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63 ミーア帝国の聖魔法事情

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 放課後、生徒会室に行き、奥の相談室に入る。

 アンドレアス、アリス、ランス、アポロ、マリア、1-1寮のみんなが揃った。

 

「ウォロおかえりなさい!」とマリアが言ってくれる。

「自分がいない時、ネモのこと、守ってくれてありがとう」

 ウォロがみんなに頭を下げた。

「なーに、なかなか面白い体験だったけどな。お前らといると本当に飽きないよ!」

 ランスがそう言うとみんな笑った。

「そういえば、ウォロが帰って来てネモと風呂に入ったって本当か?」

 アポロが面白そうに聞いてくる。

 誰が話したんだよ!!

 私は1-1寮のみんなを見回した。

 んー、みんな、私から目を逸らす!

「はい」とウォロが言うのでみんなびっくりする。

 そこは聞き流すとこじゃないの?!

「残念ながら、ネモは服脱いでくれませんでしたけど」

 あ、それなら変な感じに聞こえない、ね。ありがとウォロ。

 

 エドワードだけ赤くなって動揺してる。動揺しすぎ。

 もう忘れろ。記憶を葬りさってくれ。


「ウォロ、ミーア帝国はどうだった?」

 アンドレアスが話を戻してくれた。

「ああ、向こうで調べられたのは4日間ほどだけど……。

 まずミーア帝国の魔道具についてちょっと説明するな。

 ウォルフライト王国と同じで4属性魔法の生活魔道具はある。ちょっと違うのは古代魔法の研究が王国より盛んだ。そして聖魔法持ちが少ないということもあるのか聖魔法の研究は王国の方が盛んで魔道具も高度だ。

 なのでミーアで聖魔法の魔道具は珍しい。

 属性魔道具の職人にたまたま聖魔法持ちがいて作成できることがあるかもという感じ。

 で、今回のズールが使っていた魔道具なんだけど……、ミーア帝国産ではないかもしれないと思う。

 ミーアでは今回のようなかなり高度な聖魔法の魔道具は作られていない。職人として登録されている者の中には、ここまで人を遠隔で操れるような魔道具を作れる者はいなかった。

 このことはミーアとしても王国の魔法研究所に連絡してるはず。

 で、登録していない独自研究している職人がいるかもということだよな。

 それは逆に魔道具から探した方が早いかもと思って、帝国で取り締まられてる登録されていない魔道具を調べたんだ。

 いくつか見つかったんだけど、帝国のもぐりの職人が作成したものは粗悪なものばかりで……。あのレベルではない。

 ……で実はちょっと気になることがあった。

 摘発されてる道具の中で一見飾りはミーア帝国風なんだけど……、明らかに帝国の聖魔法の考え方では作成されていない魔道具が見つかって……」

 カバンからふたつの魔道具、指輪とブレスレットを取り出した。

「こっちの指輪はなんていうかな……人の心を掌握するっていうか、簡単に言えば人の心を虜にする?

 惚れ薬の魔道具版みたいな感じ?

 こっちのブレスレットは嘘をつけなくするっていう魔道具。

 このふたつがズールが使ってたのにデザインや魔法の感じが似てると思って、借りてきた」

「うん、ブレスレットのデザインが似てるな!」とランス。

「だろ? で、これは帝国ではウォルフライト王国から流れてきた正規品ではない魔道具として摘発されてた」

「つまり、ウォルフライト王国に正規の職人ではないミーア帝国風デザインの魔道具を作る者がいるということか?」

「うん、そういうこと」

「それってウォロじゃね?」

 アポロがまぜっかえした。


「自分はカトレア先生とギーマ先生の推薦で王国の魔道具職人に登録してる。

 今まで作ったのはちゃんと申請登録してる。10倍のを1.2倍に直したのも訂正出してる」

「そっか、すまん」 

 アポロは素直に謝った。


「……そうだな、ありえるか。

 王国に登録されていない者の作成したものでミーア帝国風デザインだから帝国の物では? となり、帝国では魔道具のレベルが高い王国から来た魔道具として扱われていたということか!」

 アンドレアスが唸った。

「確かに、ありえない話じゃないな。

 ウォロ、そのふたつの魔道具も魔法研究所で調べてみていいか?」

 ランスが言った。

「ああ、そのつもりで借りてきたけど……。けっこう効果に問題ある魔道具だから、紛失に十分気をつけて欲しい。

 王国の正規品ではない魔道具の管理と摘発とか、職人の管理、登録って、どこがやっているんだ?

 そこの物を調べると犯人につながるものが見つかるかも」

 ウォロが言いながら、ランスにふたつの魔道具を渡した。

「帝国では兄のダイゴが登録してない職人が他にいるかもって調べ続けてくれてる」

「わかった。ありがとう。

 王国の方の調査は任せてくれ。職人の登録や管理は魔法研究所だな。正規品ではない物……、これは警備局か?」

 アンドレアスがアポロと相談を始める。

「とりあえず、魔法研究所にこれ調べてもらって、前のと同じ制作者か聞けばいいよな?」

 ランスが確認している。

 ウォロが「ランス、自分も行ってみたい」と言った。

「いいけど、ネモはどうする? 学校から出られないだろ?」

「あ……」

 ウォロが困った表情で私を見る。

「行ってきて、ウォロ。学校にいれば私は大丈夫だから!

 オードリーとセレナといようかな。お願いできる?」

「うん、ウォロ、任せて!」「一緒にいるわ!」

 オードリーとセレナが返事をしてくれたので、ランスとウォロが相談室から出て行った。

  

 そっか、ということはウォルフライト王国の中に、魔道具職人として登録していないのに高度な聖魔法魔道具を作る人がいるということだ。

 人の意識を乗っ取るにしろ、人を強制的に惚れさせる、嘘をつかせない(自白させるってことだよね。拷問に近い使い方もできるわけで)と効果もけっこう怖い感じだし……。

 ウォロの10倍返しも十分怖いか!

 でもむやみに発動しないように『悪意』に反応するという縛りが入っているしね。


 アンドレアスとアポロが摘発されている魔道具の方を調べることになった。


 相談室から出て、オードリー、セレナ、アリス、マリアで食堂にお茶しに行く。

 ティエルノ、ライト、エドワードもついてきた。


「孤児院のボランティア、今月は私が中心になってやってみるわ!」

 セレナが言ってくれてライトも「僕もやるよ!」と言った。

「私、学校から出られないから……。よろしくお願いします」

 ふたりに頭を下げてお礼を言う。

「三学期は私、手伝えないわ。大変な時にごめんなさいね」

 マリアが申し訳なさそうに言う。

「マリアは文官試験の勉強だもんね。がんばって!!」

 私が言うとエドワードが驚いた。

「マリア、文官になるの? 魔法研究所に入るのかと思ってた!」

「魔法も好きだけど、私、領地の問題とか外交とかそういうことを考えるのがけっこう好きなの。

 魔法だと魔法だけ! という感じだけど、文官だといろいろなことを調べたり、歴史や文化、今の流行、それこそさっきの魔道具の話とか、いろいろなことに触れられて知識を吸収し続けられるじゃない!

 そういう仕事がしてみたいと思って!」

「そうか、仕事……」

 エドワードはまだ驚いている。確かに公爵令嬢が文官という激務で国外への異動などもある仕事を希望するのは珍しいよね。

 マリアはお茶を一口飲んでから話を続けた。

「エドワードとティエルノはもう家を継ぐのが仕事として決まっているでしょ?

 ライトはどうするの?」

 ライトはちょっとはにかみながら答えた。

「子爵家を継ぐけど、僕は剣術が得意じゃないし……。

 魔法研究所か王国の魔法士隊に入れたらいいなと思う」

「オードリーとネモ、アリスはもう婚約してるし……。セレナは?」

「私? うーん、まだ考え中です……」

「そうねまだ1年生だもんね。じっくり考えればいいわ!

 他のみんなもまだ将来が決定なわけでもないし、漠然としていたものがこれ! と見つかるかもしれないし、違うものに心惹かれるかもしれないしね!」

 おお、マリアの言葉、なかなか心に残るな。


 前にもみんなで将来の話をしたな。

 ティエルノが恥ずかしい話っていうから、黒歴史を語り合うのかと思っちゃった時だ。

  

 ウォロと一緒にいて、人を、子どもを助けたいって言ってたんだよな、私。


 今日は自炊デーではないんだけど、ライトの希望で料理を作ることになり、食材をもらって食堂を出てきた。

 マリアと別れて寮に戻り、ライトと料理に取り掛かる。


 今日のメニューは肉の炒め物だそう。

 野菜とキノコと肉を炒めて味付けするそう。

 ライトが昨日の買い物で面白い調味料を見つけたんだそう。

 見せてもらうと醤油だった。

「えー! 醤油?!」

「ネモ、知ってるの? 豆と塩から作られてるらしいよ」

「……昔、ちょっとね」

 

 ライトにメインの肉料理は任せて、私はスープ作った。

 炒め物の方にキャベツとニンジンを使うというので、ベーコンとジャガイモと玉ねぎのスープを作った。


 途中でウォロが帰ってきた。

 マッちゃんに寮でご飯作っていると伝言を頼んだからか、お土産にケーキを買ってきてくれた。

 みんなで食事しながらウォロの話を聞いた。

「調べてもらうのはお願いしてきた。明日、連絡来るんじゃないか。

 話をしたら、魔法学校で聖魔法を学んで、職人に登録していない人を研究所で調べてくれるって。

 まあ、聖魔法持ちでも自分で魔道具を作るのは珍しいのかな。

 ネモ! ランスとずっとふたりだったので、ランスにだけ、マッちゃんのこと、ザーレの遺跡でのこと話したよ。

 今度、アンドレアスとアポロにも時間作ってもらって話そう」

「兄様に話したら……国王に言ったも同じじゃないか?」

 エドワードが心配そうに言った。

「いや、アンドレアスなら大丈夫じゃないか?

 問題は陛下だよな?」

 ウォロが私を見た。

 私は頷く。

「うん、アンドレアスは私とウォロのことよくわかったと思うから、大丈夫と思う。

 問題は陛下だよ……。このこと知ったら、何企んでくるか……」

「あのな……。だから……、俺の親なんだけど。一応……」

読んで下さりありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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