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64 クラウス先生の魔道具

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 次の日の昼休み、私とウォロだけ昼休みに生徒会室の相談室に呼び出された。

 こんなに個人的に使ってて、何か言われないのかアンドレアス会長?!


 魔道具のことか? それとも、ザーレの遺跡でのこと?


 昼食をテイクアウトして持って行こうと食堂に行くとクラウス先生に出会った。

「お、ウォロ! いい所で! 例の魔道具、できたけど、一緒に確認して欲しいんだが」

「これから生徒会室なんです。放課後でもいいですか?」

「魔法研究所からの報告か?」

「先生のところにも?」

「ああ、午前中に来たがあのふたつの魔道具は?」

「あー、先生も生徒会室に来る?」

 私はウォロの言葉にびっくりする。

 えっ? 勝手に人増やしていいの? 

 魔道具に興味があるクラウス先生にいろいろばれると研究対象にされる気が……。

『ネモがクラウスにいろいろばらしていいのか? と心配しているぞ』

 マッちゃんがウォロに伝えてくれた。

『大丈夫、だと思う。とのことじゃ。ウォロは魔道具についての本でクラウスのことを知っていて尊敬してたそうだ』

 そうなの?

 ウォロが尊敬しているならば、大丈夫なのかな?

 カトレア先生も信頼していたみたいだし。


 クラウス先生もテイクアウトして3人で生徒会室に向かった。

 アンドレアス達3人がクラウス先生も一緒で驚く。特にランスが椅子から立ち上がるくらい驚いていた。

「今まで誘っても顔出さなかったのに、どういうこと?!」

 えっ?

 知り合い?

 私はランスとクラウスを交互に見た。

 あれ?

「もしかして……身内?」

 雰囲気や髪型が全然違うから気が付かなかったけど、こうやって意識して交互に見ると顔立ちが似てる……。

 ランスが薄い茶色ストレートで長髪まではいかないけど長めという感じ。で、クラウスが茶色で少し天パっぽい短めショート。瞳は同じ緑色だ。


「知らなかったの? ランスとクラウスは同じモンターク子爵家だし……」

 ウォロの言葉に驚く。

「知ってたの? えっ、でも、ランス何も言ってないよね!

 アンの時も、魔法の練習した時も!

 あ、でも自己紹介してるの見てないか、そういえば!」

「あー、ネモがクラウスに『誰?』って言うわ、耳飾り見せるの嫌がるわ、いつも冷静なクラウスがむっとしてたの面白かった」

「えー!!」

「学校に派遣されると決まった時にランスと決めたんだ。兄弟ということは黙っていようと。

 そうか、ウォロは本を読んで私の家名を知っていて気が付いていたのか!」

 クラウス先生が感心したように言った。


 アンドレアスがクラウス先生と握手して挨拶してから言った。

「では、ランス、話を進めてくれ」


 私達は促されて昼食を食べながらランスの話を聞いた。

「昨日、ウォロが帝国から持ち帰った正規品ではない王国からの流入魔道具ふたつだが、やはりズールの使っていた魔道具と同じ製作者だとわかった。

 研究所では魔法学校の卒業者の聖魔法持ちで魔道具職人として登録していない人物を調べ始めてくれている。進展としてはそんな感じ」

 クラウスがその話を受け、話し始める。

「研究所からそのふたつの魔道具は私に回ってきている。調べたらウォロに返すから」

「あ、返されても困るんで……。できたら確実に処分していただけると……」

 ウォロが困ったように言った。

「そうか、もう少し調べたら、ウォロ立ち合いで処分しよう」

「はい」

 クラウス先生の提案に頷くウォロ。

 アンドレアスが確認するように言った。

「では、次はその謎の製作者についてだな。仮にエックスとでも呼ぶか……。

 正規品でなく押収された魔道具のことを調べてみたんだが、ミーア帝国風なデザインでふるいにかけてみたところ、いくつか見つかった。その中には犯人がわかっているものもあり、リストを作成して研究所の方に魔道具再鑑定を依頼している」

 なるほど、今は調査、鑑定待ちか。


「ズールについてだが、ネモが夏にズールの頭に光魔法の思念化を打ち込む攻撃をしている」

 ウォロが話し出した。

「なにそれ、かなり怖い攻撃だな」

 アポロがぞっとしたように言った。

「おかげでズールの身体にはネモの光魔法の残滓が残っている。

 それを追う魔道具を作れないかとクラウス先生にお願いしたのが昨日。できてるそうです」


「ああ、これです」とクラウス先生が小さな石板のようなものを取り出す。私の緑の魔石が右上の角に埋め込まれている。

「この緑の魔石にネモの光魔法の思念化が入れ込んであり。同じエネルギーを探すんだ」

「ネモはアンに光魔法を治療してたよな。そういうのは反応しない?」

 ランスが確認してくる。

「ああ、光魔法の『思念化』にだけ反応するようにしたから、ネモに光魔法で治療してもらった者は引っ掛からないはずだ。

 ウォロは治療受けたことある?」

 クラウス先生がウォロに聞くが私が答えた。

「うん、ある。後、最近だとアン。自分自身にも怪我してかけたことある」

「じゃあ、ウォロとネモに反応しなければ成功かな?」

「私自身も反応しない? 前に試合で水に入れて攻撃したことあったけど、それは弾けちゃえば消えるか?」

「ああ、溜めた状態でまだ残っていたり、発動中に思念化すれば引っ掛かるけど」


 クラウスが魔道具を発動させる。

 

 地図のようなものが石板に表示される。

 学内に強く輝くところがありクラウスが首を傾げる。

「あ。これはネモの光魔法の思念化を入れた魔石です。1-1寮にあります」とウォロが言った。

「じゃあここが1-1寮か。学校内にはこの反応しかない。

 ネモもアンもウォロも反応してないので成功だな。魔道具登録をしてギーマ先生に渡そう!」

 うれしそうにクラウス先生が言った。


「……次に、ウォロ、昨日聞いた話だが、アンドレアスに話すんだよな?」

 ランスが確認してくる。

「はい、知らないと何故ネモが狙われているかわからないと思うので……。ネモもいい?」

「うん、ウォロに任せる」

 私は頷いた。


 遺跡でズールに会い、封印を解こうと言われたがカトレア先生達が断ってくれたこと。

 ズールがライトを騙して私を連れ出し、遺跡に隠された封印を解いたこと。


「えっ、封印は解けていたのか?」

 アンドレアスが驚く。

 私が説明した。

「血筋の者が封印を受け取るのですが、私が抵抗して魔法陣を書き換えたことで私が封印を受け取ることになり、死ぬのを回避するためにサンマチネスが守護霊になってくれ、封印と古代魔道具『フープ』を受け取りました。

 なので、封印は遺跡から私の中に移動したと考えて下さい。

 守護霊のサンマチネスが必要だと判断した時にその封印が解け、人々を救えるようになります。だから私はその力を持ってはいるけれど使えない状態です。で、その『フープ』なんですが……」

 私はウォロを見る。

 ウォロが続きを話してくれる。

「クラウス先生が言ったように、ネモの耳飾りです。

 でも、これだけじゃだめで、ネモ自身も必要だし、自分も必要になりました」

「うん? ウォロも必要?」

 アンドレアスが首を傾げる。

「その……、サンマチネスが自分の守護霊にもなり、ネモから『フープ』を半分預かるような形に……」

「じゃ、そのお揃いの色違いの耳飾りがそれ?」

 ランスが驚いたように私とウォロの耳飾りを交互に指差した。

 クラウス先生もじっと私とウォロを見て言った。

「どうやって分けたんだね?」

「マッちゃんの希望です」

 私がそう言うとウォロ以外のみんなが『?』という顔になった。


「マッちゃんというのはネモがつけたサンマチネスの呼び名です。

 ネモの守護霊になった時に頭の中で話せるようになったそうです。

 その後、自分の守護霊にもなってくれて、自分もマッちゃんと話すことができるようになりました。その時『フープ』を半分受け取りました」

「あっ、だから、ネモはウォロが早く帰って来るとか、わかってたわけ?」とランスが思い出したように言った。

 私は頷いた。

「でも、ウォロと直接頭の中で会話はできないんです。

 マッちゃんを介して、お互いの状況を伝えあうぐらいしか……。

 それとズールの頭に光魔法の思念化の残滓が残っていると教えてくれたり、ズールの存在にいち早く気が付いて知らせてくれたりして助けてくれてます」

「だから、辺境伯爵邸でズールの気配に気が付いたのか?!

 ウォロが急に言い出したから不思議だったんだ」

 アンドレアスも納得がいったような表情で言った。


「サンマチネスはネモが封印のためにどこかの国に拘束されたり囲い込まれたりすることを懸念していて、ネモの自由を希望しています。なので、カトレア先生、ギーマ先生、マリア、1-1寮のみんなは封印のことは内緒にしてくれています。

 もし、何かあれば、ネモと自分はこの学校をやめて、この国を出て行かないといけなくなるので……」

「わかった。私達にも内緒にしろということだな」

 アンドレアスが頷いた。

「確かに父が知ったら、さらに面倒なことになってこじれそうだな」

 よくおわかりで! そうなんですよ!


「とりあえず、クラウス先生の魔道具でズールを捕まえましょう。

 ズールは何かネモがサンマチネスから受け取ったことは感づいているけれど、詳しいことは知らずに行動してる。ネモの耳をちぎるとか切るとか、考えることすら許せん……」

 ウォロが低い声で言う。

 

「あ、そうだよ。ネモとウォロの話がとんでもなさ過ぎて、クラウスの魔道具が完成したこと忘れかけたけど……。兄さん、登録急いでくれる?」

 ランスの言葉にクラウスが立ち上がる。

「ああ、急ぐ。しかし、不思議な話だな。ネモは古代文字が読めるのか? 書き換えたって」

「……ウォロに教えてもらって読めます。だから読んで、封印のことがわかったので、ズールにこの力が渡ったら大変と魔法陣の発動を止めるために記号に書き足したぐらいで……。でも逆発動しちゃって……」

「ズールが捕まったら、詳しく話を聞かせてくれ。勿論、内緒にするよ。じゃあ、急いで登録の書類を作る」

 クラウス先生が出て行った。


 しばらく相談室内が静かだった。シーン。

 えーと、もう昼休み終わるけど……。

「……もう行っていいかな?」

 私が沈黙に耐えられず言った。


「……ウォロ、大変なんだな。お前の大変さがよくわかった!」

 ランスがウォロに言った。

 なんだ? 

 どういうこと?

「ネモ、お前、ウォロに感謝しろよ!

 ウォロじゃなきゃ、逃げ出してるぞ!」

 へ?

 私の方が悪いの?

「愛する彼女の負担を減らすために魔道具の封印を半分肩代わりするとは……。すごいなウォロ!」

 アンドレアスが感動している。

 えっ?

「ウォロはすごいな。守護霊で四六時中つながってるなんて、俺だったら逃げ出してるかも……」

 アポロも言う。

 いや、逃げ出すってなに?


 みんな?

 マッちゃんもウォロと遺跡や古代魔法の話がしたいだけで、魔道具分けしたんだからね?!

 私のためじゃないよ?!

読んで下さりありがとうございます。

今日午後投稿する予定です。

これからもよろしくお願いします。

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