8 手紙
ブックマークといいね、ありがとうございます。
うれしかったです!!
今回の話は手紙のやり取りの話です。
ゆっくりと書き進めているのでお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
5月の中旬にダイゴとウォロから手紙が来た。
ハロルド宛の封筒の中にさらに封筒がふたつも入っている状態で届き、ハロルドが笑ってそのまま私に渡してくれる。
「私宛の手紙はメモすら入っていませんな」
「ハロルド、ありがとう」
自分の部屋に戻るとちょっと迷って、ウォロの封筒を開封して手紙を取り出す。
『ネモ、元気ですか?
自分は元気です。
夏になったら、兄がダナンに行く計画を立てているので一緒に行くつもりです。
その時は、また一緒に遺跡に行きましょう。
他にもネモの好きな場所や行きたいところがあれば連れて行ってくれるとうれしいです。
また手紙書きます。 ウォロ 』
夏か~。楽しみにしておこう。夏なら、湖の方に行くのもいいかも。
ダイゴの封筒も開封する。
『ネモ、元気にしてるか?
僕は学校の課題に大忙しです。
それなのにウォロが次にダナンに行くのはいつだ! と3日置きぐらいに言ってきます。
ウォロはネモのことが本当に大好きです。
ぜひ、ウォロの手紙に返事を書いてあげて下さい。
学校の夏休みに少し長くダナンに滞在できると思います。
事前に連絡するのでその時はよろしく! ダイゴ 』
『ウォロはネモのことが本当に大好き』という一文にちょっと驚く。
「……友達として、ということだよね。
男だと思ってるんだから……」
自分に言い聞かせてから、はたと気が付く。
「これ、ふたり宛の手紙じゃなくてそれぞれ返事書いた方がいいのか?
ほぼ同じ内容になりそうだけど……」
『ダイゴへ
手紙をありがとうございます。
私は元気です。
学校の課題、頑張ってください。
夏休みにお会いできるのを楽しみにしています。
ダナンの北の山の方に湖があり、夏は街より涼しいです。
良かったら、そちらを案内します。
ミクラにもよろしくお伝えください。
では、お会いできる時までお元気で! ネモ 』
ダイゴにはすぐに返事が書けた。
ウォロには何書こう?
『ウォロへ
手紙をありがとうございます。
私は元気です。
夏にダナンに来るのをとても楽しみに待っています。
長く来られるなら、北の山の方の湖が涼しいので一緒に行きたいです。
馬に乗るのもとても楽しい場所です。
また、魔法についての話や神殿の話を聞かせて下さい。
ウォロの話はとても面白いので好きです。
では、次に会えるのを楽しみにしています。 ネモ 』
自分で書いて読み直した時『ウォロの話はとても面白いので好き』という文章にちょっとひっかかったが、ちゃんと話が好きという意味に取れるよなと思い返し、直さずにそのまま出すことにした。
封筒にウォロとダイゴの名前を書いて封をした。
これをハロルドに出してもらおう。
夏が楽しみだ。
◇ ◇ ◇
6月中旬にまた手紙が来た。
ハロルドに手紙が着くのは2週間以上かかると言われていたので、こちらのが届いてと考えると……。
私も手紙もらってすぐ返事書いたけど、あっちもけっこうすぐ書いたのか?!
今回はダイゴからはメモが入っていた。
『手紙を書く時間がなかなか取れずすまん!
ウォロが早く手紙を出せと言ってきかないので、僕はこのメモで失礼する。
夏の予定は7月下旬ごろを考えている。決まったらすぐ知らせる。
ではまた! ダイゴ 』
学校の勉強が大変なんだろうな。
そういえばアリスは学校でどうしているんだろう?
ウォロからの手紙はちゃんと封筒に入ってた。
『ネモ、返事ありがとう。
ダナンの北の山の湖、一緒に行くのを楽しみにしている。
自分は人と関わるのが苦手な方で、一緒にいて楽しいと思える人に出会ったのはネモが初めてだ。
ネモと過ごすのは本当に楽しかった。
だから、またすぐ会いたいと思った。
ネモも次に会って話をするのを楽しみにしてくれていることがわかって、うれしかった。
こんな風に人に思いを伝えたくて手紙を書くのも初めてだ。
ネモのことを考えると、幸せな気持ちになる。
夏がとても楽しみだ。
返事をくれるととてもうれしい。
では、また。 ウォロ 』
ウォロは私を男の子と思っているわけで……。
なんか騙しているような後ろめたい気持ちが少しある。
それなのに、楽しい、うれしい、幸せとたくさん素敵な言葉を書いてくれるウォロに申し訳ない気持ちになる。
手紙に書いてしまおうか?
それとも次に会った時にきちんと謝って本当のことを伝えた方がいいのか……。
返事をするのは遅くなるが、少し考えさせてもらおう。
夜になり、ベッドに横になった時、母だったらどうするかと考えてみた。
母だったら直接会って、話すかな……。
よし、それまでは友達だけど、男も女も関係なく、素直な気持ちで手紙の返事を書こう。
うん。
何書こうかな?
考えながら寝てしまった。
次の日の朝、目が覚めてすぐに返事を書いた。
『おはよう! ウォロ。
手紙をもらった次の日の朝にこの手紙を書いています。
私も話したと思うけれど、ウォロとダイゴが初めての友達です。
一緒に過ごすのはとても楽しかったです。
先日、小さい子に絵本を読んであげる機会がありました。
その時、その子が膝に乗ってきて座ったので、思わず、馬にふたりで乗った時に私の後ろにいたウォロはこんな感じがしたのかな? と考えてしまいました。
こんな感じによくウォロのことを思い出したり、考えたりしています。
ダナンに来る予定がわかったらお知らせ下さい。
たくさん話をしたいです。
ダイゴとミクラによろしくお伝え下さい。
ウォロも身体に気をつけて元気に過ごしてね。
夏に会えるのを楽しみにしています。 ネモ 』
うん、あまり深く考えずに書いたから、素直に書けた。
後で封筒に入れて、ハロルドに渡そう。
手紙のやり取り、時間がかかりますがいいですよね。
2冊のノートの内容がお互いにわかる交換ノート的な魔道具とかあったら便利かも!と考えましたが、犯罪にも使えそうなので開発するのはやめました!
次の話でエミリア(ネモ)がちょっと困ることになります。
ちょうどウォロ達がダナンに来てくれることになるので、そこで何とかいい方向にと思いつつ、夏の話を楽しく書いています。
読んで下さりありがとうございます。
次も頑張ります!