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59 辺境伯爵家で起きていたこと

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 ランスが中心に話してくれた内容をまとめると、アンドレアスの馬車を見送ってから、ランスと従者、ウォロとエドワードと従者の二組に分かれて活動することにしたそう。

 アンを呼びに来たメイドはすぐにわかった。

 話を聞くとアリシア夫人の侍従ローレンスにアンを庭師の所へ連れて行くように頼まれたそう。

 そして、戻るとおかわりのお茶を給仕する時、金髪の少女(私のことだ)にお茶をこぼして着替えを勧め、客間に連れてくるように指示されたという。

 拒否しようとしたら、アンがどうなってもいいのか? と脅されたと。


 メイドはアリシア夫人のテーブルクロス引っ張り事件のおかげでお茶の給仕をしなくなったことにほっとしたのだが、アンのことが気になっていて怖かったと打ち明けたそう。


 ランスと従者がメイドと庭師の所へ。ウォロ達はローレンスの所へ向かった。

 庭師はいなくなっており、アンが庭で倒れていた。

 客間ではローレンスが倒れていた。

 ローレンスはどうやらあやつられていたらしい。ウォロがそのための魔道具をローレンスが身につけていることに気が付いた。

 庭師がズールで、ローレンスを魔道具で意識を同調させあやつっていたのだ。

 

 なるほど、マッちゃんがおかしいと感じていたのがこのことだったんだ。

 気配がふたつになったり、そのひとつはローレンスのものと混じりあってもいたんだろう。

 本体は私の光魔法の残滓がある方ということ。


 アンはザーレ出身で、新しい庭師も同じ出身ということをアリスが休学して家で過ごすようになってから知り、親しくしていたそう。

 そのため、久しぶりに話がしたかったと言われ、渡されたお茶を飲んだら、眠くなってしまい……。

 おかしいと思ったが動けなくなってしまったとのことだった。


「アンは操られていなかったの? 魔道具を身につけさせられてるとかない?」

 私が訊ねると、辺境伯爵家のメイドに頼んで身につけているものを調べてもらったが、ないということで連れ帰ったそうだ。

「もう一度調べた方がいいな。

 ズールは魔道具が作れるなら、聖魔法持ちか?」

 アンドレアスがウォロに尋ねたが私が答えた。

「いや、ズールは聖魔法使えないと思う。前に戦った時、そんな気配なかったから。

 誰か魔道具を作れる人がズールに協力しているんだと思う」

「この魔道具を調べれば、ズールにつながる魔道具職人がわかるのでは?」

 ウォロがローレンスが身につけてたらしいブレスレットの魔道具をテーブルに出した。

 ハンカチでくるんで持ってきたらしい。

「あ、でもカトレア先生もギーマ先生も今、辺境伯爵家に行っちゃったね」

 私の言葉にアンドレアスがランスを見る。

「ああ、王立の魔法研究所に頼んでみようか?」

 ランスが言いながらハンカチごと手に持ちポケットにしまった。

「俺の従者、戻っちまったな。エドワード、従者と一緒に来てくれないか?」

「わかった!」

 ランスとエドワードが行ってしまった。

 魔道具って作った人がわかるんだ!

『そうじゃ、特に闇魔法と光魔法を使用したものは、さっきネモの光魔法の残滓と言ったが、そういうものが残りやすく作成者がわかる。ま、あの魔道具からは闇魔法を感じたし、ネモの言うようにズールに聖魔法は感じられないな』


「オードリー、一緒に来てシーラにアンの身につけているものの確認をしてもらえるように話してもらえるか?」

 アンドレアスがオードリーに頼み、アンドレス、アリス、オードリーで4-1寮の隣の従者棟に行くことになった。

 私とウォロはどうすると聞かれ、私はウォロを見た。

「1-1寮のみんなは今、孤児院だし……。どうする?

 みんなが帰ってくるまで、ここにいる?

 できるだけ人がいるところにいる方がいいんじゃない?」

「あー、そうか、寮に戻っても誰もいないのか……。じゃあ、図書館にでも行くか」

 

 3人を見送ってから「じゃあ図書館に行こうか?」と立ち上がると「ノート取りに寮に寄っていい?」と言われた。

「うん、じゃあ私もノートと教科書取りに行くよ」

 そう答えてふたりで歩き出した。


「ズール、まだ王都にいるってことだね。

 あ、あの魔道具持ってきちゃって良かったの? 

 カトレア先生達も調べに行ってくれたんじゃない?」

「帰ってきたら話せばいいんじゃない?

 ランス達が調べてくれてわかれば、先にウォルフライト王国の警備隊も動けるだろうし」

「魔法研究所なんてあるんだね。

 今度、ランスかアンドレアスに頼んで見学に行ってみようか!」

「そうだな、魔道具のことがわかるなら面白そう。

 それより……、今日のこと、もう大丈夫だった?」

「あ、アリシア夫人のことか……。ウォロありがとうね。

 手を繋いで励ましてくれたり、婚約者だって名乗ってくれた時、うれしかったよ」

「……我慢してたんだよ。ほら作戦があったじゃん。なのにアリスが先にネモの所に来て抱きついてるし、ネモもずっとアリスに抱きついているし……」

「えー、だってあの時一番辛かったのアリスと私だよね」

「アリスにはアンドレアスがいるだろ」

「えっと……アリスは私を心配してくれたんだよ」

「帰りも別々になっちゃうし……」

「あ、あの時、ぱっと指示してくれたのすごくかっこよかった!!」

「ネモを先に逃がした方がいいと思ったし、アンドレアスになら任せられるかと……」

「うん、マッちゃんからズールの気配のこと聞けるの私達だけだしね。ちゃんと考えてくれてありがとう」

「うん……」


 寮に着いてそれぞれの部屋に図書館に持って行く物を取りに行った。肩掛けカバンに入れて部屋を出るともうリビングにウォロがいたので「おまたせ! 行こうか」と立ち止まらずそのままドアの方へ向かった。

 後ろから抱きつかれる。なんとなくそんな気がして近くに寄らなかったんだけどな。

 腕をポンポンとして「寮ではこういうことやめよ。早く出ないと」と言うとため息をつかれた。

「なに? 言うこときく権利使っちゃうの」

「いや、使わない!!」

「んじゃ、急いで出ましょう!」

 しぶしぶウォロが離してくれる。なかなか使えるね。この言葉。


 夕方まで図書館で勉強してたらエドワードがやって来た。

 みんな寮に帰ってきたそう。


「魔道具のことわかった?」とウォロが聞いた。

「特定するのにもうちょっと時間がかかるらしくて、明日わかるそうだよ。

 生徒会のランスのところに連絡くれるって」

 

 1-1寮のみんなで夕食を食べに行き、孤児院のボランティアのことを聞いた。

 ボランティアに登録してくれた参加者もだいぶ慣れた様子で問題なく過ごせたという。

 うん、順調だね!


 寮に戻ってから、こちらであったことを話したけれどアリシア夫人のことよりもズールのことの方にみんな驚いていた。

「王都にずっといたなんて、こわいな」

 ライトが呟いた。

「学校の中は安全だと思うけれど、しばらくはみんなで気をつけよう」

 エドワードが言って、みんな頷いた。


 次の日、1-1寮の全員に昼休みに生徒会室へ来るように連絡があり、みんなで昼食をテイクアウトして向かった。


 アンドレアス、アリス、アポロ、ランス、マリアがいた。


 昼食を食べながら、ランスから魔道具のことを聞いた。

「実は……、ウォルフライト王国以外の魔道具職人の手によるものだとわかった。

 たぶん、飾り細工の感じからミーア帝国のものではないかということだ。

 ウォロ、ミーア帝国の魔道具のこと何か知っているか?」

「いや、帝国は4属性の魔道具の作成はしているけれど、聖魔法についての研究はこちらよりかなり遅れていて……。大使に確認してみよう。こちらから行くのは……難しいか。来てもらう?」

 ウォロの言葉にアンドレアスがすぐに反応してくれる。

「わかった。私の従者に手紙を届けさせよう。明日の放課後ならどうだ?」

「わかった。今すぐ手紙を書く」

 ウォロはアンドレアスが用意してくれた便箋を受け取ると、手紙を書き始めた。


 アンドレアスは今度はアリスと私に向かって話し出す。

「アリス、ネモ。アリステラ辺境伯爵にも今回のことを緊急で連絡した。

 急いで王都に向かってくれているそうだ」

 確かに王都の自分の屋敷に手配犯が潜んでいたなんて、驚くだろうな。

 それにしてもロイは執事として全然ダメでしょ?!

 なんで……。ああ、あの屋敷はお父様のというより、アリシア夫人の屋敷だったもんな……。


 なんとなく落ち着かない。


 次の日、大使が学校を訪ねてきてくれ、ウォロ、アンドレアス、ランス、ギーマ先生、それに2年の留学生マイネも一緒に話をしたそう。

 ミーア帝国の魔道具らしいものを手配犯が使用していたこと。

 この魔道具のことについて、ウォルフライト王国の魔法研究所がミーア帝国に協力を求めていることなどを伝えてもらうことになったという。

 

 そして魔法研究所からひとりの研究者が学校に派遣されることになり、カトレア先生やギーマ先生と一緒にこの問題と学校の安全対策に当たってくれることになったそう。

 

 数日後、お父様がハロルドを連れてダナンから戻って来た。

 屋敷のことで忙しかっただろうに、学校へアリスと私に会いに来てくれた。

 その時に2週間の冬休みでウォロがミーア帝国に戻って調べてくると言い出した。

 日程的にかなり厳しい移動になるのでひとりで行くと話したところ、ハロルドが一緒に行ってくれることになった。それなら安心かな?

 

 期末の試験が終わるやいなや、ウォロとハロルドとマイネ(マイネも一緒に行ってくれることになった)はミーア帝国に向かって学校を出発した。


 私は学校でウォロが帰ってくるのを待つことになった。(ウォロもそのつもりだったそう)

 冬休みは2週間と短めなので帰省する生徒が全校の半数よりちょい多いかというぐらいなのだそうだ。

 オードリーも私と一緒に寮で過ごすことになり、アリスも王都の屋敷には帰らず4-1寮で過ごすと言う。そうなるとアンドレアスもランスもそうする……、エドワードもティエルノも、セレナもとなり……。

 1-1寮はウォロとライト(家の都合で帰省)以外残ることになった。

 4-1寮はアンドレアスとアリスとランス(アポロは家の都合で帰省)の3人。


 年末年始をみんなで学校で楽しもうという話になっている。


 終業式を終え、成績表をもらった。オーサム先生がウォロの分まで私に渡してくれた。本当は後で本人に渡すんじゃないの?

 私が怪訝そうな顔で受け取ると「ウォロにネモに渡して知らせてもらうと聞いているぞ?」とオーサム先生に言われた。

 あ、見て知らせろということなのね。

 マッちゃんって離れてても大丈夫なのか?

 霊的なものと距離って存在している次元が違うのかな?


 ウォロの成績は実技1位、筆記2位で総合1位だった。

 本当にすごいな。筆記なんでこんなにできるんだろう?!


 私は実技3位(あれ、ライトに負けたか?)、筆記4位(やった! 上がった!)で総合4位だった。

 あれ、総合の順位は変わってない……。


 マッちゃんに連絡してもらうと『エドワードは?』と聞かれた。

 何気にライバル視してたのね。

 まだ聞いていないことを伝え、わかったら知らせるとした。

 明日にもダナンに着くという。まだ出発して3日目いや、4日目? 

 それにしてもかなりの強行軍。(普通は7日間の日程だから)

 みんな身体に気をつけて無理しないでねとマッちゃんに伝えてもらう。

 離れていてもマッちゃんの伝言が今まで通りにできるのか質問すると、できると言われる。

 そうなんだ。それは安心。

『ただ……』

 ん?

『意識はつながっているんじゃが、それぞれの周囲の認識が弱くなることがあるな。

 ウォロの方に集中しているとネモの周囲の様子がつかみにくくなるということはある……』


 そうなんだ。

 今はウォロの方が心配だから、ウォロの方に集中して下さい!!

読んで下さりありがとうございます。

今朝のめざましテレビの花プレゼントがデルフィニウムで朝からきれいな青い花がたくさん観られてうれしかったです。

今日は午後投稿する予定です。

どうぞよろしくお願いします。

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