セレナとライトが子ども達をズールから引き離すために、子どもだけで孤児院に帰すことになったこと。

 仲間がいると言われ、従わざるをえなかったこと。

 王城で別れさせられ、セレナには30分後に魔法で大きな爆発を起こすことが命じられた。

 やらないとライトの命が危ないと脅されていたそう。

 30分ほど隠れ、王城の時計台で時間を確認にして、周囲に影響ができるだけ出ないようにと上空に水蒸気爆発で大きな音を立てることにしたのだという。

 すぐに王城の警備に確保され、アンドレアス達に会ってズールがライトをどこかに連れて行ったことを話したという。

 警備局でセレナは魔道具など付けていないことを確認でき、ウォロがマッちゃんからの伝言で学校が襲われていることを報告。

 アリスだけは王城に残し、みんなで学校へ来たものの結界があり入れず……ということだったそう。


 結界を調べていくと食堂の裏で懸命に結界を壊そうとするカトレア先生達を発見。

 外と中から同時に強力な聖魔法を注ぎ込んで結界の魔道具をショートさせ破壊したという。

 結界の魔道具に細工がされてたことがわかり、それを今、カトレア先生とギーマ先生が調べていると。


 ズールは捕えられ、仲間が! とまだ虚勢を張っていたが、どうやら結界に細工をした謎の魔道具職人だけが仲間だったようだ。

 つまり仲間はひとりだけ?

 ライトやセレナを脅していたのはほぼハッタリだったわけだ。

 その唯一の仲間はどこのだれかまだわからず、追うことすらできていない。

 

 思ったより早く王城にいたみんなが駆けつけてきたので、ズールを見捨てて逃げたらしい。

 職人登録もないので今のところ『聖魔法持ちの人物』としかわからない。

 ズールの証言からもう少し人物像が絞り込めればというところか。


 今のところ、わかっているのはこれぐらいだという。


 うーむ。

 謎の魔道具職人Xとアンドレアスが言っていたけど、本当に謎過ぎる。

 なんかこれだけわからないと逆に気持ち悪い。


 マッちゃんも何か気が付いたことないかな?

『いや、特には……。強いて言えば……、結界の魔道具に細工ができるということは、その魔道具がある場所を知っていて、そこに入ることができるということだよな。実際はどこに保管されていたんじゃ?』

 ウォロが驚いて私を見た。

「そうか、学校に入れる人物でもあるということか……」


 ウォロのつぶやきにランスが反応する。

「学校に入れる人物?」

「今、ネモとマッちゃんが話していて、結界の魔道具が保管されている場所を知っていて、そこに入れる人物ではないかということを言われた」


 聖魔法持ちで、学校に入り動き回っても怪しくない人物。


「聖魔法持ちの生徒はマリア、アリス、レイモンド、ウォロとネモだもんな。後は職員や先生、従者やメイドというところか?」

 クラウス先生が考え込む。

「まあ、学校に出入りできる業者ってのもかんがえられるんじゃない?」

 ランスも言う。

「うー、うー!」

 私はもがく。

 ウォロが手を外してくれた。

「ズールが私やライトの魔法対戦の時のことを詳しく知っているみたいだったんだ。だから、魔法対戦の時にエックス来てたのかも!」

「それはさすがに前過ぎるんじゃないか?」とアポロが反応する。

「いや、ズールがアンに指輪を渡したのって、魔法対戦大会の前だよね。

 その頃にはズールとXが繋がってて協力していたということじゃない?

 Xはどういう目的……? ズールは私の封印が目的だったかもしれないけど、その前から学校でどうにかすることを考えていろいろ準備していたのかも?」

 私の言葉にランスが呟く。

「つまり種まきか……」

「確かに魔法対戦の日なら、警備が重要な割に関係者や保護者として一度入場してしまえば楽に動き回れるかも……」

 マリアも同意してくれる。

「とにかくズールの供述でもう少し詳しいことがわかるといいんだが……」

 クラウス先生が最後にそう言った。


 とりあえず私が大丈夫なのが確認できたので(みんな心配してくれたんだね)、それぞれの寮に帰ることになった。

 クラウス先生はカトレア先生とギーマ先生に話し合ったことを伝えておいてくれるという。


 マリアが私の所に来て(と言ってもまだウォロが離してくれず抱っこされてたけど……)「ネモ、制服はあるの?」と聞いてきた。

 そういえば私の制服……。

 もうあの制服は着られないか……。

 オードリーが「見てみる?」と言って、私の制服を持って来てくれた。

 あちこち切れてるだけじゃなく、生地がかなり擦れてたりぼろぼろになっているところ、血が付いているところ……。洗濯したらさらに破れそう……。お直しできる感じではない。


「予備の制服はあることはある。スラックスも予備があるし、ほとんど着ていないけどスカートもある。上衣がデザインが違う、丈が短めの1枚持ってるけど……。それでしばらくは何とかなるかな?

 これから新入生が制服作る時期だから混むよね……。

 やっぱり何かあった時に動ける制服の方がいいかな……」

「まだ何かあること考えてるのか?!」

 ランスに突っ込まれた。

「いや、だって、ねえ」と1-1寮のみんなに同意を求めるが、困ったような顔をされる。

「……逆に自分で動き回れなくした方がいいんじゃないか? ネモの場合」

 ティエルノに言われた。

「私が卒業したら、制服あげるわ。背も同じくらいだから着られるでしょう?」

 マリアが言ってくれた。

「ありがとう! マリアのお下がりならうれしい! なんか頭がよくなった気がしそう!」

 私は大喜びでお礼を言った。

 2年になってから様子を見てスラックスとシャツを新調しよう……。

 その時、私のお腹がグーっと鳴った。

 お腹空いた……。昼食食いっぱぐれてるよね。

「お腹が空いたの?」とウォロに聞かれる。

「うん、昼食食べてないもん。みんなは食べた?」

「ちゃんとは食べてないけど、ネモが寝ている時、お茶飲んでパンとか食べてたから……。

 そういえばウォロも何も食べてないんじゃない?」

 オードリーが言ってお茶を入れてくれ、ライトとセレナがすぐに食べられそうなパンや果物などを皿に並べて持って来てくれた。


 わーい!!

 食べたいけれど、ウォロが抱っこから降ろしてくれない……。テーブルに手が届かない! なんで?


 とうとうオードリーが「ネモの部屋でふたりで食べたら?」と呆れながら提案してくれた。


 私は自分の部屋のベッドの上に戻され、お盆にお茶と皿を置いて、ウォロに見張られてるみたいに一緒に食べた……。

 なんだこの状況……?!


「あの……、ウォロ? 寮の中ならもう大丈夫なのではないでしょうか……?」

「だめ、ネモはバカだから、もう絶対にひとりにはしない!!」

 まだ怒ってるのね……。


 ドアがノックされ(みんな怒っているウォロに関わりたくないもんだから、今日はドアを閉めていいと……。私は生贄か?!)、セレナとライトが顔を覗かせた。

「ウォロ……、ネモと話したいんだけど……いいかな?」

 おお、勇者!!


「どうぞ」とウォロが言って、椅子を持ってこようとするがライトがそれを止めた。

「いいんだ、ウォロも一緒に聞いて欲しいから」

 促されてウォロが自分の座っていた椅子に腰かけた。


「今日は本当にごめん。その……」

 ライトが言いかけるが、話しにくいのかすぐ止まってしまう。

「いいよ、ズールに騙されてた、ムグッ!」

 またウォロが私の口を塞いで「何も言わずに話を聞く!!」と言った。

 はい……。


「ズールに騙されてたのは、そうなんだけど……。

 セレナを守るためだったし……、その……だからといってネモを傷つけていいわけじゃないんだけど……。傷つけたかったわけじゃないけど、結果的に傷つけて……ごめん!!」

 口塞がれてるので何も言えん。

 とりあえずコクコク頷く。

 セレナも話し出す。

「私がライトを守りたかったように、ライトも私を守ってくれようとして、結果、ネモが傷つくことになって、私のせいでもあるのよね。私からも謝りたいの。ごめんなさい……」

 コクコク頷く。

 ふたりは出て行った。ドア閉めて……。


 ウォロがふっと笑った。

「同じだな」

『何が?』と目で聞く。(だってまだ口塞がれてる)

「ライト、セレナを守るためと思ってネモと戦ったんだろ。

 自分も同じ立場になってネモを守るためなら……誰とでも戦うかなと思って」

 それはライトはセレナを大切に思っているということだよね。

 ウォロと同じだということは……、友達より恋人ってこと?!

 あれ、セレナはエドワードじゃ?

 でも、ライトと同じようなこと言ってたな。お互い守り合いたいみたいな?

 あれ?


 私が『?』となっているのを見て、またウォロが笑った。

「セレナも自分で考えて行動してるんだから、もう何かしようとするのは、やめな。

 セレナのことが好きなら、見守ってやるんだな」

 ……うん。

 そうか、セレナはもう迷って困っていないんだな。


 私はちょっと寂しいような、でもうれしい気持ちもあり、大きく頷いた。

読んで下さりありがとうございます。

新年度を迎えますが(マリア卒業しちゃう!)、セレナとエドワードの関係が変わったりと周囲の変化もあり、丁寧に書いていきたいので、しばらく1日1投稿になるかなと思います。

これからもどうぞよろしくお願いします。



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